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口腔内に症状が出る全身疾患

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。明日の土曜日ごろから台風19号が本州に近づいてきそうです。台風15号のようなコースを通りそうです。ですが台風15号より勢力が強く雨、風とも今年最大の台風だそうです。金曜日の夜から雨風が強く吹くそうです。皆様、ニュースや速報に注意を向けておきましょう。
今回は院長先生による第47回目のコラムです。
「口腔内に症状が出る全身疾患」についての続きです。

9、舌に痛みが出る全身疾患

①帯状疱疹

ヘルペスウイルスによる有痛性の発疹が出ます。稀に痛くない人もいるようですが、殆どの人は痛みに苦しみます。中には自殺を考える程の激痛を訴える人もいます。肋間、頸、顔面、座骨部等、一定の抹消知覚神経に沿って帯状に発疹が起こります。これが名前の由来です。小水疱が群生し周囲が赤くなり、所属リンパ節が腫れます。約3週間で治りますが、神経痛になることがあります。子供の頃に水ぼうそう(水痘)にかかると、そのウイルスが知覚神経節の中に潜伏して、生き続けます。疲労や、ストレス、加齢等で、極端に抵抗力(免疫能)が落ちると、このウイルスが増えて、炎症を起こします。治療は、抗ウイルス薬(ビダラビン)を患部に塗ります。白血球やエイズのような免疫不全の患者さんには、これらの抗ウイルス薬を点滴します。帯状疱疹は、他の人に帯状疱疹としてはうつりません。予防するには、小児科や内科で水ぼうそう(水痘)と同じワクチンを打ってもらう事です。

②水ぼうそう(水痘)

水痘、帯状疱疹ウイルスの感染による急性発疹性感染症です。潜伏期間は、2~3週間です。症状は、1日くらい微熱があった後、痒みのある赤い発疹(紅斑)と水ぶくれが体中に出来ます。極めて感染力が強いので病院に行く前に、「水ぼうそう」の可能性 がある事を電話で伝え、更に受付でも伝えるようにされて下さい。かなり痒みが強いので、冷やしたタオルをを当てて痒みを抑えてあげて下さい。水ぶくれを掻き壊すと、跡が残ってしまうことがあります。数日で、かさぶたが出来て治ります。風痘とも言います。
気を付けていただき頂きたいのは、「みずぼうそう」と「水イボ」は全く違うものです。「水ぼうそう」は、最初、赤い丘疹(赤いブツブツ)が出来ます。真ん中に水をもっていて、やがて黄色い膿が出来て、最後にかさぶたになります。
一方「水イボ」は「伝染性軟属腫」の通称です。こちらは白かピンク、或いは肌色の薬1~5mmくらいの丘疹です。丘疹を良く見ると中心部に小さな凹が見られます。「水イボ」という名前とは逆に、充実性で、中身はウイルスの白い塊が詰まっています。小児科では、これをピンセットでつまんで取ります。「水ぼうそう」は接触だけでなく、空気感染もします。「水イボ」は、直接接触する事によってだけ感染します。

③単純ヘルペス

単純ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルスⅠ型又はⅡ型による感染症の総称です。一般的なものとして、Ⅰ型の口唇ヘルペスとⅡ型の性器ヘルペスがあります。このウイルスは1度感染すると、神経節と呼ばれる部分に潜伏して、永久に生き続けます。そして、風邪や疲労、ストレス等で体力が落ちてる時や、日光にあたった時に再発します。Ⅰ型よりⅡ型の方が、頻繁に再発します。
症状は、口の中や性器に水泡やビランを形成します。強い痛みがある為、性器ヘルペスでは、排尿困難を起こすことがあります。感染原因は、Ⅰ型もⅡ型も発症してる人との接触感染又は、食器やタオル等の共同使用で感染します。それから、性器ヘルペスに感染しているお母さんから生まれる赤ちゃんが、産道を通る時に感染する事があります。もし感染すると、赤ちゃんは、生後数日で、高熱やケイレン、呼吸不全を起こして、死亡する事もあります。又、ヘルペス脳炎になると後遺症を残すこともあります。極めて重大な感染症を引き起こしますから、性交やその類似行為の際はコンドームを正しく使用したり、タオルや食器、飲み物等を一緒に使わないように、くれぐれも気をつけて下さい。
因みに、「近年の若者の抗体保有率」(感染している人の割合)は、予想と大きく異なり、40%以下だと報告されています。以前は殆ど全員、思春期までに感染していると考えられていました。
免疫抑制剤や抗癌剤での治療中やHIV(エイズ)感染者等、免疫力が低下している人は、ウイルスの再活性がしやすくなります。再活性、つまり発症しないように十分な注意が必要です。

④ベーチェット病(指定難病56)

この病気の原因は、いくつか言われてきました。例えば、患者さんの血清中に抗ヒト口腔粘膜抗体が証明されたので自己免疫疾患説、病巣感染アレルギ-説、ブドウ球菌感染説等です。日本の厚生省ベーチェット病調査研究班は1987年に、原因は連鎖球菌であることは、ほぼ確実であると結論づけました。しかし、まだハッキリしていません。
症状は、口腔粘膜と外陰部の再発性アフタ性潰瘍と虹彩炎の三主徴です。日本では、結節性紅斑や毛嚢炎等の皮膚症状を加えて、四代主症状としています。なお、眼症状は虹彩炎の他に、虹彩毛様体炎や網膜ブドウ膜炎(網脈絡膜炎)も含まれます。
ベーチェット病は、193年、トルコの皮膚科医Hulusi Beheetによって報告されました。フランシェティ・バレリオ症候群とも言います。膠原病の1種と言われています。20から40才の男子に多い。
四大主症状
ア、口腔粘膜のアフタ性潰瘍(口内炎)
イ、外陰部の再発性潰瘍
ウ、皮膚症状(結節性紅斑、毛嚢炎)
エ、眼症状(ブドウ膜炎、虹彩炎、虹彩毛様体炎)
副症状として、関節や消化器、血管系、中枢神経系、呼吸器等に炎症を繰り返します。難治性の慢性炎症性疾患です。治療には、コルヒチン、Nsaid、ステロイド剤、免疫抑制剤等が使われます。特殊病型として、腸管ベーチェット病、血管ベーチェット病、神経ベーチェット病があります。
余談ですが、良く似た名前のぺージェット病(Paget’s disease)があります。イギリスの外科医James Pagetによって報告されました。この病気は、乳房または外陰部あるいは肛門周辺部に湿疹様の紅色ビランを生じ徐々に大きくなります。これは一種の前癌状態、或いは癌そのものです。悪くするとベーチェット病は失明し、ぺージェット病は失命します。

⑤ヘルパンギーナ

これはコクサッキ―ウイルスA群の感染で起こる「夏かぜ」の1つです。90%以上が、5才以下の乳幼児がかかります。春の終わりから夏にかけて多発します。急に39℃前後の高熱を出します。食欲がなくなり、機嫌が悪くなり、吐いたりします。年長児では、喉の痛みや頭痛、腹痛も起こったりします。口の中では舌や喉の前口蓋弓から軟口蓋にかけて、直径約2mmの小水疱(水ぶくれ)が、数個から十数個見られます。水ぶくれが潰れて、小さな潰瘍が混在していることもあります。熱は2,3日で下がります。喉の潰瘍も少し遅れて治ります。およそ1週間で感知するのが一般です。有効な薬はありません。

⑥手足口病

主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71が感染しておこる幼児の病気です。発熱と咽頭痛(喉の痛み)で発病し、1~2後に、口や手、足に米粒状で、中心が白色、周囲が赤い発疹が出来ます。数日から1週間で軽快します。

⑦スティーブン・ジョンソン症候群

1922年に米国の2人の小児科医アルバート・メイソンスティーブンスとフランク・チャンブリス・ジョンソンが報告した疾患です。
多形滲出性紅斑症候群、フィッシンガー・レンド―症候群、フックス症候群とも言われます。原因と考えられるのは、薬物やウイルス(マイコプラズマやその他のウイルス)、自己免疫疾患です。
症状は、悪心や高熱を伴って、全身の皮膚、眼、口腔、及び陰部に諸種の病変が現れます。老若男女、誰にでも発症します。左右の手足の同じ部位に、ほぼ円形をした二重に見える鮮紅色の紅斑がめやすの1つです。痒いことが多いと言われています。
上記のような症状が、服薬後(薬を飲んだ後)に起こったら、その薬の名前をお薬手帳に記録しておいてください。治療には入院が必用です。皮膚や粘膜の症状だけで無く、肝臓や腎臓等、様々な臓器にも障害が起こります。薬は副腎皮質ステロイド薬が中心です。その他、免疫グロブリンや抗生物質等も使われます。

今回はここで終わります。次回の48回も「舌に痛みが出る全身疾患」の続きをお話しさせて頂きます。