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幼児に起こり易い歯と口の病気 ─妊娠期と乳幼児の歯と口腔内の特徴 35

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。いよいよ本格的に寒くなってきましたね!患者さんが何人もインフルエンザに罹ってしまっています。皆様、どーか、お気を付けてください。この原稿を書いている木曜日の夜は久々の雨が降っています。予報では夜中から明け方にかけて雪になるそうです。果たして本当に降るのか?!積もるほどは勘弁して欲しいですね。
今回は院長先生のコラムをお送りいたします。
第35回です。今回は前回に引き続き
「幼児に起こり易い歯と口の病気」
についてお話します。

(歯の痛み)

歯の痛みの原因は、主に歯や歯周病や外傷です。まず、虫歯の進行度を知る目安や虫歯になるメカニズム、むし歯の治療についてお話します。その後に外傷について説明します。
虫歯の進行過程の目安は、痛みと歯の表面の変化です。虫歯の痛みは永久歯と異なり、それほど明確ではありませんし、子供さんが痛みを伝えない事もあります。その為、ご両親をはじめ周りの人が気を付けて見て上げて下さい。虫歯は予想以上に早く、あっと言う間に進行してしまいます。
痛みの程度ですが、冷水やチョコレート等を口に入れると「しみる」程度から、転げ回るほどの痛みまであります。勿論、痛みが強いほど進行しています。又、しみてる時間が長ければ長いほど深刻です。
そして一時的な痛みであれば軽く、一定の時間をおいて何度も繰り返し痛みがあれば、進行しています。痛みの間隔が短くなる程、進行している可能性が高くなります。痛みの種類が「しみる」、「ずーんと痛い」「電気が走ったようにキーンと痛い」「ズキズキ痛い」「ズッキンズッキンと拍動性の痛みがある」の順に、虫歯が進行してる可能性があります。
どんな時に痛むかも、ある程度、進行しているかどうかの目安になります。例えば食事の時に、冷水や甘い物を食べた時にしみる程度とか、食後に痛みが無くなるようであれば、軽度だと考えられます。しかし気を付けて欲しいのは、温かいものを食べたら痛みが出て、いつも冷水にしみてる歯が、逆に痛みが楽になったら進行していると考えられます。夕方以降、又は寝てる時に、何もしていないのに痛みだして、それが続くようでしたら、虫歯はかなり進行していると考えられます。神経の炎症が一部分ではなく、全体に広がってると思われます。
次に虫歯の原因についてお話します。虫歯はいくつかの要因が重なって発症すると考えられています。アメリカの学者は、虫歯を3つの原因にまとめて分かり易く説明しています。3つの原因とは「歯の質」、「細菌」、「食べ物(特に砂糖)」です。米国の学者のカイス(keyes)はこの三つが重なった所に虫歯が出来ると発表しました。しかし、後にNewfunnが「時間」を加えて「四つの輪」を提唱し、現在これが使われています。
虫歯を予防するうえで重要なのは、現在のところ、砂糖の摂取量と取り方です。歯質や唾液の成分はコントロール出来ませんので、砂糖の摂取や細菌を減らすことを徹底しなければなりません。口の中には、約700種類の細菌と1g中約1,000億の個細菌がいると報告されています。歯垢を位相差顕微鏡(phase-contrast microscope)を使って観ると、動き回っている菌が観察出来ます。これらの菌の中で最も虫歯の原因になる菌はストレプトコッカス・ミュータンスです。
ここで虫歯のできるメカニズムについてお話します。う蝕原因菌が砂糖を食べると、グルカンと言う水に溶けない(不溶性)ネバネバした物質を作ります。このグルカンが、細菌と歯の表面をしっかりくっつける作用をします。そこに他の細菌も、どんどんくっついて、細菌の塊を形成していきます。これを歯垢又は、プラークと言います。最近ではバイオフィルムとも言います。
これらの細菌が、砂糖やその他の糖類を食べて、酸に変えてしまいます。エナメル質はPH5以下の酸が一定の時間ついてると、Ca(カルシウム)がエナメル質から溶け出してしまいます。虫歯の初期ではエナメル質に白斑が出来る程度ですが、更に進行すると、エナメル質に穴が開いて仕舞います。穴が開いて仕舞ったら、ただちに治療をした方が良いと考えられています。しかし、まずブラッシング指導を受ける事をお勧めします。ブラッシングがキチンと出来ていなければ、治療したことが無駄もしくは、悪化させてしまうかも知れません。
歯は骨や爪と違って再生しません。つまり歯に穴が開いたり、外傷で欠けて仕舞うと自然に修復されませんので、穴はそのままで欠損部も欠けたままです。歯科を受診されて治療すべきかどうか確認なさってください。
前述の通り、乳歯の虫歯の進行は早いので、エナメル質だけに限局したカリエス(虫歯)が見つかったら、ブラッシングを徹底して下さい。虫歯が象牙質まで進むと、穴は更に大きくなります。これを放置すると、歯の真ん中(中心部)にある歯髄(歯の神経と血管)まで進みます。ここまで進むと、歯髄が炎症を起こして痛み出します。この段階では冷水を飲みと痛むようになります。熱い物には反応しません。しかし、更に進んで歯髄が化膿すると、熱い物を食べたり飲んだりするとズキズキと痛みます。そして、今まで冷たい物で痛んでましたが、逆に冷たい物で痛みますがやわらぎます。更に進行すると歯髄はやがて死んでしまいます。死んだ歯髄は、侵入してきた細菌によってドロドロに溶かされてしまいます。やがて細菌は、神経や血管が歯の中に入ってくる根尖から、骨の方に出ていきます。すると歯を支えている骨やその他の歯周組織に炎症を起こします。痛みは一時的に治まりますが、決して治った訳ではありません。歯にかかわる病気では、自分の治癒力で治るものは、現在の所、1つもありません。進行が止まったり、ゆっくりになると、治ったと勘違いされる方がいらっしゃいますので、お気をつけて頂きたいと思います。さて先ほどの疾患ですが、炎症はやがて骨を溶かして行きます。骨吸収と言います。レントゲンでは根の先端が黒く見えます。
この段階での痛みは少なく、歯が少しグラグラして浮いている感じがします。この状態を更に放置すると歯頚の真下に膿が溜まり、細菌が体中に運ばれて、関節炎やリウマチ熱、心内膜炎、腎臓病等の重い感染症を引き起こすことがあるのは、立証されています。又、最近、歯周病は心臓血管疾患、呼吸器感染症、糖尿病への影響が言われています。更に、早産・低体重児出産や骨粗鬆症との関連も指摘されています。1日に2回以上歯磨きされる人は、風邪やインフルエンザ(英語ではフルーと略して言われることが多い。)になりにくく、又罹ったとしても軽くすむと言われています。
今回は、ここまでで終わります。次回は「虫歯の治療」についてお話します。