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全身疾患と歯科治療4

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。まだまだ肌寒い日も多いですが桜が咲くと「春が来た!」と思えますね。3月21日東京は桜の開花宣言をしました。行徳の桜は3分咲きあたりでしょうか。今年も近場のお花見スポットを捜して見に行こうと思います。
今回は熱田が「全身疾患と歯科治療4」を書かせて頂きます。

⑪血液疾患と歯科治療

血液疾患と歯科治療とのかかわりで重要なことは、血小板などの血球と液体成分の血漿の異常に伴う問題です。血小板数が減少すると出血し易く、止血しにくくなります。止血のために血小板輸血を繰り返すと抗体が出来、輸血をしても1日ほどで元の血小板数に減少してしまうので、抜歯などは計画的に行います。このような病気には再生不良性貧血などがあります。
白血病、骨髄腫、悪性リンパ腫は化学療法が行われることが多い病気です。化学療法が行われると、骨髄の抑制が起き、正常な白血球や血小板の数は著しく減少し、感染が起きやすく、止血しにくい状態となります。口腔粘膜は傷つきやすくなり、赤血球の減少もあって治りにくくなります。このため、化学療法開始前に必要に応じて歯科治療が行われます。化学療法開始後は白血病などを治療している専門医と協議しつつ、血液検査値の回復を待って歯科治療を再開します。
骨髄異形成症候群は血液を造るもととなる細胞の異常により、通常の貧血治療に反応しない貧血、血液の形成異常、血球の生成途上での崩壊、前白血病状態などを特徴とする病気です。
血球の機能異常を起こすことがあり、正常に機能していれば止血には十分な血小板数があっても、血小板の止血機能の低下から、抜歯時などに止血困難が起きることがあります。
診断は、血液の専門医による骨髄穿刺などにより行われます。
凝固因子の異常から血液が固まりにくい血友病も止血が困難となり、留意が必要です。

⑫慢性関節リウマチと歯科治療

全身の関節の炎症を主体とする病気ですが、関節のみならず、他の臓器障害も伴う全身性の病気です。関節の炎症は、一般に進行性と言われていますが、なかには機能障害を残さない軽症なものから、関節の破壊、変形をきたすものまであります。関節症状以外に、疲労感、全身倦怠感、食欲不振、体重減少、微熱、貧血が見られ、肺・心臓に変化をきたすこともあります。
慢性関節リウマチには抗リウマチ薬、非ステロイド性鎮痛消炎剤、副腎皮質ステロイドホルモン製剤が用いられますが、胃腸障害が高頻度に認められますので、歯科治療時の重複服用は避けます。腎機能障害を伴う場合、アミノ酸配糖体系抗生剤の使用は避け、他の薬剤も腎排泄の薬剤は適宜減量します。

⑬皮膚疾患と口腔粘膜の疾患

口腔粘膜は口の中を被覆しており、身体の表面の一部として生体の防衛機構の役割を果たしています。口腔粘膜の構造は皮膚に比べて単純なので、病気の形態も単調となるため、いろいろな粘膜疾患を鑑別することは大変難しいと言えます。更には病気の原因がが明らかでないことが多く、根本的な治療が出来ない事が多いので、症状に合わせた治療を行わざるを得ない場合が多いのが特徴です。このような場合には安静を保ち、十分な栄養を摂ることにより、生体の免疫機能を高める事が重要です。又、慎重な経過観察が大切です。
口腔粘膜疾患には、口腔のみに症状の見られる疾患、皮膚疾患と関連のある疾患、および全身性疾患の一つの症状として現れる疾患などがあります。
例えば舌乳頭の委縮により、赤い平らな舌の症状を示す時は、鉄欠乏性貧血、慢性肝疾患、ビタミンB2欠乏症、ショーグレン症候群などが疑われます。

⑭薬物と歯肉増殖

▶抗痙攣薬による(フェニトイン)による歯肉増殖症

抗痙攣薬であるフェニトイン(商品名:アレビアチン、ヒダントールなど)の副作用として、歯肉(歯ぐき)が増殖する(硬く膨隆し、歯が隠れるほど腫れる)ことがあります。服用者の約50%に発現しますが、比較的若い人に多く見られます。歯肉の膨隆程度は、口腔衛生状態と関連があると言われています。前歯部に多く見られますが、歯肉全体が膨隆することもあります。

▶カルシウム拮抗薬(ニフェジビン、ベラパビン、ジルチアゼム、ニカルジピン)による歯肉増殖症

高血圧や狭心症などの治療薬であるカルシウム拮抗薬を服用している場合、その副作用として歯肉が膨隆することがあります。カルシウム拮抗薬には、ニフェジピン(商品名:アダラート)、ベラパミル(商品名:ワソラン)、ジルチアゼム(商品名:ヘルベッサー)、ニカルジピン(商品名:ベルジピン)などがあります。これらの薬剤は、血管収縮を抑え、血圧を下げ、血行を改善する働きがあります。ほとんどのカルシウム拮抗薬は、歯肉増殖を起こすと言われています。発現率は10~20%程度であり、増殖の程度はさまざまです。前歯で最も頻繁に見られ、歯肉全体に起こる事もあり、フェニトイン歯肉増殖症と同じよううな所見を示します。

▶免疫抑制剤(シクロスポリンA)による歯肉増殖

免疫抑制剤であるシクロスポリンAの内服患者の25~30%に発症します。

▶薬物による歯肉増殖症の治療

服用を中止し、他の系列の薬に変更することも考えられますが、それが出来ない場合もあります。
歯肉の膨隆が口腔清掃状態と関係がある事から、治療の基本は口腔清掃指導、スケーリングを行いますが、歯肉が繊維性に肥大している場合は膨隆はなかなか消退せず、ポケットも浅くなりません。
そのような場合は、外科的に膨隆している歯肉を切除します。その後、適切な口腔清掃状態を維持することが出来れば、再発は起きにくいとされています。

⑮骨粗鬆症とは

骨密度は20歳前後でピークに達し、40歳代までほぼ一定ですが、50歳頃から急激に低下し始めます。
骨を作るのに必要なカルシウムは、腸から吸収されて骨に取り込まれますが、年齢と共にカルシウム吸収が悪くなるのも骨密度を低下させる原因の一つです。
骨粗鬆症の治療には、カルシウムの吸収を促す薬や骨密度を増加させる薬がなどが用いられます。しかし、バランスのとれた食事や適度な運動は骨密度の低下を防ぎ、骨粗鬆症をお送らせることが出来ます。
骨粗鬆症の発病には、食事や運動の習慣なども深くかかわっています。
骨粗鬆症と診断された場合は薬による治療が有効です。治療薬には活性型ヴィタミンD3製剤、ヴィタミンK2製剤、女性ホルモン製剤、SERM(塩酸ラロキシフェン)、カルシトニン製剤などがあります。

▶ビスフォスフォネート製剤と顎骨壊死

ビスフォスフォネート製剤は、骨吸収を抑制して骨形成を促すことにより、骨密度を増やす作用があります。骨粗鬆症治療薬の中で最も有効性が認められており、抗ガン剤としても多く使用されています。
ビスフォスフォネートは腸で吸収されて骨に至り、破骨細胞に作用して過剰な骨吸収を抑えます。骨吸収が緩やかになると、骨形成が追い付いて骨密度の高い骨になります。
しかし、ビスフォネート製剤の副作用の1つに抜歯、歯科インプラントの埋入や、歯周外科処置後に顎骨(あごの骨)の壊死が起こる事があります。これを予防するためには投与を、受ける前に歯科検診で十分な検診を受ける事、抜歯などの外科的な処置が必要と歯科医師が判断した場合は、可能な限り骨粗鬆症治療の開始前に完了し、歯周組織の状態を良好にしておくことが推奨されています。
又歯科を受診する場合には、この製剤を服用している事を歯科医師に必ず伝えてください。
ビスフォネート製剤による顎骨壊死を防ぐ最善の方法は、口腔衛生をよくたもつことと定期的な歯科検診などです。今回はこの辺で終わりたいと思います。次回は「高齢者の心身の健康はまず口の健康から」をお送りしたいと思います。