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舌、唇、頬、口蓋等に現れる異常 ─妊娠期と乳幼児の歯と口腔内の特徴 39

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。世間一般には明日からスペシャル・ゴールデン・ウイークに突入するのだと思います。前回も書きましたが、当診療所は変更前のカレンダー通りに診療しています。先程も、大きなスーツケースを買っていらっしゃる方がいました。海外旅行でしょうか?!皆様も安全に気を付けて行ってらして下さい。
今回は院長先生のコラムをお送り致します。
第39回です。今回は
「舌、唇、頬、口蓋等に現れる異常」
についてお話しします。

<口の中にできものが出来た時>

歯肉だけで無く、口の中の粘膜には、様々なできものが出来ます。乳幼児の口の中の粘膜は薄くて弱いので、色々な刺激や外傷等によって、すぐに炎症を起こして、赤くなったり腫れたり出血します。ビランや潰瘍が出来やすいのです又、嚢胞と言って粘膜が袋状になって内部に液状のものが溜まったり、コブのような隆起を作る事もあります。いわゆる結節と呼ばれるものです。また、全身的な病気が原因で、口の中にできものが出来る事もあります。病気にかかって直ぐに、口の中の粘膜に変化が現れるので、病気の発見に役立つこともあります。例えば、「はしか」にかかると、皮膚に発疹が出来る3~4日前に、奥歯の近くの頬粘膜に針の頭位の灰白色で赤く縁どられた扁平な斑点が現れます。コプリット斑と言います。

<舌に痛みやできものが出来た時>

舌を間違って噛んだり、強い摩擦が加わると、その箇所に、潰瘍やビラン等の炎症が起こります。傷が深いと出血したり、痛みを伴います。そして冷たい物や熱い物、塩や醤油等の調味料に触れると、激しい痛みを訴えます。これに対する処置は、もし出血していれば、止血します。又、患部を中心に口の中を消毒します。感染防止の為に抗生剤を服用する事もあります。
舌を誤って噛んだ時、舌の先の裏にある唾液腺の排泄間を傷つけると、唾液の流出(排泄)が障害されて、淡い青赤色の水ぶくれができることがあります。粘液嚢胞と言います。下の裏は傷つき易いので、袋が壊れて、ドロッとした粘液が出てくることもあります。袋が壊れて内容物が出ると、治ったように見えますが、再び腫れてきます。口唇では、犬歯のあたりで軽く噛む癖のある人に粘液嚢胞が出来易いです。治すには、嚢胞全体を摘出しなければなりません。

<舌の裏にビランがある時>

下顎に前歯が生えると、その前歯の先端に舌の裏が擦れて、ただれることがあります。この「ただれ」をビランと言います。
糜爛は授乳時期に下顎の前歯が通常より早く生えて来ると起こりやすくなります。母乳を吸う時に、舌を出して乳首をのせてからおっぱいを吸うので、舌の裏が歯の先端に擦れてしまいます。やがて糜爛は潰瘍になっていきます。すると乳幼児は潰瘍による痛みの為、食事が出来なくなります。食べたいのに、口の中に食べ物を入れると痛むので機嫌が悪くなっていきます。糜爛や潰瘍は、これ以外でも起こる事があります。例えば、下顎の乳臼歯がむし歯になって頭の部分が1部分欠けた時です。乳臼歯の一部が欠けると鋭利な辺縁が出来てしまいます。すると舌や歯肉が触れて潰瘍が出来たりします。治療としては、まず歯の鋭縁を除去します。潰瘍部には軟膏を塗ります。

<唇に怪我をした時、できものが出来た時>

打撲や誤って唇を噛むと、舌と同じく潰瘍が出来ます。はじめは受傷した部分の唇が腫れて赤くなりますが、表面が段々に白くなります。やがてかさぶたが出来て、そしてそれが脱落し、数日で治ります。感染しないように清潔に保ち、軟膏を塗っておきましょう。唇が大きく裂けた時は、縫合することもあります。また、誤って噛んだり、噛む癖がある人は、舌と同じように水ぶくれが出来る。ことがあります粘液嚢胞と言います。自然に潰れたり、又、腫れたりします。処置としては、袋を除去し噛む癖をなるべく早く止めるようにします。
箸やフォーク、歯ブラシ、玩具等で口の中を傷つけた時は、傷口を水で洗って、オキシフル等で消毒して下さい。口の中は唾液がある為、少しの出血でも多く感じます。慌てずに傷口から出てる血の量を確認してください。出血が少なければ、清潔なガーゼか綿花で傷口をシッカリ押さえて下さい。約5~10分で止まります口の中の傷は、手足の傷より早く治りますし、傷跡も残りませんので心配は要りません。もし傷が大きくて、止血もできない時は、出来るだけ早く、口腔外科か形成外科を受診してください。

<口内炎を繰り返す時>Stomatitis,Oral Uleer

口内炎とは、口の中や周辺の粘膜に起こる炎症の総称です。ただし、単独の炎症は、口唇炎とか舌炎と言います。口内炎とは、同時に2ヶ所以上の部位に炎症が起こっている時の名称です。口内炎の原因は、分かってるものと、分かってないものがあります。見た目での分類は、「カタル性口内炎」、「アフタ性口内炎」、「潰瘍性口内炎」の3つです。有痛性口内炎と無痛性口内炎があります。
ウイルス感染に伴う口内炎もあります。例えば、単純疱疹、帯状疱疹、手足口病、麻疹等があります。
アフタ性口内炎(一般的に口内炎と言えばこれを言います。)Aphthous Uleer.これには、再発性アフタ性口内炎やベーチェット病による口内炎が含まれます。その他、放射線性口内炎があります。
最も一般的なアフタ性口内炎ですが、原因はまだ分かっていません。ただステロイドによって治りが促進されることは、臨床的に分かっています。主な原因は、偏食による鉄分やビタミンB2,B6,B12の不足、不正交合や乱暴なブラッシング、ドライマウス、口腔内の不潔(不衛生)、汚れた入れ歯の装着、睡眠不足、ストレス等が考えられています。
アフタ性口内炎は、唇や舌、口蓋等に出来ます。形は小円形で、色は白色又は灰白色です。潰瘍になり、周囲は赤くなります。これらは一般的な形状や色です。しかし、様々な形状や色があります。アフタの出来ている部分に食べ物や調味料が触れると、かなり痛いです。唾液がネバネバしてきたリ、唾液をたらしたりする事もあります。口臭が強くなる場合もあります。通常は1~2週間くらいで治ります。口内炎の処置は、先ず口腔内を清潔に保つことが重要です。ブラッシングやフロス、歯間ブラシにより清掃する以外にも、消毒薬によるうがいも効果的です。子供さんが痛がる時は、歯科医院で軟膏を塗ってもらって下さい。

<小帯が切れた時>

上唇の裏側にあります。上顎の真ん中(正中)に唇と歯茎をつないでいる帯状のヒダがあります。これを「上唇小帯」と言います。又、舌の裏側に舌と口腔底をつなぐ「舌小帯」があります。奥歯付近には、頬と顎をつなぐ「頬小帯」があります。
乳児では、小帯の付け根は乳歯のすぐ近くにあります。成長と共に乳歯から離れるように後退して行きます。小帯の位置や大きさ、形は変化していきます。ですから子供さんの小帯がかなり短くても、切り取る手術はしません。小学生や中学生まで様子をみて、舌を前に出してもらった時、舌先が割れてハート形になるようでしたら、或いは舌打ちが出来ないようなら手術をします。上顎では1┴1が上唇小帯のために離開するようでしたら手術をします。ブラッシングの時、歯ブラシが小帯に当ったり、こすれたりすると、ブラッシングを嫌がる様になります。歯ブラシの大きさや硬さ、毛の長さ等をチェックしてみて下さい。

<顎を動かすと痛いとき>

口を開けようとした時、片側、或いは両側の耳の前あたりが痛む時があります。この痛みは食事の時に強くなる時があります。
「顎関節症」と言われます。主な症状は、顎関節やその周辺に異和感がある。食べ物を噛むとき、異和感や痛みがある。食べてると顎がだるい。口を動かすと顎関節が痛む。噛みしめると顎関節が痛い。口を開けたり閉じたりする時、音がする。(クレピタスやクリック)。口の開閉がスムーズにいかない。口が左右に上手く動かない。顎が外れることがある等があげられます。
これらの症状が1つでもあると顎関節症が疑われます。
顎関節症の原因は、上下の歯の噛み合わせの異常が一番多いと言われています。その他、急激なストレスや歯軋り、唇や頬の内側を噛む癖、頬杖、うつぶせ寝、不良姿勢(猫背など)、外傷、悪い噛み合わせ、大口を開けた、硬い物を噛んだ、偏った噛み癖、うつ、不安、睡眠障害等が考えられています。
顎関節症の治療は、何よりも先に噛み合わせを治す事が1番重要です。次に悪い癖を無くす事です。ボクシングのマウスピースのようなものを上顎か下顎に装着する時もあります。重症の時は手術をする事もあります。今回ここで終わります。次は40回で「咀嚼」について話します。