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    成人期のむし歯(齲蝕)

    著者:デンタルオフィス湊

    おはようございます。4月7日、安倍首相が新型コロナウイルス対策として、緊急事態宣言を発令しました。首相曰く「ロックダウンではない」との事でした。欧米諸国が、ロックダウンし、外出に強い制限をかけているのとは、確かに違います。これで、この拡大が収束傾向になったら、大したものだと思います。自分が感染していたらと考え、他者にうつさないようにするにはと考えながら、不要不急の外出を控えましょう。世界的にこのような状境ですので、皆で頑張りましょう。

    今回は熱田がコラムを書かせて頂きます。

    「成人期のむし歯(齲蝕)」

    1、成人期のむし歯の特徴

    一般に永久歯は乳歯に比べて丈夫で、特に歯の表面の硬いエナメル質は乳歯の倍ほどの厚さで石灰化が強く、さまざまな外界の刺激に抵抗できるようになっています。むし歯(齲蝕)の進行も乳歯ほど早くはありません。しかし、個人差もあり、また食生活の変化などの影響もあって一概には言えません。

    むし歯は、物を食べてからむし歯のバイキンが3分ぐらいしてから食べかすを腐らせ、すっぱい酸にして30分位の間にこの酸が歯を溶かして作られると考えられています。むし歯の進行も乳歯に比べおおむね遅く、重篤な状態になりやすいのです。

    成人期では、どちらかというと歯の表面よりは歯と歯の間で歯肉(歯ぐき)に近い所(隣接面歯頚部)、見つけにくい場所に多く見られ、自己チェックが不十分になるようです。進行した状態で発見されることが多く見られます。

    更に、一度詰めたり被せたりした歯は、二度とむし歯にならないという誤った安心感などから、手入れを怠り、再びむし歯に(二次齲蝕と呼ばれます)になってしまうことも見受けられます。また神経が死んでしまった歯(失活歯と呼ばれます)は、痛みの症状が現れにくいので疾患の進行に気づかず、一般に多忙で無症状であれば放置する傾向があるため、かなり進行した状態で発見されることも少なくありません。

    あまりひどい場合には、歯を抜かなければならなくなってしまうこともあります。また歯周病などによって歯肉が下がって、歯の根のセメント質という部分が露出してしまうことなどにより、そこにむし歯を作り始めてしまうこともあります。

    今後二度と生え変わる事がなく、また自然治癒力のない永久歯のむし歯や歯周病の進行を少しでも遅らせ、人生100年時代と言われてるに伴って歯も長生きしてもらう必要があります。

    2、むし歯の進行度合いに応じた治療

    (1)C1カリエス1度(エナメル質あるいはセメント質までのむし歯)

    むし歯の初期で、歯の表面のみ(エナメル質の白濁など)の段階のむし歯では処置をせず経過を見ることもあります。口腔清掃を十分行い、再石灰化と言って自然の修復を期待する考えです。

    歯の噛み合わせ部にある溝が黒くなっている場合、先ず削らずに様子を見ます治療せざるを得ない時は、基本的な処置としては、むし歯になった部分を削り、そこに人工的な材料を詰めます。材料は金属や歯科用レジン(コンポッジトレジン、硬質レジン)などがありますが、最近では前歯だけでなく、奥歯でも見た目の問題と材料の進歩から、歯科用レジンが多く使われているようです程度によっては経過観察による処置という考えもあります。

    (2)C2カリエス2度(象牙質まで進んだむし歯)

    ここまで進んだ場合でも自覚症状は殆どない場合が多く、せいぜい水など冷たい物にしみる程度です。それゆえエックス線写真による診断などで、歯科医院でたまたま発見されることが多いようです。歯の間にむし歯が作られていることが多く、基本的な処置では、前歯では歯の色に似た歯科用レジンを詰めます。奥歯では噛む力が多くかかるため、削りとった部分の型(印象と言います)を採り、その型をもとに作った金属鋳造物(インレー)をセメント(接着剤)でつける方法が最も一般的す。

    最近では、見た目の問題と材料の進歩で、先のコンポジットレジンやセラミック、その中間的材料が使われるようにもなってきています。

    なお、これらはあくまで人工物に置き換えた治療ですので、手入れをしないと詰めた物の縁と歯の間から、再びむし歯が進行することもあります。

    処置をしたからと言って安心せずに、少しでも黒いところを見つけたら早めに処置を受けましょう。

    (3)C3カリエス3度(神経=歯髄まで進んだむし歯)

    この段階は、見た目にもはっきり大きな穴が開いて、神経(歯髄)まで侵されていることが多いのです。そのため温かいものにしみたり、噛み合わせると痛かったり、さらに何もしなくても痛みがあると言った自覚症状が現れてきます。

    治療は、歯の崩壊が大きいため歯髄をとって、後述する修復処置を行うことが多く、また歯髄が腐ったりしている事もあり、いずれにしても歯の根(歯根)の治療をしなければなりません。そのため治療も複雑になり、薬の交換などで治療回数、期間も長くなる反面、歯が生きた状態にある(生活歯と呼びます)のを保っている歯髄を抜くため、将来的には歯の寿命は短くなります。

    歯の根の治療はたいへん大事な処置で、歯の歯髄が無くなって空洞となった部分を清掃して消毒し、防腐剤や殺菌剤詰めて密封することによって、歯根の先が悪くなるのを防ぎます。

    歯根の治療が終わってからは空洞の部分の型を採り、金属を鋳造して作った土台を入れ、その後、一般的には崩壊した歯の形を再現する被せ物を、やはり金属を鋳造して作り(クラウンと言います)、セメントでつける処置を行います。

    最近はクラウンはセラミックやそれに準じた天然の歯に近い色のものが使われるようになってきています。

    あまり歯髄の炎症がひどいと麻酔も効きにくいこともあり、段階になる前に適切な治療を受けることが歯を長持ちさせることにつながると言えます。

    (4)C4カリエス4度(根および周りの組織まで進んだむし歯)

    歯の根を通り過ぎて細菌が顎の骨の中まで侵入し、骨を溶かした状態の段階です。

    急性症状の時は痛みも激しく、高い熱が出たり、顔まで腫れあがることもあります。慢性経過の場合は骨の中に膿のフクロができて、それが大きいと、歯肉にニキビのような物が現れます。慢性のものではむし歯が大きくなりすぎて、歯を抜かなくてはならない事も少なくありません。また、歯を残せる場合でも、外科処置や矯正治療が必要となることもあります。

    歯を残せる場合の基本的な治療は、ほとんどC3の場合と同じような処置になりますが、より条件が悪くなることは言うまでもありません。

    Q:むし歯の経過観察とはどのような事ですか?

     

    A:小さく、エナメル質の表面にのみあり(一般的にC1と言われるもの)、進行性のものでなければ早く削な無い方が歯の寿命を長くすると思われています。なお、食生活についての注意やプラークコントロールがきちんとされていなければなりません。

    Q:歯が根っこっだけ残っていて痛まないのですがこのままでは具合悪いですか?

    A:根っこだけ残った歯の状態を「残根」と言いますが、残根には食べかすが付きやすく、放置していると歯ぐきに炎症を起こして、お口の中にばい菌が溜まってしまいます。炎症は更に進行すると歯周病へと悪化します。また、ばい菌が喉のほうへ行ってしまうと病気を引き起こす原因になります。このような不衛生な状態を放っておくと、感染してしまう危険度が高くなります。大きな病気をすると免疫力が低下し寝たきりになったりしてしまいます。残根はお手入れが難しくなりますが、お口の中を清潔にする習慣をつけて、しっかりと磨くことが大切です。

    処置については、歯周病の進行や残根歯が揺れてむし歯(齲蝕)が進行している場合は、抜歯を行うことが多いです。比較的根がしっかりしている場合には、むし歯の進行を抑えるためにも根の治療を行ったうえで、さし歯(継続歯)にしたり、キャップをする治療があります。特に痛みも無く、からだへの治療による負担が大きい場合は、抜歯や治療はせずに定期的な歯石の徐去や口腔ケアを行うことで、現状維持に取り組んでいく事もあります。

    Q:神経を取ると歯に良くないと聞きますが本当ですか?

    A:一般に歯の神経と言っている歯髄は、歯の根の先から中心にある菅の中に入っている血管や神経、その他の組織のことを言っています。これらの組織は歯に栄養を送る働きがありますが、それを取ってしまうという事は歯に栄養を送ることができなくなり、歯が死んでしまうことを意味します。死んでしまった歯(失活歯といいます)は神経のある歯に比較して、植物に例えるなら枯れた竹のようにもろくなってしまいます。そのような意味で歯に良くないと言えます。

    Q:大人のむし歯は進みにくいのですか?

    A:永久歯は生え始めて間もない時期においては乳歯と同様に、むし歯に(齲蝕)なりやすいのです。しかし、その後、唾液などの影響に直接さらされることによって、徐々に抵抗力が増していきます。

    すなわち、年齢とともに無機質の結晶が大きくなり、また歯の表面のフッ素の増加も認められます。

    一方、噛み合わされる歯の表面の形態も繰り返し接触していく事により、すり減って単純化されていきます。このような過程で成熟し、むし歯への抵抗力が増してむし歯になりにくくなります。

    なお、歯の質や食生活およびプラークコントロールの状態によっても異なりますが、一度象牙質まで達してしまったむし歯は、進みにくいとは言えません。

    Q:歯は何故割るのですか?

    A:正常な歯でも、構造上の欠陥として小さなヒビをたくさん持っています。しかし、これは歯の健康にとっては障害とはならず、やはり原 因の大部分は外から加わる力という事になります。あたったり、ぶつかったりという大きな衝撃力は、それだけで歯が割れる原因となります。これと同時に注意が必用なのは、氷や飴などを噛み潰すときの「ガリッ」という力です。不用意に梅干しの種子などを噛み潰すのも止めましょう。

    食事や歯軋りなど、普通の日常で歯を噛み合わせるような小さな力でも、繰り返しかかる力はヒビや亀裂の原因となります。人工的に作る冠や詰め物も、相手の歯との当たり方を適正に考慮したものでないと割れる危険度が高まります。

    ここで注目したいのは、神経の生きている歯の方がヒビや亀裂は入りにくく、それに比較して神経を取ってしまった歯は、その後の経過時間が長くなるにしたがって割れる危険度がより高くなります。

    神経を取ってから長く経過した歯は、栄養が断たれているため根自体が脆弱になってしまいますし、むし歯を放置しておいたり、根の治療を放置して健全な歯の部分が少なくなった歯に耐えられない過度な力が加われば、どうしても歯は割れてしまいます。ブリッジや場合によっては部分入れ歯を入れている状態では、さらに大きな力がかかりやすく、割れる危険度が高くなることもあります。

    また、もともと噛む力が強い人や歯軋りなどをする人は、想像できない程の大きな力がかかり特に奥歯では割れえる危険度はかなり高くなります。歯が割れる原因は、歯にかかる過大な力およびその繰り返しと歯、特に根の強度の低下が限界にたっしたことによると考えられます。

    *キシリトール

    キシリトールはむし歯の原因となる菌を含め、口の中にいる細菌によって利用されない単糖アルコールです。さらに①代替甘味料、②プラーク抑制作用、すなわちむし歯の原因となる菌に対して活動を抑える作用を示します。他の糖のアルコールと同様、エナメル質の初期脱灰部分に再び石灰化をもたらします。甘味料はショ糖と同程度で味覚もよく、口の中に入れた時の清涼感は強いと言えます。

    以上のような点を考えると、キシリトールは優れた代替甘味料ですが、摂りすぎると腹部不快症状をもたらすという糖アルコール共通の性状に配慮する必要があります。

    今回はここで終わりとなります。次回は「抜歯、麻酔」についてとなります。