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健康診査 ─妊娠期と乳幼児の歯と口腔内の特徴

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。今週は久しぶりに関東はまとまった雨が降りそうです。最低気温も平年より高く、立冬でも寒さ控えめになりそうです。それでも、昼夜の寒暖の差がありますから風邪ひきなどにはご用心ください。
今回は院長先生のコラムです。
第31回です。今回は
「健康診査」についてです。

1才6ヶ月健康診査

前回書きましたように、1歳半位になると、乳歯の総数は10本になるのが一般的です。個人差がありますから、平均的時期から1年位遅れても気にしないでください。1才半になりますと「1才6か月検診」があります。保健所で歯科医が子供さんの歯を健診します。これは「母子保健法」という法律で1才6ヶ月健康診査が定められています。時々混同されるのは「健診」と「検診」です。どちらも「ケンシン」と読みますから混同されても不思議はありません。「健診」は1次予防と言われるもので、身体全体の健康をチェックする為のものです。体重や身長、胸囲、血圧等をチェックするものです。一方「検診」は2次予防とも言われています。これは1つの病気を詳しく調べる物です。例えば、糖尿病に関してとか癌に関して検査をするものです。あるいは1つの臓器について検査をするものです。

母子保健法

さて「母子保健法」の目的は、運動機能、視聴覚障害、精神発達の遅滞等の障害を持った児童を早期に発見し、適切な指導を行い心身障害の進行を未然に防止したり、進行を遅らせたりすることです。そして生活習慣の自立、虫歯予防、幼児の栄養、その他の育児に関する指導をすることが目的です。この健康診査は、市町村が行います。1才6ヶ月児歯科検診の目的は、虫歯の有無も検査しますが、それ以上に重要なのは虫歯になり易いか?の検査をすることです。カリオスタット等を使って、虫歯になりやすい幼児の保護者の方に注意を促し、日常生活、特に食生活について、適切な指導を行うことが目的です。これによって、子供さんの将来の虫歯の発生を未然に予防することが出来ます。もし検診前に何か異常に気付いたら、健診を待たずに直ぐに歯科を受診なさってください。

3才児健診

次に「3才児健診」についてお話します。
子供さんが3歳になると、一般的に乳歯が20本生え揃います。1歳半健診と同様に、3歳になると歯の検査を受けるように定められています。その目的は「幼児期において、身体的発育及び精神的発達において最も重要な時期である3歳児に対して、医師や歯科医師による総合的健康診査を実施し、児童の健全な育成のための指導及び措置を行うものである。」とされています。この健診も市町村が実施しています。
歯科検診の具体的な内容は、「歯ブラシ習慣等に関する一般的事項の検査」や「虫歯、不正咬合、歯並び、口腔軟組織の疾患、その他の歯と口腔の疾患、異常の検査」が主なものです。
検査の結果に応じて、次の点についての歯科保健指導を行うことになっています。

1、 歯と口を綺麗に保つ習慣を確実に身に着けさせる。
2、 保護者が幼児の口の中の状態を絶えず見て、注意する習慣を作る。
3、 栄養について、具体的な注意を払うように指導する。
4、 間食を与える時には、適切に与えるように指導する。
5、 定期的に歯科医の検診及び指導を受ける習慣を身につけるように指導する。

1歳半と3歳の健診は、子供さんの為に、市町村が用意してくれるとても大事なプログラムです。子供さんの為に是非、参加してください。そして、健診時に、同じ子供さんを持っているお母さん達とネットワークを作って欲しいと思います。お母さん同士の横のつながりは、とても強力な情報源となります。お互いに情報交換をしながら、より良い子育てをしていって欲しいと願っています。

指しゃぶり

指しゃぶりについてお話します。
指しゃぶりは子供さんがお母さんのお腹の中にいる時からしている事が、超音波(エコー)を使った子宮の観察から分かっています。0歳から3歳まで、つまり乳児期から幼児期前半までの指しゃぶりは意味があると考えられています。それは子供さんの体と心の発達に必要な行為であると言われています。子供さんが寂しい時や不安な時に指しゃぶりをして精神を安定させたり、ストレスがある時にそれを発散するためにしていると考えられます。
指しゃぶりをしながら寝てしまう子供さんは夜泣きが少ないという報告もあります。又、指しゃぶりをする事によって、手と目と口の協調運動が行われ、知覚や運動能力の発達に役立っていると考えられています。一方、指しゃぶりには問題点もあります。
指しゃぶりを3歳過ぎても続けると、前歯が前方に出てしまいます。つまり、歯を噛み合わせても前歯が噛み合わなくなって、前歯でお蕎麦やパスタ等を噛み切れなくなります。と同時にサ行、タ行、チャ行、シャ行等の発音に悪い影響を与えてしまいます。通常、指しゃぶりは3歳頃までにしなくなっていきます。その理由は、手先が器用になり、周りの物で遊べるようになるからと考えられます。又、精神的にも発達して、寂しさや不安、ストレスを少しずつ減らしていけるようになるからと考えられます。更に、外で遊べるようになりますから、指しゃぶりの時間が少なくなっていきます。もし4歳を過ぎても指しゃぶりをしていると上述のような問題が起こる可能性があります。昔は指にカラシを塗ったり、包帯を巻いたりして強制的に止めさせたりしていました。しかし、逆効果になる事が多いそうです。子供さんが指しゃぶりを止められない原因を考えて、原因を取り除く事が大事です。子供さんが周囲のお環境に適応できない為に、ストレスをためていたり、両親の喧嘩やDV、兄弟に対する欲求不満、兄弟間の対立、親のミスエデュケーション(間違った養育)、ネグレクト、虐待等があれば、それらを除去しなければなりません。原因を取り除きながら、第1に子供さんとの触れ合いを大切にしてください。そして自分から指しゃぶりを止めるように、家族全員で盛り上げていきましょう。そして、なるべく、手や指を使う遊びを教えてあげて下さい。夜寝る時は、手をつなぐのも効果的です。こういう努力をしながら、指しゃぶりをしてない時に誉めてあげて下さい。指しゃぶりを叱ると、子供さんが自信を持ちにくくなります。それでも、指しゃぶりを止めない時は、小児歯科の先生に相談してみて下さい。

歯肉の炎症

次に歯肉の炎症についてお話します。
歯肉炎を予防するために、「健康な歯肉とはどういうものか?」「歯肉炎とはどういうものか?」「歯肉炎の好発部位はどこか?」「歯肉炎の原因は何か?」等を知らなければなりません。
それでは早速子供さんの口の中を見ながら説明したいと思います。子供さんを仰向けに寝かせて、お母さんの両脚の間に挟んでください。頭を固定出来たら、口を開けてもらい、お母さんは子供さんの頭越しに口の中をのぞいてみて下さい。歯肉は部位によって名前がついています。歯と歯の間にある歯肉を歯冠乳頭と呼びます。歯間乳頭と歯間乳頭の間にある歯肉を辺縁歯肉と呼びます。つまり歯の周りにある歯肉を辺縁歯肉と呼びます。さて、健康な歯肉とは色がピンクで硬さは口唇より硬く、押すと弾力があるような硬さです。
一方、歯肉炎とは色が赤褐色や濃赤色、赤紫色になってしまいます。硬さは張りもツヤも無くなり、指で触るとブヨブヨしています。又出血し易くなります。歯肉炎の好発部位は、上下の前歯の生え際や、奥歯の頬と接する部分の歯肉です。又、一番奥の歯は、舌が邪魔して磨きにくい為、やはり好発部位です。
前歯部にも臼歯部(奥歯)にも歯間乳頭が、各々複数あります。歯肉炎が1つの歯間乳頭部にだけ起こることがあります。その原因は、繊維性の食べ物が歯と歯の間に挟まってるか、虫歯があることが多いです。一般的な歯肉炎の原因は不潔のよるものです。薬や全身的な病気が原因になる事もあります。全身的な病気や薬による歯肉は普段よりも丁寧に、時間をかけて磨く必要があります。歯磨きの方法は、いくつか考えられていますが、その前に、1カ所30回磨いて下さい。その後に歯の形や並び方によって、歯ブラシやブラッシング法を選んで下さい。歯肉炎のある方は、出血を恐れずにガンガン磨いて下さい。ただし、痛みのある時は柔らかい歯ブラシか指にガーゼを巻いて汚れを落として下さい。更に綿棒にうがい薬をしみ込ませて、そっと汚れを落として下さい。歯肉炎が治ったら、歯磨きと同時に歯肉をマッサージして下さい。車で長距離移動する時、入院されてる時、歯ブラシが上手く使えない時は市販されてる「クリーンティッシュ」(100枚10セット7,123円等を使って、清掃とマッサージを1日3回やって下さい。
次回は「幼児期に起こり易い歯と口の病気」についてお話します。