学齢期の歯と口の状態2
もくじ
おはようございます。もう7月31日ですが、関東地方はまだ、梅雨が明けていません。
それどころか各地で河川の氾濫が起き、住宅地への浸水や土砂災害などが起こっています。自然災害に加えて新型コロナウイルスの感染拡大が各地に広がり、第2波と言われています。再度3密を避け、マスクの使用、手洗い、うがいに気を付けましょう。
今回は第61回院長先生のコラムです。
「学齢期の歯と口の中の状態2」
の続きです。
〈歯肉の変化〉
1、健康な歯肉の特徴
①歯肉の色が薄いピンク色です。
②歯間乳頭(歯と歯の間にある歯肉)に弾力があります。
③歯肉が引き締まっているので歯にシッカリついています。
④リンゴをかじったり、歯磨きをした時、出血しない。
2、歯肉炎の歯肉の特徴
①歯肉の色がピンクから赤味を帯びて来ます。
②歯間乳頭が丸みを帯びて晴れて来ます。
③リンゴをかじったり、歯磨きをすると出血します。
④歯と腫れた歯肉の間に歯垢(プラーク)が溜まります。
3、歯周炎の歯肉の特徴
①歯肉の色が赤紫色になります。
②歯間乳頭が更に腫れて来ます。
③歯と歯の間が開いて来て、物が詰まるようになります。
④歯肉が下がって来て、歯が長く見えるようになります。
⑤歯周ポケットが深くなって、歯槽骨が溶けていきます。歯の動揺が進んでいきます。
〈歯周病の予防〉
成人のおよそ80%がかかっていると言われています。ちょっと古い統計ですが、2008年の厚生労働省の調査結果では、日本人がかかる病気で1番多かったのは、高血圧で、第2位が歯の疾患、第3位は糖尿病だったそうです。
1、歯周病予防の最も重要なことは、なんと言っても、ブラッシングです。自己流の歯磨きでは、歯垢を落とし切れていない事が殆どです。かかりつけ歯科医で正しいブラッシングを教わることをお勧めします。
①磨き方のコツを教わって下さい。
②自分に合った歯ブラシを見つけて下さい。
③歯ブラシを用途別に何本か使い分けて下さい。
④歯ブラシの補助ツールが重要です。(フロスや歯間ブラシ)
2、生活習慣を見直してください。
①栄養バランスのとれた食事が大事です。
②アルコールやタバコは控え目に、出来れば禁煙をお勧めします。
③規則正しい生活が大切です。
④体温を37℃に保つ事が、免疫力を最大限にしてくれます。体温を37℃に保つには、ショウガのように体を温めてくれる食品を食べて下さい。そして軽い運動とお風呂に入る事です。
⑤疲れやストレスを溜めない工夫をして下さい。
3、かかりつけ歯科医で、半年に1回、出来れば3カ月に1回定期的チェックを受けることをお勧めします。
①歯の表面のザラつきや治療してもらった修復物の脱離や変形等をチェックしてもらって下さい。
②自分では取りきれなかった歯垢や着色を綺麗にしてもらって下さい。
③強い噛みしめや寝てる時の歯ぎしり等のチェックと対策をして貰って下さい。
④噛み合わせをチェックしてもらって下さい。
〈歯周病が全身に与える悪影響〉
1、細菌性肺炎
高齢者の肺炎の大部分が誤嚥性肺炎と言われています。口腔清掃によって、この肺炎の発症率が、著しく低下することが報告されています。
2、糖尿病
歯周病によって生産される炎症物質が、全身へ持続的に供給され、インスリン抵抗性があるため、糖尿病発症の1つのリスクファクターと考えられています。そして、歯周病が糖尿病を悪化させ、糖尿病が歯周病を悪化させます。適切な治療がなされなければ、負のスパイラルに陥ります。
3、動脈硬化
歯周病による病変部から、持続的な炎症物質が供給されると、アテローム性動脈硬化の誘因の1つと考えられています。
4、心筋梗塞
動脈硬化と同じ理由で、心筋梗塞との関連が高いと考えられています。
5、バージャー病
閉塞性血栓性血管炎の1種です。病変部から歯周病原菌のスピロヘータが高率に検出されています。
6、早産や低体重児
子宮収縮を促すプロスタグランジンが、歯周病の進行とともに妊婦さんの血液の中で増加します。又、タバコが極めて大きな悪影響を与えます。
7、エイズ
歯周病がエイズを悪化させると考えられています。
8、癌、骨粗鬆症、メタボリックシンドローム、関節炎、腎臓疾患等を悪化させると考えられています。
今回は、ここで終わらせて頂きます。
次回は第62回です「学齢期の歯と口の健康」についてお話しさせて頂きます。