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幼児期に起こり易い歯と口の病気1 ─妊娠期と乳幼児の歯と口腔内の特徴 32

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。今週は又々、小春日和な陽気になりました。それでも風邪が流行っているようで、しかも長引くようです。風邪には注意なさってください。今週は院長先生の第32回目のコラムです。
幼児期に起こり易い歯と口の病気1
についてお話します。

1歯の生え方や形、色等の異常について

乳歯や永久歯の歯の芽(歯胚)は、赤ちゃんがお腹の中にいる時からすでに出来ています。
生後半年位から乳歯が生え始めます。通常は、前歯の1番目の奥歯、糸切歯(乳犬歯)、2番目の奥歯の順に生えます。

(歯の萌出時期異常)
歯の萌出期は、個人差が大きく、最初の歯(下の前歯A⏉A)が1才までに生えれば正常の範囲と考えて問題ないと思います。乳歯の萌出が遅れる原因は、第1にそれぞれの歯胚(歯の芽)の位置や歯胚の出来方の異常が考えられます。これにより歯の生える方向や生える力(萌出力)が阻害されます。第2に歯肉や歯槽骨(歯を支えている顎の骨)が分厚くて固いことも原因になります。第3に、外傷によって歯胚が損傷したり、骨と癒着する事です。第4に、全身的な理由が考えられます。例えば外胚葉異形成症や鎖骨頭蓋異骨症、ダウン症、くる病、甲状腺機能低下症(クレチン病、橋本病等による)等、歯胚や顎骨の形成・発育に異常をきたすような病気も萌出を遅らせる原因になります。時として歯胚自体が作られないこともあります。

(歯の位置異常)
正常な入試の歯並びは、上、下各10本ずつが、半円形に近い形をして、噛合っています。しかし、半円形からズレて、内側や外側、或いは手前や奥に外れて生えてることがあります。つまり乳歯の位置異常です。その原因を以下に列記します。
*歯胚の位置や方向が正常でなかった時。
*歯胚の形成や発育途中に異常があった時。
*萌出が遅れる原因と同じく、歯肉や歯槽骨の1部が厚くて固くなってる時。
*縦走のヒダ(小帯)が突っ張ってる時。上顎や下顎の口唇の中央や両脇に縦に走る靱帯があります。これが歯の生える所まで伸びてると、歯はそれを避けて生える傾向があります。
*顎が小さい時。顎が小さい為に歯が並ばない時があります。
*歯が歯槽骨と癒着していると、歯の一部分しか生えなくて、噛み合わせの所まで届かない時があります。つまり他の歯は噛み合うのに、癒着している歯は対合歯と噛み合わず隙間が出来てしまいます。
*乳歯の奥歯(乳臼歯)事故等の外傷で脱落した時。
*過剰歯がある時。正常の歯の数より多く生える事があります。
*歯牙腫等の障害物がある時。歯槽骨内に歯牙腫のような障害物があると、それを避けて生えたり、又、生えてこなかったりします。
*前項と同じように、全身疾患が影響する時もあります。
*折角、正常に生えて来ても、指しゃぶりや、爪、唇、タオル、箸等を噛む癖があると、位置異常の原因になります。

(乳歯の隙間)
乳歯列には、永久歯が歯列不正を起こさないように、2種類の隙間があります。1つは霊長空隙と呼ばれるものです。これは人やサル等の霊長類に特有のもので、歯列に隙間があります。上顎では糸切り歯(犬歯)の前に、そして下顎では、犬歯の後ろにあります。2つ目は発育空隙です。発育空隙とは霊長空隙以外の隙間を全て発育空隙と呼びます。
これらの空隙は、永久歯が生えて来る5~6才頃までは消失しないと言われています。永久歯の前歯は、乳歯よりかなり大きいので、空隙があるほど都合がいいです。もし空隙が無ければ、永久歯の前歯や臼歯が捻転したり、歯列からはみ出したり、永久歯が重なって生えたりします。

(乳歯の数が足りない)
乳歯は通常、上下合わせて20本あります。しかし生まれつき歯が足りないことがあります。歯が足りないとは、歯胚が出来なかった事を言います。
歯胚が形成されず欠損したものを「失天性欠如歯」と呼んでいます。1~2歯又は数歯が欠損することがあります。極めて珍しいケースですが、歯が1本も生えない時もあります。1~2歯の欠如(欠損)は人の進化に伴う退行現象(これを進歩的退化と呼んでいます)の1つと考えられています。乳歯では約1%程度だと言われています。乳歯の中で、最も良く見られる先決(先天性欠如)は、正中(上下の歯並びの中央)から2番目の前歯つまり乳側切歯です。もし乳歯に先欠があると、高い頻度で、その下の永久歯も先欠になります。
次に、数本にわたって先欠がある場合は、進歩的退化では無く、歯胚や顎骨の形成・発育に異常を障す、全身的な疾患が疑われます。もし先欠があれば、欠損してる部分に乳歯期用の入れ歯を装着して、機能的、審美的な回復をはかるようにします。
今回はここまでにさせて頂きます。次回は「幼児期に起こり易い歯と口の病気2」を書かせ
て頂きます。