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歯が外傷で抜け落ちた時 ─緊急時の対応②

著者:デンタルオフィス湊

こんにちは、院長の荒内です。
今回は緊急時の対応の2回目です。

できるだけ早くその歯を持って、歯科医院を受信

歯が外傷で抜け落ちた時を完全脱臼といいます。
歯が交通事故や不慮の事故で抜け落ちたときは、できるだけ早くその歯を持って、歯科医院を受信されてください。
抜け落ちてからの時間や歯の保存状態によっては、再植(脱落した歯を戻すこと)ができるかもしれません。

外傷による歯は抜け落ちる場合と、逆に鼻腔に嵌入、あるいは、前後もしくは左右に変位することもあります。
完全脱臼は、成人には概して少なく、若年層に多発しやすいという特徴があります。
また、上顎前歯部に好発するのも大きな特徴のひとつです。
成長期ですから、できるだけ再植(脱落もしくは嵌入した歯を正しい位置戻すこと)をして、歯根の完成や歯が成熟するまで(平均で23歳前後)、なるべく治療をしないように工夫することが大切です。
再植できるかどうかの最大の鍵は、脱落してからのじかんです。
早ければ早いほど、成功する確率が高くなります。
ですから、歯が脱落後、1分でも早く歯科医院に行ってください。

抜けた歯を乾燥させないこと

次に大事なのは、抜けた歯を乾燥させないことです。
水を含ませたガーゼやティッシュペーパーに包むか、あるいは、水を入れた小瓶に歯を入れて持って行ってください。
もし歯が汚れて入れも、そのまま包んでください。
汚れを布やティッシュペーパーで拭かないようにしてください。
布やティッシュペーパーでこすると、歯の根を骨に固定する繊維が剥がれてしまう可能性があります。

完全脱臼時の実際の治療

さて、完全脱臼時の実際の治療について説明します。
歯冠(歯肉より上の部分で見えている部分)が欠けていても、歯根(歯肉より下で骨の中にあって見えない部分)が折れたり割れたりしていなければ、再植をします。
脱落した歯を根管充填後(根の中の神経や血管等の有機質を除去し、樹脂等で置き換えること)、再植します。
再植された歯は、およそ5-6年後歯冠部が乳歯のように脱落すると言われています。
もちろん、再植したときの条件によって大きく差が出ます。
平均5-6年しかもたないのに、なぜ再植する必要があるのかと疑問に思われる方もおられるかもしれませんので、ご説明させていただきます。
永久歯の前歯の根は約9-11歳あたりで完成します。
女の子の方が若干早く完成します。
もし歯根の完成前に歯を削ると、根の形成、成熟に多大な影響を与えます。
たとえば、根が短くなったり、形態が悪くなったりします。
歯はおおよそ23歳前後で成熟すると言われています。
歯を削ることは歯にとってよくないことですから、まして根の未完成歯や未成熟歯を削ることは、できるだけ避けなければなりません。
ですから、歯が脱落したばあい、その両隣の歯を削ってブリッジにするのは、極力避けなければなりません。
ブリッジ以外の治療としては、義歯(入れ歯)か再植かインプラント、あるいは、アドヒージョンブリッジ(歯を麻酔なしで削って、接着によってブリッジにする方法)が一般的な治療です。
学童期や幼年期は、歯根が成熟してない成長期にあるため、インプラントやブリッジはできません。
結局、入れ歯かアドヒージョンブリッジを選択するしかありません。
しかし、入れ歯は審美的、心理的に問題があります。
また、アドヒージョンブリッジは維持力に問題があります。
そこで、5-6年しかもたないとしても、再植が第一選択肢になります。
再植の利点は、再植した歯の歯冠が脱落しても、骨の吸収が回避できる可能性があります。
今まで説明してきたように、再植の利点は成熟していない歯への侵襲を避けること、患部の骨の吸収を防止すること、審美的回復をすること、成長を阻害しないことなどが挙げられます。

以上、歯が抜け落ちたときの対処法について説明させていただきました。
次回は、緊急時の対応の第3回で、顎が折れた時の対応についてお話ししようと思います。

院長:荒内