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全身疾患と歯科治療1

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。最近は、割と暖かい日が続いていますね。しかし、乾燥した日も続いています。
インフルエンザが流行しているそうです。手洗いと嗽、歯磨きを徹底して頂ければ、かなり良い予防対策となると思います。罹ってしまったら、病院へ行ってください。
今回は熱田のコラムを書かせて頂きます。
全身疾患と歯科治療1
1、 全身疾患をお持ちの患者さんへ

1 歯科治療を受ける前に

歯科の治療においても一般医科の治療と同じように、出血を伴う手術や処置、又麻酔を用いて行わなければならない治療が多くあります。その場合に、術者が疾患の内容を含めて、患者さんの全身状態を把握しておくことが非常に重要になります。
治療内容によっては、主治医と連絡を取り合い、治療や処置の方法麻酔薬や麻酔の仕方、処方する薬剤の種類などを検討する必要があります。歯科治療とは関係ないと勝手に判断して、歯科医師に全身疾患の事を話さないことは、思わぬ事態を招くことがあるため、現在飲んでいる薬や全身疾患に関して積極的に歯科医師とコミュニケーションを図る姿勢が大切です。

2 高血圧症と歯科治療

高血圧症の人にとって最も注意しなければならないのは、痛みと緊張による血圧上昇あるいはその後の血圧下降です。血圧上昇により脳血管障害が引き起こされたり、血圧下降によりショックをおこしたりします。一般に高血圧症の人は治療中の血圧変動が起こりやすいと言われています。
高血圧のコントロール(内服薬などで血圧を正常範囲に下げる事)が出来ていない人では、歯科治療といえども危険な状態を招く危険性がありますので、歯科治療を延期し、高血圧のコントロールを優先させる場合があります。
血圧がコントロールされている人でも、歯科治療では精神的緊張や痛み、或いは刺激が加わって、血圧の上昇が起こりやすくなります。さらに通常用いる局所麻酔薬には血圧上昇を促す作用がある血管収縮剤が添加された場合が多く、著しい血圧の上昇を起こす危険性があります。しかしその反面、血管収縮剤を含まない局所麻酔薬では麻酔効果が弱く、効果が持続しない為、かえって痛み刺激による血圧の上昇がもたらされやすい面もあります。
治療中、息苦しくなったり、気分が悪くなったりした時は我慢せず早めに申し出て下さい。状態が回復するまで治療を中断したり、治療の延期を考えた方が良いでしょう。当然のことながら、患者さん自身が自分の持病と現在の病状を十分把握しておき、治療前の問診で、現在の血圧や内服薬などを歯科医師に知らせておく必要があります。

3 心疾患と歯科治療

重篤な狭心症の患者さんは、発作を頻発したり、安静時にも発作が起こったりします。心筋梗塞を起こす恐れがあると言われています。このような人は通常の歯科治療は問題ないですが、局所麻酔薬を使って抜歯などの外科処置をする事は危険です。
又、心筋梗塞のある人では発症後6~9ヶ月の期間を経過し、全身状態の完全回復を待って、外科処置をする事が可能と言われています。
従って、歯科治療を積極的に行えない場合があります。このことは、たとえ抜歯を必要とする歯があっても、疼痛などの症状だけをなくす、いわゆる応急処置として様子を見ます。
歯科治療の際には、ニトログリセリンの舌下錠などの携帯薬を歯科医師に渡すか、すぐ取り出せるようにしておきましょう。
その他の心疾患として、弁置換や人工血管置換術後の人では、抗凝固剤を内服している場合が多く、出血を伴う歯科治療を行う前に抗凝固剤を一旦中止する場合もあります。かかりつけの内科医との連絡が必要になります。
ペースメーカーを装着している人に関して歯科医師の側が注意する点は、ペースメーカーに影響を及ぼさない器具を使うことが重要です。止血目的で利用する電気メス、或いは根管内の長さを測定する根管長測定器などは体内に微量な電流が流れて、ペースメーカーに悪影響を与える可能性があるからです。
以上のように歯科治療において心疾患は考慮すべき問題が数多くあります。
患者さんが自分で判断しないで、治療前に自分の疾患について多くの情報を歯科医師に伝達しておきましょう。

4 糖尿病と歯科治療

糖尿病は、1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病、IDDM)と2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病、NIDDM)に分けられます。前者はインスリン投与が絶対に必要な疾患です。後者はその程度によって運動療法、経口血糖降下薬、インスリンなどの治療が行われます。後者が全糖尿病の90%を占めています。
糖尿病にかかってから長期に及ぶと、網膜症・腎症・神経障害などの細小血管症、脳血管障害・虚血性心疾患・閉塞性動脈硬化症などの大血管症、歯周病、糖尿病性足病変、皮膚病変など、その他の合併症を起こすことが多くなります。従って歯科治療の際には、糖尿病そのものばかりでなく、このような合併症にも注意が必要となります。
糖尿病疾患者は、感染に対する抵抗力が弱く、創傷治癒が悪いことから、抜歯などの観血処置では抗菌薬投与など感染予防が必要です。空腹時血糖値が150~200mg/㎗、HbAlcの国際標準値が7.4%を超える場合には、その危険性が特に高くなります。血糖のコントロールが不良の場合には、歯科治療時に糖尿病性昏睡を起こす危険性も高くなりますので、体調不良時に無理して歯科治療を行わないことが大切です。
又、歯科受診の前に食事を摂らずに、或いは歯科治療後に痛みで食事を摂らないのにインスリンを自己注射すると、低血糖の危険性もあります。
糖尿病では様々の隠れた合併疾患が歯科治療上の問題となりえますので、大学病院などに相談されることをお勧めします。
今回はここまでとさせていただきます。次回は「全身疾患と歯科治療②」を書かせて頂きま
す。