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続々・要介護者に起きやすい、食べる機能の障害と食事の問題

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。お盆休みが終わりました。後半は台風で皆様の予定も狂いがちではなかったでしょうか?当診療所は予定通りに通常の診療に戻りました。まだまだ、残暑厳しい日が続いています。今一つ秋の気配は感じられません。もう少し、猛暑に耐えないとならなそうですね!頑張りましょう!
今回は熱田のコラムの続きを書かせて頂きます。
「続々・要介護者に起きやすい、食べる機能の障害と食事の問題」

16、食事の途中で声が変る

食事を摂っている途中に、急に声が変ることがあります。私達の体は、食べ物の通路と呼吸の通路が途中まで一緒です。私達は食べ物が間違って呼吸の通路へ入ってしまわないようなメカニズムを持っていますが、その通路のとちゅに食べ物がひっかかってしまうことがあります。
私たちの声は、声帯を振るわせて出すのですが、途中食べ物が途中につかえてしまうと声がガラガラしたり、かすれるような声になることがあります。
食事中に声が変ってしまった時は、まず咳をして引っかかっている食べ物を取り除いてみます。それでもだめなら、仰向けに寝て、床に対して30度体を起こして、うなずきながら飲み込んだり、横を向いて一口唾液を飲み込みます(うなずき嚥下、横向き嚥下)。このようにして飲み込むと、喉につかえている食べ物が押し出され、正しい食物の通路へ入っていきます。床に対して30度
食事中に頻繁に声が変るようなら、誤嚥(誤って食物が気管に入ること)を疑って下さい。

17、食事中に痰の量が増え る

誤嚥の兆候の一つとして痰の増加があげられます。痰の状態をよく見てください。食物が混ざっていたり、食事中、食後に痰が集中する時は誤嚥を疑う必要があります。
しかし痰の増加だけでは誤嚥を確定できません。他に何か症状はありませんか?誤嚥を疑う他のサインとしては、むせるようになった、食事の内容が変わった、食事時間が長くかかる、咳が出る、食欲がない、体重が減った、などの症状や兆候等です。
食事をする時の姿勢、食物の形態が、その人の食べる機能に合っているか確認することがまず必要です。この点を見直しても改善されない場合は専門家の精査、訓練が必要です。

18、流動物しか喉を通らない

流動食しかのどを通らないときに考えられることは、まず喉(咽頭部)の炎症により痛みがひどくて、飲み込むことが困難な場合、食道に病気がある場合(通過障害、腫瘍)などです。又、多数の齲蝕(むし歯)の為に固形物を噛む事ができない、口の中の癌の手術後に同じく固形物を上手に食べられないため、流動食しか喉を通らないということもあります。
対処法としては、炎症性の病気の場合は、消炎鎮痛薬、抗生剤の投与を受けます。その他の場合も専門家による精査、治療が必要です。又、高カロリーの経口流動食などを摂取するなどして低栄養、脱水にならないような対処が必要です。

19、食後に集中して咳が出る

誤嚥を疑います。食事中に咳き込まないのに食後に何故と思うかもしれませんが、むせや咳を伴わない場合でも誤嚥を起こしていることがあります。また、誤嚥した食物が肺に到達するのには時間がかかるため、食後に咳が集中して出てくるのです。
食事の際の姿勢、食物の形態、食べる人の機能に合っているか確認し、「食事中に痰の量が増える」の項で述べた、誤嚥を疑うサインがあるか確認しましょう。そして、専門家の精査を受けます。

20、食事中・食後に疲労が見られる

食べ物を口の中でする潰し、飲み込むという行為は、あたりまえで簡単そうなことですが、何種類もの筋肉や神経が協調して働く、実はとても複雑な動きなのです。
老化と共に人の運動機能の筋肉は衰えていくものですが、食べるための筋肉も同じです。疲れてしまう場合の食事の形態はどうでしょう。噛む力が弱いのに固いものが多く、また、水分が少なく飲み込みにくくありませんか。
このような場合は、食物の形を軟らかくする、飲み込みやすく、まとまりやすいように、あんかけ、とろみをつけるなどの工夫をしてみてください。
また、入れ歯をしている場合は、よく合っているか調べてみましょう。飲み込むときに口がしっかり閉じられてことも大切です。
食事のたびに疲労感があるようでしたら、誤嚥をしている可能性もあります。むせたり、咳き込んだりする事なしに誤嚥をしている場合もあり、この時には非常に疲れが見られます。

21、飲み込んだ食べ物が逆流する

食べ物は口から喉、食道を通って胃に到達します。しかし、食道の入り口と胃の入り口は常に開いているわけではありません。食道の入り口は上部食道括約筋という筋肉に、胃の入り口は下部食道括約筋により、それぞれ普段はぴったりと閉鎖されています。飲み込む行為が始まることで上部食道括約筋が開き、筋肉が再び閉じることによって、胃の中に入っていた食物が逆流するのを防ぐのです。
食道に病気が合ったり、前に記した2つの筋肉に障害があると、いったん胃に入った食物が逆流してくることがあります。これを胃食道逆流症と言います。食道は、蠕動(ぜんどう)運動という波打つような動きで食物を移送しますが、この動きが悪い場合も逆流することがあります。胃から逆流した食物を誤嚥することは、口から入った食物を誤嚥するよりはるかに危険です。胃にいったん入った食物は、酸性になっているからです。
逆流を防ぐためには、食後すぐには横にならないことが重要です。

22、食器についてのさまざまな工夫

食事に問題を抱えている方のために、さまざまな形態の食器、食具が開発されています。また、既存の食器を加工して使いやすくする工夫もあります。
(1)コップ
水分は、入っていくスピードが固形食より速いので、食事の中でも難しいと言えます。
コップを使って飲む時にも固形食と同様、口唇を閉鎖して摂りこむことが大切です。また、口を開いて上向きになって飲むことは、誤嚥につながり、非常に危険です。口唇の介助が必要は方には水分摂取の際に口唇を閉じる介助がしやすく、鼻が当たらず、上を向かないで飲めるように、コップの口をつけるのとは反対側の縁の一部をカットして使います。
(2)スプーン
自分で食事をしている方の中にも、スプーンの操作が上手くいかない方がいます。柄をお湯に入れると形を変えることが出来る樹脂製のスプーンを使うと、自分の手の機能に合った曲がりスプーンを作る事ができます。口唇でのとり込み(捕食)がしやすいよう、口唇正面からスプーンが入るような角度に調整します。
(3)その他の工夫
片麻痺で食器を抑えながら食べるのが困難な方は、食器の下にゴム製のマットをひくと滑りにくくなります。また、お皿の縁が高くなっていてすくい易い工夫がなされているものもあります。

これで「介護を要する方のために」は終わります。次回から「要介護者のさまざまな状態における口腔ケアの実際」をお送り致します。