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抜歯後の注意点や歯科で使う薬

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。世界中に蔓延している新型コロナウイルス感染の拡大が止まりません。不要不急の外出の自粛も今のところ目に見える効果は得られていません。世界中で何が有効か探っている状況です。ワクチンが出来るまで今のような状況はまだまだ続くようです。皆で元の状態になるまで、頑張りましょう。

今回は院長先生の第56回目のコラムを掲載致します。

1、抜歯後の注意点

保護者の方は抜歯する時大変心配になられると思います。例えば、血止まらない時、痛みが出ている時、或いは熱が出たり腫れた時等です。お母さん方が心配されていることを、私達、歯科医も心配しております。ですから、血が止まりにくい子供さん、いわゆる出血傾向のある子供さんの抜歯をする時は、抜歯する前に血液凝固よ因子などを投与してから抜歯します。又感染し易い子供さんには、術前、術後に抗生剤を飲んでもらいます。又ショックを起こし易い子供さんには予めステロイド剤を投与します。次に健康な子供さんに対して注意を挙げておきます。

①抜歯後、口の中を吸わないで下さい。

折角、出来た血餅(血のかたまりでかさぶたの役目をしています。)が、傷口からはがれてしまいます。血餅が剥がれると、また、出血してしまいます。

②歯を抜いた所で、噛まないで下さい。

血餅は壊れ易いので、噛んだりすると簡単に壊れて後出血の原因になります。

③唾液を強く吐き出さないで下さい。

強く吐き出すことによって、血餅が壊れたりします。又、強く吐き出すと、その直後に吸う運動が連動しますので、血餅が剥がれて、後出血の原因になります。

④うがいを頻繁にしないで下さい。

たくさんうがいをすると血餅が流されてしまいます。血餅が流されると後出血の原因になるだけで無く血が止まりにくくなります。

⑤運動はしないで下さい。

心拍数や血圧が上がり、出血を起こし易くなります。

⑥入浴(お風呂)は避けて下さい。運動と同じように心拍数や血圧が上がります。又抜歯窩に雑菌が入る可能性があります。

⑦指や舌で抜歯窩を触らにで下さい。

血餅が摂れたり、雑菌が入る可能性があります。

2,もし出血が起きたらどうするか?

歯科医院では抜歯後の出血を確認してから、お帰り頂きますが、帰宅後、再度、出血することがあります。殆どの場合、心配は要りません。時々お母さん方から「朝起きたらシーツや枕が血だらけだった」と言われることがあります。もしシーツや枕に「血のり」が無ければ心配はありません。或いは子供さんに異常が無ければ大丈夫です。口の中には唾液がありますので、少し血がにじむだけでも赤く染まってしまいます。まるで全部血のように見えてしまいます。一旦止血しても、また血がにじむことはよくある事です。もし血が止まらないようでしたら、清潔なガーゼかティーバックを15分位、噛んだままにして下さい。それでも止まらない時は、歯科医院で診てもらって下さい。

3、もし痛んだり腫れたらどうするか?

抜歯後にもし痛み出したら歯科医院で出した痛み止めを飲んで下さい。腫れが軽度であれば安静にして下さい。手術をしたのならば別ですが、子供さんの歯を抜いただけでは殆ど心配される必要はありません。しかし、万が一、ひどく腫れたり、出血班が出たり、強い痛みが続くようでしたら歯科医院を受診して下さい。

4、歯科医院で出す薬について

患者さんの中には、以外とたくさんの方が「歯は全身と余り関係がない」と思っていらっしゃいます。しかし、お薬を1つとっても歯が全身と深く関係していることが分かります。例えば、歯科で痛み止めを出すとします。その薬を出す為には多くの事をお聞きしなければなりません。

アレルギーもしくはアナフィラキシーショックを起こさないか?或いは、肛門科からも眼科からも痛み止めが出ているとします。歯科医が、その事を知らなければ、通常通りの処方してしまいます。そうしますと、その患者さんは同じ痛み止めを約3倍くらい服用することになります。こういうトラブルを無くす為に、お薬手帳がとても大事です。貰った薬のツールを必ずお薬手帳に貼っておくようにお願いします。又、初診時、歯以外の部分をお聞きしますので、御協力をお願いします。虫歯(齲蝕)や歯周病だけで無く顎骨炎、顎関節症、口腔粘膜疾患、口腔腫瘍(癌)等は全身に影響を与えます。又、全身状態が、これからの疾患に大きな影響を与えます。

5、具体的なお薬について

①抗菌剤(抗生剤)

歯科疾患の多くは細菌感染症です。そのため細菌感染を抑え、腫れを抑え、痛みを抑える薬が多く出されます。歯科疾患は内科やその他の科と違って、薬だけでは治りません。歯や歯肉の疾患は、自然に治る事は、殆どありません。ですから虫歯や歯周病の治療をしながら、薬を飲んで頂きたいと思います。幼児では細菌感染症だけでなくウイルス感染症もあります。口腔内にも症状が出るものもあります。主なウイルス感染症としては、疱疹性歯肉口内炎や手足口病、ヘルパンギーナ(夏風邪の代表的疾患)等があります。ウイルスに効果のある薬は、あまり多くはありませんが、いくつかの抗ウイルス薬がありますので、効果がある場合は服用して頂きます。

天然由来の抗生剤だけでも5,000~6,000種類あると言われています。その中で実際に使われているのは約70種類前後です。この中で代表的な抗生物質を8種類に分類しています。歯科で使われる抗生剤は通常5種類です。

a,ペニシリン系

主に歯周病組織炎や歯冠周囲炎、顎炎に処方されています。細菌の細胞壁の合成阻害をします。

代表的なものに、ビクシリン(アンピ、シリン)、サワシリン(アモキシシリン)、ベングッド(バカンピシリン)があります。

b,セファム系

ペニシリンショックを抑える為に作られたものです。作用機序はペニシリンと同じです。細胞の才能壁の合成阻害です。

代表的なものに、フロモックス、セフゾン、バナン、ケフレックスがあります。ペニシリンと同じβシクタムに分類され、その他のグリコぺプチド、ホスホマイシンがあります。

c,マクロライド系

細菌の蛋白合成を阻害します。これは、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、副鼻腔炎、咽頭炎、扁桃炎に処方されます。主な薬は、エリスロマイシン、クラリス、ジスロマック、ジョサマイシンです。

d,テトラサイクリン系

マクロライド系と同じで、細菌の蛋白質合成を阻害する薬です。これは化膿性唾液腺炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、副鼻腔炎等に使われています。

主な薬はビブラマイシン(一般名ミノサイクリン)商品名はミノマイシンです。

e,クロラムフェニコール系

マクロライド系と同じです。歯周組織炎、歯冠周囲炎、副鼻腔炎、中耳炎等に使われます。

主な薬はクロロマイセチンです。

又、一切天然由来のものが無く、人工的に作られた殺菌剤を抗生剤に対して抗菌剤と言います。

②痛み止め

痛みは、傷や心が絡み合って脳が反応することによって起こると言われています。単純な反射的感覚ではありません。ここでは痛みのメカニズムによって四つに分けて、それぞれに対する痛み止めを列挙していこうと思います。

a,傷から末梢神経を通じて感じる痛み

傷から末梢神経を通じて感じる痛みに対する薬は大半が非ステロイド鎮痛剤です。NSAID’sとも言われています。ロキソニン、セレコックス、ボルタレン等。

b,末梢神経そのものの痛み

これは帯状疱疹後神経痛や糖尿病等によるしびれや痛みです。外傷は無いんですが、神経自体が原因で起こる痛みです。このような痛みに対しては、通常、抗てんかん薬、抗   うつ薬(三環系抗うつ薬SNR1)が処方されています。最近では、神経痛治療薬である「リリカ」や痛みに対する有効成分を組み合わせた「トラムセット」が開発されています。

c、心因性の痛み

これは、神経や体には殆ど問題が無いのに痛みがあったり、心理的問題や社会的要因等、

多くの要素で成り立つ痛みです。これらの痛みは薬物療法だけでなく、精神療法も同時

に行うと効果が期待されるそうです。

d、脳や脊髄の痛み

交通事故等で、脳や脊髄が傷ついて起こる痛みです。このタイプの痛みは、薬だけでは

鎮痛出来ない事が多いので患者さんの考えかたや意識や行動を工夫する必要があると言

われています。又、内服薬と神経ブロック注射、理学療法、精神療法等を上手に組み合

わせた、総合的な治療が必要となります。

6、感染の予防薬

子供さんの中には先天性疾患や代謝疾患を持ってる子供さんがいます。そういう子供さんは、最近や真菌等に感染し易く又、感染すると重篤になり易いと言われています。その為、感染予防の為に飲んでもらった薬の効果が、治療中に最大になるように、抗菌薬の飲む時間を指定する時があります。

7、抗不安薬

歯科治療に対して、著しく恐怖感が強かったり泣き叫んで暴れたりして治療が出来ない時は、マイナートランキライザー等を服用していただく事があります。マイナートランキライザーは気持ちを落ち着かせる為の薬で、穏和安定薬と呼ばれています。いわゆる抗不安薬、精神安定剤と言われている薬です。ベンゾジアゼピンが多く使われえています。

8、出された薬に対する注意

それぞれの薬が最もよく効果が出るように、又副作用が最も少なくなるように服用の指示をしておりますので、その指示に従ってお飲みください。例えば、服用時間や食前か食後か、食事と食事の間に飲むような指示をします。又、抗菌薬等は症状が良くなっても、指示通り飲み切って下さい。途中で中止すると耐性菌が出来てしまいます。耐性菌とは抗菌薬の影響を受けたが、薬を途中で止めた為に、生き残った菌で、この菌が飲んだ抗菌薬にたいして耐性を獲得した菌、つまり次回から同じ抗菌薬では死ななくなってしまった菌の事を言います。

今回は、ここで終わりたいと思います。

次回は第57回目で、「学齢期の心と体」についてお話します。