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総入れ歯のトラブル② ─高齢期になって現れやすい歯と口の病気8②

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。最低気温が10℃を少し下回る天候の中、この原稿を書いています。今日から3連休の方もいらっしゃいますね。暖かくしてお出かけください。土曜日から更に寒くなるようです。私は休日に衣替えをするつもりです。
今回は熱田が書かせて頂きます。
「高齢期になって現れやすい歯と口の病気8②」
「総入れ歯のトラブル②」

1、 夕方になると痛くなってくる

義歯は沢山の精密かつ複雑な作業工程を経て出来上がります。
一つ一つが、まさに手作りの究極のオーダーメイドと言えましょう。完成した義歯は、それぞれの患者さんの細かいところまで適合するように、口腔内に装着後も微細な調整がなされます。口の中で機能することによって、人工臓器へと変化していきます。
朝から夕方まで義歯を長時間入れっぱなしにしていたり、高齢者によくみられる長時間の食いしばりなどでは、歯肉(粘膜部)が圧迫されて充血を起こして痛くなってきます。
食事や話す時以外は、なるべく安静位(口は閉じているが口の中では上下の歯をくいしばらずに楽にしている状態)の状態にしてください。又、義歯は食後の歯磨きと同様、食後は外して水洗いをします。就寝時に装着して眠る方は、お風呂に入る時はしばらく外して歯肉を休め、血液の循環を良くしましょう。

2、噛み合わせがおかしい

新しい義歯を装着した場合、すぐに何でも噛めると言う訳にはいきません。自転車やバイクと同じように、使う為の練習が必要です。義歯を使いこなしていくためには、実地練習を重ねなければなりません。歯肉も咬合圧に耐えられるように鍛えなければいけません。硬いおせんべいやステーキ、沢庵などの漬物、ピーナツなどの豆類は少しずつ時間と日数をかけて練習をしていきます。噛めるからと言って急に過重負担をかけ過ぎると、歯肉が咬合圧に耐えかねて傷がつきます。
長い間、硬い食品を食べられなかった方は、自分は食べられないものと思って諦めていたために、唾液の出る量も低下しています。又、ものを噛む時の舌、唇、咀嚼筋、顎などの口全体の動かし方も、それぞれ個々人の癖が身についていますので、すぐには修正がききませんので練習や慣れが必要です。
総義歯を使っている方は、噛む力を柔らげてくれる歯根膜がありません。歯根膜と歯を支える為の物で、歯根と骨の間にある靱帯をいいます。この靱帯が、固い物を噛んだ時に、その力を柔らげてくれるクッションの役をしてくれます。総義歯の方は、歯が無くなってますから、歯根膜によるクッションがありません。ですから、口の中の粘膜や顎の骨がその機能を代償しています。つまり、噛み合わせたり、咀嚼したりする際の条件が違いますので、入れ歯特有のルールを覚えなければなりません。
長時間義歯を使用していますと、人工歯の咬耗が強くなり、咬合高径が低くなって、下顎が前方に出てきます。つまり、臼歯部が噛み合う前に前歯部が先に接触して、上顎義歯の前歯部が下顎で突き上げられるようになります。このような状態が長く続きますと、上顎前歯部の粘膜に慢性炎症が起こり、歯槽骨は吸収して溶けていき、粘膜下組織は増殖して、こんにゃく状の歯ぐき(フラビーガム)になります。フラビーガムの上に義歯がのると、義歯の維持・安定は得られにくく、義歯床は浮上し、前歯が当たってから臼歯が当たる様になります。又、口蓋隆起(上顎の中央部に出来る山状になった骨の高まり)があると、上顎義歯は前後左右にシーソー運動をして、噛み合わせがおかしくなります。
どちらも、臼歯部の咬合を改善して前歯部のあたりを取り除きます。又、辺縁部の封鎖をしっかり行って、粘膜部の適合も密にします。しかし、口蓋隆起が大きい場合は、その部分に入れ歯の内面を当てない様に避けると良いでしょう。
新しく義歯を作るか、又は臼歯部の改善をしていただいたら、家で大きく口を開ける運動をしたり、上下の歯を噛み合わせた状態で口を左右に大きく引いて、口角を両方の人差し指で上に引き上げながら「イー」と発音したり、唇をつぼめて「ウー」と発音して口輪筋の運動をすると義歯の維持・安定に有効です。顎が左右どちらか一方に変異する方は、拳をオトガイ(顎の先)にのせて、後方へ少し力を加えて固定した状態で、口をリラックスした状態で開閉する訓練をしたり、顎関節周辺のマッサージを毎日行うと、血液の循環が良くなって大変効果的です。又、下顎の前方移動の防止にも役立ちます。

3、義歯を入れていると臭いが気になる

総義歯は、義歯床が粘膜に唾液を介してピッタリと毛細管現象で密着することによって支えられています。丁度、2枚のガラス板の間に水を一滴のせて張り合わせた時に、くっついて離れなくなるのと同じ原理です。しかし、義歯を長時間使用していると、材質疲労が起こって表面が劣化して、食片が介入したり、食物残渣が溜まったりします。
義歯床には、加熱重合レジンという合成樹脂の材料を使います。この材料には、精度の高い物からそうでないものまで沢山種類がありますが、精度の低い物ほど柔らかくて減りやすく、吸水性があって唾液や細菌もしみ込みやすくなると考えられてます。こうゆう義歯を入れていると、臭いがしてきます。
特に上顎義歯の唇側・頬側のフレンジ部(土手の頂上から外側の辺縁にかかる部分)や、下顎義歯の舌側小帯部(前歯部の舌側寄り辺縁部)に汚れが付きやすいために、粘膜に炎症を起こして義歯の安定を妨げる原因にもなります。これがさらに進みますと、粘膜下では骨の吸収が起こって土手が痩せてなくなっていきます。
ですから、ブラシで毎食後、丁寧に清掃してください。義歯の清掃には専用のブラシがあります。両方に毛がついており、毛先の長い方で義歯全体を清掃し、短い方で、内面の細かい部分の清掃を行います。
口の中の粘膜も毛先の柔らかい歯ブラシでマッサージを行い、血液の循環を良くして丈夫な歯肉を作ります。歯が無くてもブラシマッサージを励行しましょう。
タバコのヤニは取れにくく、臭いも染み付いています。歯磨剤で落ちない時は、様々な洗浄剤がたくさん市販されていますし、超音波で洗浄するのも良いでしょう。又、ワンプッシュして簡単洗浄の、泡タイプでブラッシングする新感覚の義歯洗浄剤もります。除菌効果が持続し、研磨剤ゼロで、義歯を痛めなので安心して洗浄できるうえ、装着時にミントの香りによる爽快感もあります。
今回はここまでにさせて頂きます。次回も「総義歯のトラブル③」を書かせて頂きます。