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介護を必要とする場合の口のケア ─介護を要する方の為に

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。随分と暑くなってきました。7月並みの気温の上昇が見られます。寒暖差が激しいですので体温調節の出来る服装が必要ですね。私も何回か風邪をひきそうになり、「葛根湯」を飲んで風邪予防をしています。皆様もお気を付けください。
今回は、熱田がコラムを書かせて頂きます。
「介護を要する方の為に」
【介護を必要とする場合の口のケア】

1、口腔ケアの重要性

「口腔ケア」で誰もが最初に思い浮かべるのは、「ブラッシング」だと思います。勿論ブラッシングは必要不可欠ですが、はたしてそれだけで良いでしょうか?
口の中は唇が閉じている事により、一定の環境が保たれています。唾液は絶えず口腔内を潤しています。食事中、会話中、あるいはそれ以外の時も盛んに分泌されています。こうしたことは、口腔という器官が備えている生理的な自浄作用です。病気や外傷が口腔内にあると、この作用がうまく働かない為に、生き生きとした口腔機能を維持する事は難しくなります。
そこで、介護を必要とする人の口腔器官に対して、少しでも運動や感覚が健康な状態に近づけることが必要になってきます。これを「口腔ケア」と呼びます。

口腔ケアの目的は、
①虫歯(齲蝕)
②歯周疾患(歯槽膿漏)の予防
③正確な味覚を保ち、食欲増進を促す
④生活のリズムを整える
⑤自ら身体を治すという意欲の高揚をを促す
又、摂食・嚥下に問題のある人にとっては、
⑥麻痺した口腔器官の機能回復を期待し、将来、口から食事をするための準備になる。
⑦誤嚥性肺炎の予防
と言ったことが考えられます。

2、嚥下障害と口腔ケア

たとえば脳卒中の後遺症で手や足に麻痺が残る事があります。実は後遺症は、口や咽にも残ります。すると、食事が思うように噛めない(咀嚼不良)、あるいは飲み込むと食べ物が喉に溜まったままになってしまう(咽頭部貯留)、気管へ食べ物が入ってしまう(誤嚥)と言った事が起こります。これが嚥下障害です。
嚥下障害があると、食事メニューに制限が出たり、なかには口から食べる事が困難なので、チューブ(胃瘻など)で直接、胃に栄養を送ったりといった手立てがなされます。食べたり、話したりといった機会が失われると口腔機能が不活発になり、自浄作用が働かなくなるので、口腔内で細菌が繁殖するようになります。嚥下障害だからこそ、口腔ケアを徹底する必要があります。
口腔ケアは、①口腔衛生管理、②口腔機能の維持・向上の2つの柱から成り立っており、肺炎の原因となる嚥下障害を予防し、おいしく、楽しく、安全な食生活の営みを支援します。

3、誤嚥と窒息

食物や水が誤って気管に入ってしまうことを「誤嚥」と言います。一般的には少量でも食物が気管の方へ入れば、むせ込んで、気管から吐き出そうとします。しかし、喉の感覚が低下していて、気管に物が入り込んでも、むせない場合もあります(むせない誤嚥)。その場合は、喉に物がたまっているので、しゃがれ声(嗄声)になったり、痰が急に出るようになったりします。
むせは、異物を吐き出そうとする防御機転が働いている証拠ですので、悪い事ではありません。むせた時は慌てないことです。介護者は手のひらをカップ状にして、首の付け根あたり(後頚部)や、背中を軽くリズミカルにポンポンと音が出るように叩いて、むせの介助をします。
気管に入ったものが、気管を塞ぎ、呼吸ができなくなってしまうような場合が「窒息」です。窒息を起こした場合は、最初は苦しそうな声と共に顔が真っ赤になった後、即座に唇が青くなり、動きが止まるような状況になります。
厚生労働省の人口動態統計によれば、窒息による死亡者数は2005年に9、319名と報告されており、交通事故死に匹敵する数になっています。

4、誤嚥と肺炎

誤嚥をしたら必ず肺炎になるとも限りません。これは、誤嚥物と成体の抵抗力との力関係が問題で、同じものを誤嚥したとしても肺炎になる人もいれば、なんともない人もいます。
実際には、誤嚥をすれば何%肺炎になるかとの立証は困難です。それは、同じ人であってもその日の体調などによって結果が異なる事、肺炎になっても原因菌と考えられる菌が多数存在し、本当に誤嚥からきているのかどうかの鑑別がしにくいこと、などによります。現在考えられている誤嚥性肺炎には3つのタイプがあります。

①食事中の誤嚥物に細菌が同乗し、そのまま肺炎となるもの。
②喉に宿っていたコロニー(細菌の巣)からの分泌物が、食事以外のとき、例えば睡眠中に器官へ吸引され、肺炎となるもの。
③食事後にすぐ臥床(床について寝ること)させたために、少量の意内容物が逆流し、それを誤嚥したために肺炎となるもの。

健康な老人を調査すると、肺炎を起こす原因菌のコロニーが全体の8%に検出されたのに対し、長期間が称しているような要介護老人では、38%に認められらたとの報告があります。

また、毎食後ブラッシングをして上体を2時間起こしたままにした患者群と、寝たきりのままで過ごした患者群とで、100日間の一人平均発熱日数が、前者の方は2日減少し、後者は逆に6日増加したとの報告もあります。
そこで、誤嚥性の肺炎を予防する為に、
①食後、或いは就寝前んぼ口腔清掃を徹底すること。
②食後すぐに臥床させず、食後2時間くらいは座位かそれに近い状態でいる事。
以上の2点が大切です。
今回はここまでとさせていただきます。次回はこの続きの「続・介護を要する方のために」
をお送り致します。