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「咀嚼」について

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。ここの所、天気が崩れると、気温が下がって寒く感じますね。ゴールデンウイーク中に衣替えをしたいと思っていましたが、予想で、休み明けから気温が下がるとのことで、見送りました。予想が合ったってラッキーでした。
7月の「海の日」まで祝日はありません。体調に気をつけながら乗り切って行きましょう。今回は院長先生の第40回目のコラムです。

咀嚼とは

「咀嚼」についてお話します。「咀嚼」とは、口の中で食べ物をよくかみ砕き、味わうことです。もう少し詳しく言うと、固形の食塊は、下顎の運動と舌や口唇、頬の働きで、上下の歯列の間に運ばれ、噛合わされ、擦り合わされて細かく砕かれる。この運動を咀嚼と言います。この間に食物は唾液と混じり、適当な大きさにまとめられ、唾液中の粘液に包まれて、飲み込みやすい食塊となります。噛み合わせは、左右の顎関節の骨頭を結ぶ線を軸として下顎を回転しながら、上顎に押し付ける運動を言います。切歯では約10~20㎏、臼歯で
30~90㎏に達すると言われています。「噛む」という動作は、身体全体の発育と機能の維持増進にも深い関係があります。実際、良く噛んでる人は年齢に関係無く、全身の健康状態が優れていることが実証されています。最近WHO(世界保健機構)では、歯周病が「心血管系疾患」、「糖尿病」、「細菌性心内膜炎」、「関節リウマチ」、「誤嚥性肺炎」、「早産」、「低体重児出産」等の病気を引き起こしたり、或いはそれらの病気を憎悪させることを明らかにしています。さらに、東京歯科大學の柴原孝彦教授によると、歯磨きをしないと口腔癌が3倍以上増加すると報告しています。
口の中の細菌が食べカスを発行させた時に、発癌物質の1つであるアセトアルデヒドを産生するからという説がありますが、まだ明らかになっていません。歯磨きとの関連があるかどうかは全く分かりませんが、最近、女性の口腔癌が今までの2倍以上、増えてるそうです。
口腔癌は、他の癌より認知度が低い為、かなり進行してから発見されるケースが多いそうです。その為、リンパ節や全身に転移してから治療が開始されえるので、死亡率が高いそうです。少し話がそれましたので、咀嚼の話に戻ります。
幼児期の子供が上手に咀嚼できるようになるには、「口という器官の形態的な成長」、「口の動きの発達」、「食べる意欲」の三つの要素が不可欠です。このうち1つでも欠けると、食べ方に問題が出てくることがあります。

<片側の奥歯でばかり噛んでしまう(片咀嚼)>

誰でも「利き手」があるように、噛む時も「利き側」があります。ですから片咀嚼について、あまり神経質にならないで下さい。しかしもし乳臼歯(奥歯)が生え揃ってなかったり、虫歯があったりすると、そちら側では噛みづらくなります。又、噛み合わせが悪い時も、片側でばかり噛むことがあります。こうなると問題が起こる可能性がありますから、歯磨きをするときに口の中のチェックするようにして下さい。

<うまく飲み込めない>

口の中の食物を飲み込む時には、舌の上に食物をひとかたまり(食塊)にして、飲み込みやすくする必要があります。そして上顎と下顎、上唇と下唇を閉じます。舌を上顎に押し付けて、飲み込みます。小さい子供さんだとこの動きがまだ発達していません。もし飲み込んだ時に、口から食物がこぼれたり、口の中に食物が残っている時は、下で上顎に食物を押し付けた時に、潰せるような軟らかい食物にして下さい。すると徐々に飲み込む動きを覚えていきます。

<よく噛めない>

もし固い物が噛めない時は、食物の硬さが、子供さんの発達段階に合ってないかも知れません。少し軟らかい物に変えてみて下さい。又、歯茎だけでは、繊維性の強い(小松菜のようなもの)食物をすり潰す事は出来ません。仮に乳歯が生えていたとしても、大人と同じ力を発揮する事は出来ません。ですから子供さんの発達段階を見ながら、それに合った食物や調理の仕方を工夫する必要があります。
小松菜や高菜のように繊維性の強い葉物の生野菜や硬い肉などは、健康な大人でさえも、すり潰すのに力と技が必要です。子供さんが積極的に食べたがるとき以外は、繊維性の強い野菜や硬い肉は控えた方がいいと思われます。歯や顎を鍛える為に与えることは、くれえぐれもしないようにしてください。特に鍛えようとしなくても、一般的に子供さんの発達段階と比べて、硬い物を与える傾向があるという報告があります。

<哺乳と同じ方法で食べている>

食物を上手に押し潰して飲み込めない時は、食物の種類によっては、上顎に張り付いたりします。この時、おっぱいを飲む時と同じ動きで、「チュチュ」っとしながら食物を飲み込もうとする場合があるそうです。こういう動きをするのは、子供さんが「不安」や「ストレス」にさらされている可能性があるそうです。心理的な面から見ると「おっぱいを飲むような動き」で、心の栄養を補っているとも考えられるそうです。絶えず、子供さんの行動をみて、何かが不足していないか、或いは何かが過剰に与えられていないかチェックする必要があるそうです。例えば、食事を強要してり、外遊びが不足して、ストレスが溜まっていないか等です。子供さんが「赤ちゃん返り」や「生き生きしていない時」は、生活全体を見直す必要があります。

<噛まないで丸飲みする>

発達段階に合わない食物を与えると、口の中で噛んだり潰したり出来なくなります。すると
仕方なく丸飲みしてしまいます。また子供さんの口に合う「1口の量」が分からないと、どんどんつめ込み過ぎてしまう傾向があります。この時も、子供さんは噛めずに丸飲みしてしまいます。子供さんの発達段階にあった食物や、硬さ、大きさのものを与えるように気を付けて下さい。また、他の子供さんと比べ過ぎないで下さい。比較することで、子供さんに間違ったことをしていると築く事や、病気や異常の早期発見につながる事もありますが、過剰に比べないようにしてください。身長が早く伸びる子供さんも、遅く伸びる子供さんもいます。焦らずに、子供さんの発達に合わせて、食育をしていってください。

<口の中に食物をためる>

食物を口の中にためて飲み込まない時があります。これは、「赤ちゃん返り」と同じ理由で
起こると考えられています。食事の強要や外で遊ばせない為にストレスが溜まって、食事の意欲が無くなってしまったのかも知れません。子供さんの目線で生活環境を見直す必要があるかもしれません。勿論、心理的な面からだけでなく、子供さんの食べ方の発達に合った調理形態になっているかを確認する必要があります。

<前歯を使って食べる、奥歯を使って食べる>

歯の中で、前歯が最初に生えて来ます。それと同時に、口の中の前方の容積が成長と共に広くなっていきます。口の中が広くなるので、舌が動かし易くなり、可動域が広くなります。子供さんッは舌を使って食物を噛んだり、潰したり出来るようになっていきます。手づかみで食べる時期もありますが、成長過程で学ぶことがありますので、禁止しないようにお願いします。前歯は、後で生えて来る奥歯よりも感覚が鋭いことが分かっています。前歯を使って、硬さや形の異なる食物を、どのように食べるか学んでいきます。また、自分の口にあった「1口の大きさや量」を覚えていきます。ですから前歯が生えて来たら、その前歯でかじり取ってると、前方筋群が発達してきます。それにつれて、奥歯や後方筋群もしっかりして来ます。奥歯が生える時に、炎症を起こすことがありますので、硬いものを嫌がる時はチェックしてあげて下さい。1才半になると、口腔機能の基本が殆ど出来上がるそうです。又、3才になると、乳歯が全部生え揃い、乳歯列が完成します。3才までにシッカリ咀嚼の練習をして、正しい咬合の基礎を確立しなければなりません。3才までの一連の練習は、想像以上に重要であることが証明されています。子供さんの一生に大きく関与していると言われています。3才までの具体的な練習が分からない時は「かかりつけ歯科医」にお尋ねください。

<噛まない子、飲み込まない子>

もしも子供さんが、あまり良く噛まなかったり、飲み込まなかったりしたら、まずは子供さんを取り巻く環境を、シッカリ見直す必要があります。勿論、子供さんの機能的問題化、機能に問題が無いかを確認しなければなりません。あるいは、発達過程での習熟不足が原因の時もあります。しかしこの問題の原因としては、圧倒的に子供さんを取り巻く環境に(問題)があると分かっています。例えば、子供さんの前での激しい夫婦喧嘩はしてないでしょうか?或いは、子供さんが1人で食べてないでしょうか?「早く食べなさい」とか「もっと食べなきゃダメ」とか指示ばかりしてないでしょうか?
おやつの与える時間や量、甘い物だけに偏ってないでしょうか?
子供さんの気持ちになって、今一度考えて頂きたいと思います。
今回は、この辺で終わりたいと思います。
次回は「言葉の発達」についてお話します。