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歯肉について ─妊娠期と乳幼児の歯と口腔内の特徴 38

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。桜の開花と共に、暖かくなると思いきや、又冬に逆戻りしてしまいました。花冷えの新年度開始ですね。新元号も「令和」と決まりました。平和で安心して暮らせる社会にしたいですね。今回は院長先生のコラムをお送りいたします。
第38回です。今回は主に「歯肉について」お話します。

歯肉について

乳幼児の歯肉が腫れたり、痛んだり、血が出たりする主な原因は虫歯です。虫歯が神経(歯髄)まで達しているのに放置すると、神経は死んでしまいます。神経が死ぬと、それまで食事の時に痛んでた歯が全く痛くなくなります。又、冷たい物や熱い物もしみなくなります。しかし、決して治った訳ではありません。虫歯や歯周病、根の病気等は、現在の所、自然に治る事はありません。ですから、もし虫歯や歯周病等になったら出来るだけ早く歯科を受診なさって下さい。話を戻します。痛みが無くなると、ますます虫歯を放置しがちになります。放置すると歯の真ん中あたりにある神経(歯髄)の部屋に、どんどんバイ菌(細菌)が入り、やがて神経がドロドロに溶けて腐って行きます。更に放置すると、バイ菌は歯の根を通過して、骨の方に出てきます。やがて歯周組織(歯肉上皮、歯肉結合組織、歯根膜、。セメント質、歯槽骨等)に炎症を引き起こします。歯槽骨に炎症が起きると、吸収されていきます。歯肉の下には膿がたまったりします。痛みや発熱を伴う時もあります。歯肉から出血を繰り返す時は、出血している所の近くに、大きな虫歯があると思います。出血だけで無く、膿も一緒に出してる時があります。勿論、虫歯ではなく歯肉の炎症がひどくて出血することもあります。いわゆる歯肉炎です。

歯肉炎は歯垢や食べ物のカスが歯肉を刺激して起こります。最初は、歯と歯肉の境目の所や歯と歯の間にある歯肉赤くなったり腫れたりする程度ですが、進行すると出血するようになります。乳歯が生えて来るとき、歯肉が炎症を起こして出血することもあります。これを萌出性歯肉炎と言います。これらは、汚れてる所や乳歯が生えて来る所だけに起こりますから、局所的なものです。しかし、歯肉全体から出血が起こったり、口の中全体に口内炎ができる時は、全身的病気が原因かも知れませんので、歯科か小児科を受診なさってください。

上皮真珠について

次に「上皮真珠」についてお話します。
「上皮真珠」とは乳歯が生える前に歯胚の発育過程で離断された歯堤が吸収されずに残り、角化したものです。新生児や乳児の歯肉に白色や黄白色の直系1mm~数mmの小さな塊が見えます1個か2個、或いは歯肉全体にたくさん現れることもあります。上顎が現れることが多いと言われています。これが真珠のように見えるので上皮真珠と呼んでいます。真珠と呼ばれていますが、硬くはありません。中身は白っぽいクリーム状です。我が国の発生率は生まれたての赤ちゃんで約40%に見られます。決して珍しい物ではありません。いずれ自然に脱落しますので、治療する必要はありません。又、乳歯の萌出に影響しませんから安心して下さい。もしこれが固かったら、先天性歯の可能性がありますので、一度、歯科医院を受診されて下さい。

歯肉の色がおかしくなる原因

歯肉の色がおかしくなる原因についてお話します。1つは萌出性血種によるものです。乳歯が生える数週間前に、その部分の歯肉が紫色に腫れることがあります。萌出性嚢胞と言います。食物が当たったり、噛んだりして、袋(嚢胞)の中に血が流れ込んだりすると歯肉の色が変わります。もう1つの原因は、メラニン色素の沈着です。メラニンは上皮基底細胞層に散在するメラノサイトで合成され、付近の基底細胞の細胞質内に顆粒状んの褐色色素として沈着します。これが過剰に沈着すると歯肉の色を褐色や黒褐色に変色させてしまいます。しかしこれは全く無害ですから心配する必要はありません。前歯の歯肉によく現れますので、気になる方は、歯科医院で除去されてください。極めて簡単に漂白できます。時間5分は程度です。1回で除去できない場合は、2~3回繰り返して漂白します。生理的メラニン沈着は高齢者で多くなります。全身疾患に伴う変色もあります。主な全身疾患としては、アジソン病、ポイツ・シュガース症候群、バセドウ病、ヘモクロマトーシス等があります。

歯肉は非常に敏感な組織です局所的な原因として、口腔内の不衛生が考えられます。歯垢や食べカスによって歯肉炎が引き起こされます。全身的な病気に伴って、赤く腫れたり、出血したり、或いは白いボツボツや水泡ができたりします。このような変化が現れたら、家庭で治そうとする前に、ただちに歯科か小児科を受診されて下さい。そして重篤な病気の有無の確認と治療法を確認してください。又、口の中がしみたり、痛む時は、どうすればいいのか、そして食事の与え方等も教わって下さい。いずれにしても、口の中を綺麗に保たなければなりません。ブラッシングを徹底して欲しいと思います。炎症を抑える薬やルゴール液等を歯肉に塗る事もあります。所で幼児では、成人にみられるような歯周炎(歯槽膿漏)になる事はありません。歯を支えている骨(歯槽骨)が吸収して乳歯が抜けてしまう事はありません。しかし、幼児でも、もし先天性掌蹠角化症(パピヨン・ルフェーブル症候群)や無カタラーゼ血症、低ホスフォラーゼ症、好中球減少症という特殊な全身的な病気にかかると、歯肉や歯の周りの組織にも病気が起こります。すると歯槽骨が広範囲で吸収されていきます。やがて乳歯がグラグラしてきて、早い時期に多くの乳歯が抜けてしみます。これは虫歯や歯の根の病気による局所的な歯槽骨の吸収とは違います。

虫歯は歯磨きで治せるか

歯肉の病気とは関係ありませんが、患者さんからよく聞かれる質問にお答えしようと思います。「早期の虫歯は、一生懸命歯磨きをすれば治るというのは本当ですか?」とよく聞かれます。答えは「ノー」です。虫歯の初期段階(C₀)と虫歯(C1)の違いは、歯の表面(エナメル質)に穴が空いているかどうかです。穴が開いてしまえば、どれだけ歯磨きをしても治る事はありません。一方初期の虫歯、つまり穴が開く前の虫歯では、歯磨きの徹底以外に以下の事を励行すれば、元の状態に戻ることがあります。
ブラッシングの徹底以外に、間食(おやつ)のダラダラ食いを止め、砂糖をとる回数を減らし、アメのように歯に砂糖が長時間接触しているような食べ物を食べず、食べ物のカスを残さず除去する習慣を身につけ、これを継続すれば、初期の虫歯は唾液中のカルシウムやリンが脱灰部分に再吸収され、自然に修復されることがあります。つまり初期の虫歯はブラッシングを徹底するだけでは、元通りには戻りません。歯科医院でフッ素塗布をしてもらうのも効果的です。歯磨きペーストを選ぶときはフッ素が400ppm以上含まれるものにしてください。それからキシリトール入りのガムを噛む事やデンタルフロスを使うことも、とても効果的です。
今回はこの辺で終わりたいと思います。次回は第39回「舌、唇、顎、頬、口蓋の異常について」お話します。