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肝臓疾患と歯科治療 ─全身疾患と歯科治療⑬

著者:デンタルオフィス湊

こんにちは。
院長の荒内です。
紅葉美しいですが、冬が本格的にやってきましたね。
今日は肝臓疾患と歯科治療についてお話させていただきます。

肝臓とは

肝臓とは、全身の代謝の中心として種々の物質の合成や分解、解毒等の機能を司る重要な臓器のことです。
肝疾患を有する患者さんの歯科治療に関する注意点をご説明します。
急性の肝炎の人や、慢性肝炎の人でも、活動期には歯科治療を控えるべきです。
また、肝硬変や肝がんの活動期にも、歯科治療を避けるべきです。
肝機能障害が進行すると、血液凝固因子が減少したり、血小板の数が減少し、歯を抜くような出血を伴う処置(観血処置)をすると、止血が難しくなることがあります。

食道静脈瘤

肝臓に疾患のある人が歯科治療前に薬を勝手に中止したり、体調不良のときに歯科治療を受けると、肝性昏睡と言って、意識障害を起こすことがありますから、薬をやめたり、体調が悪いときは、歯科治療を避けるようにしてください。
また、肝硬変や肝がんの人は、食道静脈の破裂に注意が必要です。
肝硬変や肝がんになると、肝臓に向かってる血管(門脈)の血流が滞って(うっ滞)、門脈圧を亢進させてしまいます。
これが食道静脈瘤の始まりです。
門脈の血圧が上がると、食道の粘膜下にある細い静脈の圧も高くなりり、こぶのように膨れて拡張し、蛇行します。
これを食道静脈瘤といいます。
食道静脈瘤の原因の80%が肝硬変症だと言われています。
肝臓は、「沈黙の臓器」と言われ、症状が進行するまでは自覚症状がほとんどありません。
肝硬変症などでは、手のひらが赤らんだり、前胸部などの皮膚にクモが足を広げたような赤い斑点ができたりしますので、普段気を付けて見逃さないようにしてください。
また、肝硬変症により、脾臓が大きく腫れると、赤血球や白血球、血小板が減少します。
腹部に水が溜まったり、胃粘膜が弱って、出血しやすくなる症状がみられます。

食道静脈瘤には、破れやすいものと破れにくいものがあります。
歯科治療を受診するときは、事前に主治医に破れやすい状態かを確認してもらう必要があります。
たとえ破れやすくない状態だとしても、できる限り体調を整えて歯科治療を受けることが重要です。

慢性肝炎

慢性肝炎では、副腎皮質ホルモン等の免疫抑制剤を使用していることがありますから、感染や副腎皮質不全に十分注意する必要があります。
慢性肝炎が命に関わることはありませんが、肝硬変にあると生命に関わることがあります。
肝硬変による三大死因は、「消化管出血」、「肝がん」、「肝不全」の3つです。
ここで、肝硬変に関しておおざっぱに説明しておきたいと思います。
肝硬変とは、何らかの原因で肝細胞(肝臓の機能と営んでいる細胞)が壊れ、その空間を埋める支持組織、つまり、繊維が形成された状態を指します。
肝細胞が壊れると、次々に繊維と入れ替わって、文字通り硬くなります。
繊維が増えるとき、肝細胞の方が並び方や構成が変化し、5‐20㎜の再生結節と呼ばれるごつごつとしたしこりができてきます。
また、線維に取り囲まれた健康な細胞は血液から十分な酸素と栄養素が供給されなくなり、機能が低下していきます。

肝硬変の原因は、最も多いのが、C型肝炎です。
肝硬変の全体の75%を占めると言われています。
B型肝炎は約10%dす。
残りは、アルコール性肝障害から起こるもので、約10-15%と考えられています。
次に、肝硬変の検査ですが、肝臓の硬さや脾臓の腫れを調べたり、クモ状血管腫の有無、腹水の湯無、鳥の羽ばたくような手の震え(羽ばたき震戦)の有無を調べます。
血液検査では、アルブミンやコリンエステラーゼの低下、プロトロンビンの時間延長が肝硬変の重症度を診るうえで有効です。
これらは、いずれも肝臓で作られるタンパク質です。
コレステロールも肝臓で作られますから、肝機能が低下すると、血液中のコレステロールの量も低下します。
トランスアミナーゼ(GOT、GPT)は肝細胞が壊されているとき、血液中に放出される酵素タンパクです。
肝硬変のときは逆に低下していることも多いので、注意が必要です。

肝性脳症のときには、血液中のアンモニアの増加や、分枝鎖アミノ酸に対する芳香族アミノ酸の比の低下等を参考に治療を進めます。
肝がんの早期発見にはα-フェトプロテイン(AFP)やPIVKA-Ⅱなどの腫瘍マーカーを定期的に調べます。
画像検査としては、CT、MRI、超音波検査(エコー)などがあります。

今回で、全身疾患と歯科治療の連載は終了です。
次回からは、歯科における緊急時の対応について連載開始します。

院長:荒内