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    成人期の抜歯・麻酔Ⅳ

    著者:デンタルオフィス湊

    こんにちは。ついに今年も半年が過ぎました。今年の1月から3カ月位は普通に暮らしていたはずですが、その後の緊急事態宣言による自粛生活、オリンピックの中止等、新型コロナ感染症による生活の急変4月以降のことしか思い出せません。早く「新しい生活」が決まり、それに慣れて、リズミカルに生活できるようになりたいものです。

    今回は熱田による

    「成人期の抜歯・麻酔Ⅳ」

    です。

    1、智歯(親知らず)は抜歯したほうが良いのか?

    智歯だから抜歯したほうが、良いということはありません。キチンと上下で噛みあっていて、食事をする時に役立っているのであれば、抜歯する必要はありません。ただ、現代の日本人の中で智歯がキチンと歯列の中に並ぶ人は少なく、多くの場合、特に下顎の智歯は横に傾いたり、中途半端に生えたりしています。この場合、下顎の智歯の周囲の歯肉が炎症を起こし易く、いわゆる智歯周囲炎と言う状態になります。そうすると、智歯周囲の骨(歯槽骨)も炎症のため溶けてきて(吸収されて)しまいます。同時に噛み合っていない上顎の智歯は飛び出してきて、下顎の第二大臼歯や歯肉と当たってしまうことがあります。そうなると顎間節にも負担がかかりますので抜歯します。

    また、女性は妊娠すると「つわり」が起こり口腔内を清潔にしにくくなる場合があります。それ加えてホルモンバランスが変わり歯肉が腫れやすくなりますので、妊娠時に智歯が腫れやすくなります。そのような時に、抗生物質を飲んで腫れを抑えたり、安定期になるまで待って抜歯をしたりするよりは、結婚前に抜歯をしておくことをお勧めします。

    下顎の智歯を抜歯するに当たっては、智歯の歯根の先端と下顎骨の中を走る下歯槽神経とが交叉または近接している場合があり、抜歯の際に神経を損傷することもあります。このようなことを起こさない為に、専門機関(大学病院の口腔外科)の診察や検査を受けた上で抜歯を行うことをお勧めします。

    2、抜歯が恐ろしいのですが、何か良い方法はありますか?

    多くの患者さんにとって、抜歯は歯を削る事や歯を削るためのタービンエンジンの音、麻酔の注射などと並んで歯科治療の中の恐ろしい行為の代表だと思います。

    まず大前提となるのは、信頼してご自身の抜歯を任せることができる歯科医師に診てもらうことだと思います。

    全く不安なく歯科医院を受診するというのは、なかなか難しいことだとは思いますが、不安は痛みを強くし、痛みは不安を更に増して悪循環になります。お友達やご近所の評判から、信頼できそうな歯科医師を探してみてください。

    そのうえで、更に積極的に抜歯など歯科治療中の恐怖や不安を軽減する方法として精神鎮静法があります。低濃度の亜酸化窒素(笑気ガス)を吸う吸入鎮静法と鎮静薬などを静注する静脈内鎮静法とがあり、いずれも意識を失うことなく歯科治療中の恐怖や不安が軽減します。

    吸入鎮静法は一般の歯科医院でも導入しており、簡便で安全性の高い方法です。

    静脈内鎮静法はより強い効果が得られますが、専門的なトレーニングを積んだ歯科医師が行うのが安全であり、大学病院や総合病院などで主に行われています。歯学部付属病院には静脈内鎮静法など専門的な診療を行う歯科麻酔科が設置されていますのでご相談ください。

    3、抜歯の前・後に注意することは?

    抜歯は、小さいとはいえ手術です。手術である以上、身体にかなりの負担がかかります。まずは抜歯の前には疲れを溜めないようにし、抜歯の後には安静を保ちましょう。身体が疲れていると身体の免疫(抵抗力)が低下し、抜歯後の炎症の程度が悪化して感染が起こりやすくなります。また、抜歯後に安静を保たないと、やはり同様に炎症が強くなります。体調が万全の状態で抜歯の前後を過ごすようにしてください。

    抜歯後には、風呂や飲酒など、体を温め血行を良くすることは避けたほうが安全です。抜歯後に血行を良くすると、炎症を強くし、腫れが長時間持続することになります。また、過度なうがいを避けて下さい。抜歯後には、歯の抜けた穴(抜歯窩)に血餅が出来て、治癒を早めてくれます。うがいをし過ぎると、この血餅が取れてしまい、骨が露出した状態(ドライソケット)になってしまいます。こうなると長時間痛みが持続することになります。

    抜歯後には、主治医から抗菌薬や鎮痛薬などが処方されることがあると思います。主治医の指示に従って、適切な量を適切な間隔で服用して下さい。服用量や服用間隔を自分勝手に変えてしまうと副作用が強くなったりします。また、薬を処方してもらう際には、ご自身が普段常用している薬物の名前を主治医に知らせて下さい。場合によっては、併用すると副作用が現れやすいものがあるので、注意が必要です。

    今回はここまでにさせていただきます。次回も「成人期の橋・麻酔Ⅴ」となります。