電話番号

高齢期になって現れやすい歯と口の病気6 ─高齢者の歯と口の中の状態 12

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。台風が来なくなったと思っていましたら、ゲリラ豪雨による被害が各地に起きています。最近では、傘を持ってないと不安ですね。早く秋らしい天候になって欲しいものです。
今回は熱田のコラムの続きを書かせて頂きます。
「高齢期になって現れやすい歯と口の病気6」

味覚異常とは?

食べ物や飲み物の中にある味覚を起こす物質が舌表面にある味蕾で感じ、脳にある舌の体性感覚領にその刺激が到達し、甘い、苦い、辛い、酸っぱい、旨味などの味として認識します。
つまり、味覚異常は唾液の性質や分泌低下や味覚の伝達路の異常などと関連して起こります。
高齢者の約37%が味覚検査で味覚異常を認め、味覚異常者は非異常者に比べて総唾液分泌量も低下しているようです。味覚異常は(高齢者にとっても)重要な問題です。
加齢によって腸管吸収能の低下が指摘されていて、60歳以上の男性高齢者では血色素量が31.1~50.15%、女性では12.2~25.6%低下し、貧血が問題となっています。しかし高齢者だけが鉄、亜鉛、銅の摂取量が特に低下しているわけではないようです。亜鉛欠乏は味覚障害になりますし、唾液分泌能の低下や、歯の喪失による咀嚼能力の低下も味覚障害の原因になります。
いずれにしろ偏食をせず、亜鉛などの微量な元素類の欠乏が起こらないように、気を付けてください。

味覚障害の原因と対策

1 全身疾患による味覚障害
糖尿病、胃切除、肝疾患、腎疾患などの全身疾患で、味覚障害が起こることがあります。口腔内だけにとらわれず、全身疾患にも注意することが大切です。
2 薬剤による味覚障害
薬にいよる味覚障害があります。降圧利尿剤、抗ヒスタミン剤、抗菌薬、制癌剤、副腎皮質ホルモン剤などの長期連用.併用での味覚障害があります。病院で頂く薬を替えたら味覚障害が起こったなどの例もありますので、服用しているお薬にも注意しましょう。
3 食事の内容による味覚障害
亜鉛などの微量元素が、味覚には重要な役割を果たします。偏食、朝食抜き、手軽なファストフードやコンビニの弁当で食事を済ますという食生活を続けたり、生活習慣病を改善しようと無理なダイエットをしたりすると亜鉛欠乏症になりやすくなるでしょう。日本では亜鉛欠乏の治療薬はありませんので、亜鉛を含む食品(カキ、魚卵、緑茶、卵黄、海草、玄米、ゴマ、小魚など)を摂るか、サプリメントの活用があります。
4 口腔や唾液腺の病気による味覚障害
舌炎や舌苔(舌を覆う苔).口内乾燥症.風邪などの、病気や癌の放射線治療でも味覚障害が起こります。一度、歯科.口腔外科などで確認しましょう。
5 原因がわからない味覚障害
うつ病や精神的ストレスなども、心因性味覚障害が起こります。薬剤が間接的に影響している可能性も考えられます。

舌の痛みの原因と治療法

1 アフタ性口内炎
粘膜に、淡黄色で、周囲に赤い縁取りのある場合、その多くはアフタ性口内炎です。ピリピリと刺すような痛みがあり、舌尖部、舌の裏に出来やすいです。
1週間程度で改善しますが、食事にも支障がでるようなときには、軟膏や口腔用貼付剤を口内炎に貼り付けると症状が緩和されます。
口内炎をカバーして刺激痛を改善して治癒を待ちます。再発するようでしたら、口腔外科などの医療機関を受診しましょう。
2 炎症性疾患
舌でも発赤をみるカタル性舌炎や、表面が壊死して灰白色を呈する壊死性舌炎などがあります。多くは全身性疾患を伴っている事が多いので、内科でもよく調べながら痛みを取り除く対症療法を行います。
3 水泡性疾患
舌にも水ぶくれが生じたり、それらが破れて赤くただれて舌炎として見えたりすることがあります。皮膚にも水泡が生じていないか調べて下さい。この場合も全身疾患に関連する事があります。口腔外科だけでなく内科もを受診してください。
4 真菌感染
白苔が特徴の病気で、白いできもののような物が舌の縁に出来たりします。口腔カンジダ症と言います。不衛生や免疫力の低下、栄養不足などで起こりますので、シッカリ栄養補給し、口腔清掃に努め、うがいや抗真菌薬の含嗽剤や服用で治療します。
5 ウイルス感染
最も多いのがヘルペス感染症です。初め水泡が生じますが、すぐに破れて赤くただれます。痛みが強いので、食事にも影響します。血液検査でウイルスを確認してから、抗ウイルス薬を塗布したり内服したりします。高齢者では、帯状疱疹の粘膜症状が改善しても三叉神経痛が続くことがあります。早めに口腔外科などの医療機関を受診しましょう。
喉に出来るヘルパンギーナは別のウイルス感染症で、赤ちゃんから幼小児の子供に多く見られます。喉の奥に小水疱ができ、潰れると、とても痛いです。
6 栄養素の欠乏症
鉄欠乏症貧血は、女性に多く見られ、表面は赤く艶があるのが特徴です。亜鉛欠乏症は、味覚異常がある場合もあり、舌が乾燥して赤くなります。ビタミンB12欠乏症は、痛みの程度は低いですが、舌がしみたり、他に貧血などの症状が現れたりします。
7 神経性
三叉神経痛に関連して、舌通を生じる事があります。原因不明でバチっと痛む真性三叉神経痛と、舌がじわじわ痛む症候性三叉神経痛があります。まず痛みの原因を調べます。治療は痛みがない時でも鎮痛薬を定期的に服用したりする方法や、関連神経をブロック注射したりする方法で治癒します。
8 外傷ややけど
咬傷や高温の食べ物などで舌粘膜の損傷があると、直後から痛みを生じます。刺激物を摂取しないなどして粘膜の自然修復を待ったり、対症療法をしながら、治癒を図ったりします。
9 腫瘍性
舌の腫瘍で痛みが生じる事があります。癌では必ずしも疼痛を伴うわけではありませんが、1週間以上続く痛みや口内炎のような症状があるときは、舌癌が疑われるので医療機関を受診しましょう。
10 原因不明(1)地図状舌など
舌の痛みが現れる物は、舌表面にまだらの赤い部分と白い部分がまじりあう地図状舌、舌に縦に数本の溝として現れる溝状舌、赤く粘膜がつるつるした平滑舌などがあります。治療の必要がないことが多いので、数日続くようであれば、歯科あるいは口腔外科を受診しましょう。
11 原因不明(2)舌通症
原因不明の舌の痛みに、舌痛症があげられます。舌に異常は見られず、触ったりしても何の異常も見られません。にもかかわらず、舌のへりや先端部にヒリヒリ、ピリピリとした持続する痛みややけどのあとの焼けつくような慢性的痛みを訴える状態です。
本症は高齢者の女性にも見られますが、40~60歳くらいの女性が多いようです。痛みの範囲は表面的で舌に限られ、比較的長期の場合もあります。口の中の他部位の違和感や乾燥感、味覚異常などを感じていることもあります。痛みは、食事や談話中には感じず、味覚障害もないようです。
何らかの歯科治療後に感じるようになったとのことがたまにありますが、歯科治療との関係は認められません。しかし舌が痛むために、歯科治療に原因を求めがちになります。
歯の鋭縁による刺激痛や各種舌炎、異種金属間の電流刺激、扁平苔癬或いは貧血による乳頭萎縮などがあれば、診断を兼ねて、まずそれらの治療を行います。
ほとんどの人は、舌癌に対する恐怖心を持っています。心理面では情緒不安定、神経症的傾向、うつ的傾向が認めらますので、心理面からの治療も行います。そして、その性格的特性のため、痛みからの逃避が起こります。すると治療が困難な慢性疼痛になることがあります。
薬に関しては、以前よりも選択肢が増えています。例えば末梢性神経障害性疼痛に対する薬が有効なこともあります。
今回はここまでとさせていただきます。