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幼児の食欲不振について ─妊娠期と乳幼児の歯と口腔内の特徴 30

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。すっかり秋めいた陽気になりました。紅葉の様子がちらほら見られるようになりました。今年の夏は暑かったり、台風やそれによる塩害、豪雨、などで木々が傷つけられているようで、千葉県内の紅葉スポットでは影響を心配しているそうです。綺麗な紅葉が見られると良いですね。
今回は院長先生の前回からの続きです。第30回コラム「幼児の食欲不振について」をお話しします。

3、食欲不振について

食欲がない時は、食事するときの環境や食材や調理法に問題がないか考えてみて下さい。特に問題がない時は、体調が悪いかも知れません。子供さんは成長期ですから、体の大きさの割にはエネルギーが必要です。例えば、5才の男の子と30才代のお母さんのエネルギーを比べてみます。男の子が1日に必要なエネルギー量は、平均1650Kcalです。30歳代のお母さんは1750Kcalです。体の大きさはお母さんの1/3位ですが、1日に必要なエネルギー量はほぼ同じです。ですから、本来子供は、いつでも食欲旺盛です。それなのに、もし子供さんが食欲がなく、食事もおやつも食べたがらなかったら、体調が悪くないか、必ずチェックしてみて下さい。
一時的に食欲がない時は、殆どが間食(おやつ)の食べ過ぎか、食事の時間の少し前に食べた時です。子供さんの消火器は体と同様、まだ小さいですから、おやつの時間を決めて、なるべくズレないように気を付けて下さい。又、飲み物も取り過ぎない様に注意してください。

4、繰り返しによる味の嗜好について

前述した通り、味の嗜好は、繰り返しによって作られると考えられています。ですから子供に砂糖たっぷりの甘い物を与えると、それが好きになり更に甘味の強い物を欲しがります。子供さんは、味の経験が少ないので、本来持っている甘さ嗜好に拍車がかかってしまいます。充分に注意してください。
一方で、虫歯になるからと言って、「甘い物を一切食べさせない」野は本末転倒です。歯は食べ物を美味しく食べる為の道具(器官)です。歯の為に食べ物を制限するのはおかしな事です。歯はキチンと磨いていれば、甘い物を食べても虫歯になる可能性は限りなく0です。又、甘い物は体に必要な物ですから、適切な量を与えるようにして下さい。
時代が甘さの嗜好を高めてるときは、極端な甘さ制限は子供さんのストレスになりますので、「時代」の特徴を考えておく必要があります。「時代」と言えば、ケミカルシュガー。等、虫歯になりにくい糖や、エネルギーになりにくい糖が出ています。それらは確かに砂糖の持つ欠点を補うかもしれませんが、「嗜好的な甘さ好み」の問題は解決しません。濃い甘さが好きになると、摂取しただけ、その後の人生で、エネルギー摂取が過剰になりやすかったり、虫歯になりやすくなってしまいます。
そのリスクを考えると、子供の時に濃い甘さに馴れさせない事がとても重要です。これは育てる人にしか出来ない事ですから、充分に注意してあげて下さい。

5、食事は楽しい雰囲気で

初めて食べる食物は、1人で食べるより、誰かと一緒に食べると、その食物が好きになる確率が高くなるという実験結果があります。食事は栄養を補給するだけでは無く、自分以外の人達との関りを持つ場でもあります。
お母さんとのスキンシップを含んだ授乳等、スタートから人は他人と関わっていくことが、人間が生き延びる為の戦略だそうです。赤ちゃんをお母さんだけで育てるのではなく、周りの人手を借りて育てるのが本来の育て方です。できるだけ多くの人に手伝ってもらって下さい。

6、食事中の会話について

食事を楽しくする為に、1人ではなく、家族や友人や親戚の人達等、何人かで食べる事が推奨されています。『家族との夕食共食頻度と食事中の自発的コミュニケーションと食態度、食行動、QOL(生活の質)との関連』について女子栄養大学の衛藤先生、中西先生、武見先生が調査、研究をされました。それによると、食事を家族で一緒に食べたり、食事中に子供さんが自発的にコミュニケーションをとる回数が多ければ多いほど、食態度、食行動、QOLが良くなるという結果が出たそうです。
保育園での食事風景で、1才児のクラスでは、自分が食べさせてもらう事だけで精一杯だそうです。しかし、2~3才児のクラスでは、保母さんとの会話や友達との会話を楽しみながら食事をしているそうです。その光景は、まるでサロンの様に見えるそうです。目の前の料理を見て、その食べ物の名前や、温度のこと等を話しかけることによって、子供達は、それらの言葉と食べた時の感覚を結び付けて記憶するようになるそうです。会話が不十分でも、話しかける事がとても大事だそうです。何度も繰り返し話しかけてる内に、子供が自発的に「これは何?」と問いかけられるようになります。食べる事は、好き嫌いにかかわらず、一生続きます。ですから、食事を楽しくする為に、食事中の会話はとても重要です。
食べ物を噛んで飲み込みさえすれば、無条件で栄養になるわけではありません。楽しく食事しないと、消化酵素の分泌が少なくなったり、胃腸の動きも悪くなり、栄養の吸収は悪くなります。できるだけ会話を楽しみながら食事をして欲しいと思います。

次回は「幼児の健康診査」についてです。