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全身疾患と歯科治療3

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。暖かくなったと思ったらまた、寒くなったりと目まぐるしく天気が変わりますね。そして、花粉の飛んでいる量も増えてきました。
私も花粉症に悩まされています。多分、ゴールデンウイーク過ぎまでこの状態が続くと思います。花粉症の人、頑張りましょう!
今回は、熱田の「全身疾患と歯科治療3」を書かせていただきます。

⑧肝臓疾患と歯科治療

▼腎臓の機能と病気

腎臓は血液を濾過して尿を生成・排泄し体液の量や体を正常に機能させるナトリウム・カリウムなどを調節している臓器です。又、血圧の調節・血液の製造や血管の伸縮を調節するホルモンの分泌・骨の代謝に必要なビタミンDの活動性を高めるなど、多くの役割を担っています。
腎臓の病気には、腎不全、腎盂腎炎、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群などがあります。これらの病気は、腎臓の機能を障害し二次的に高血圧症、心不全、免疫力の低下、体液成分の異常などの症状を起こします。腎臓病が進行して血液の濾過機能が低下し、自分で尿を生成できなくなった場合には人工透析を受けなくてはなりません。

▼歯科治療を受ける時の注意

腎臓の機能が低下している方は、唾液の分泌量が減り歯を支える骨も脆くなるので、むし歯(齲蝕)や歯周病が進行し易い状態になっています。従って、日頃から歯科で口の中を清潔な環境に整えておくことが大切です。
腎炎やネフローゼ症候群では、その治療に免疫抑制剤や副腎皮質ホルモン、いわゆるステロイド薬が使われることがあります。その場合は、感染を起こしやすく、又ストレスに対する抵抗性が落ちているので、特に抜歯や歯周病の処置などでは注意が必要となります。又、薬については注意が必要です。
慢性腎不全や人工透析を受けている方は、投与された薬が体外に排出されにくい状態です。体内に蓄積すると重篤な副作用が出ることがあります。
又、解熱鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)が腎臓の中の血管に作用して、腎臓の病気を悪化させることがあります。薬を処方される場合には、あらかじめ病状から薬剤を選択してもらい、飲み方の指導を担当医と薬剤師から受けて下さい。
人工透析を受けている方は、透析に使用する薬の作用と骨髄機能が低下していることから、血が止まりにくい状態になっています。また、血圧が低くなっていることがあります。
あらかじめ歯科医師に透析の状況を伝えて下さい。歯科医師が主治医に連絡をとって血圧の管理、止血の準備、処置の日程、薬の処方などについて準備を整えます。処置を行う前に、これらの準備をしておく必要があります。
腎臓に病気をお持ちの方は歯科疾患のリスクも高くなるので、腎臓病の治療と共に歯科で定期的に検診と清掃処置を受けて下さい。日頃から虫歯(齲蝕)や歯周病の予防を行うことがとても大切です。

➈脳血管障害と歯科治療

脳血管障害には脳梗塞、高血圧性脳出血などがあります。
歯科治療においては、患者さんの脳血管障害後遺症に伴う日常活動の低下がありますか
ら、注意が必要です。又、脳梗塞予防薬(ワーファリン、アスピリン)や後遺症に対しての
薬と治療内容との関連が重要です。失語、片麻痺、理解力の低下などがある場合には、必要
に応じて家族を含めた患者さん側の希望と治療負担を考慮した治療計画が必要です。事前
に良く歯科医師より説明を受け、相談することも含めて治療についての理解を得ること
が大切です。
脳の働きに障害のある人では、治療に必要な洗浄水を喉に貯めておけず、むせて苦しい思
いをします。仮性球麻痺があると嚥下(飲み込み)障害が起き、誤嚥性肺炎を起こすことが
あります。
血管が詰まって、脳梗塞が起きないように予防薬が処方されている場合、手術や大きな傷
による出血が止血しにくいことがあります。特にワーファリンという薬は血液を固まりに
くくする作用のため、止血には留意が必要です。
歯科においては、何よりも歯磨きをして、むし歯(齲蝕)や歯周疾患を予防し、膿瘍切開
などの段階に至らないようにすることが大切です。
脳血管障害後遺症のため、歯磨きを十分できない方には介護者が代行する必要がありま
す。近々、「自動歯磨き器」が販売される予定です。虫歯などがあれば、早期に歯科治療を
受けましょう。
ワーファリンが投与されている人で、抜歯や膿が貯まったために切開手術を受けなけれ
ばならない場合には、主治医と連絡をとるほか、止血管理に十分な経験を持ち、血液検査が
容易にでき、止血困難な時には入院も出来る施設を受診することが望ましいと思いま
す。

➉膠原病と歯科治療

膠原病は結合組織(臓器と臓器の間の組織)に病変を起こす疾患で、全身性エリトマトーデス(SLE)、強皮症、多発筋炎、慢性関節リウマチなどがあり、皮膚、関節、腎、肺及び血管などで発症します。
SLEは、びらん性口内炎を起こすことがあります。
強皮症は皮膚の硬化が進行する病気で、口の周囲の皮膚の伸展が無くなります。口を開けることが障害され、奥歯の治療が困難となります。この他、嚥下(飲み込み)障害、歯根膜腔の拡大、舌の突出の困難も起きます。
多発筋炎では、骨格筋の障害から四肢脱力や嚥下障害が起きます。
関節リウマチは手指に症状が出ることが多く、十分に歯磨きできないことから、むし歯などになりやすくなります。膝関節も好発部位で、歩行障害から歯科通院が困難となります。顎関節に発症すると開口障害や開咬=オープンバイト(口を閉じても前歯が噛み合わず開いた状態)が起きます。免疫抑制剤やステロイド剤により症状は緩和しますが、長期投与の場合、歯科治療に伴う感染に留意が必要です。更にビスフォネート製剤という骨粗鬆症予防薬が併用されることがあります。この時は顎骨壊死にならないように、抜歯や観血処置には留意する必要があります。
顎関節が大きく破壊すると下顎(下あご)が移動し、上下の歯の噛み合わせが奥歯だけになり、前歯は接触しなくなります。顔貌も下顎が後退した独特のものとなります。顎や頭に付いている筋肉の疼痛も起きやすくなります。頸の関節の症状が進んだ例では、その亜脱臼から突然死を起こすことがあります。
対策として、歯磨きによる虫歯予防、虫歯などの早期歯科治療、義歯の装着による適切な噛み合わせの維持、筋肉痛への理学療法などを行います。
今回はここまでとさせていただきます。次回は「全身疾患と歯科治療4」を書かせて頂きます。