電話番号

幼児期の栄養とは ─妊娠期と乳幼児の歯と口腔内の特徴 28

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。今週は台風21号が日本列島を強風が吹きつけながら通過して行きました。皆様の周りは大丈夫でしたでしょうか?南の海上にはもう次の台風が出来始めているようです。次回の災害に備えましょう。
今週は院長先生の第28回目のコラムです。
「幼児期の栄養とは」についておはなしします。

赤ちゃんは3㎏前後で生まれて来ます。そして1歳で約10kg、6歳でやく20kgになります。人生の中で最も成長する時です。
身体の成長と共に、様々な機能や能力も発達します。
人間は植物と違って、自らエネルギーや栄養素を作り出すことはできません。人間は光合成ができませんから、体を大きくするには食べ物を食べるしかありません。ですから、栄養のバランス、食べ方、食事の環境等がとても重要になります。そこで、噛み方や、味、食感等について、簡単に説明したいと思います。

1 噛み方、食べ方について

子供の体の発達の中に、勿論、口の機能や食べ方の機能の発達も含まれます。噛む事は、食べる経験の積み重ねが必要です。
呼吸する事は自然にできますが、「噛む事」には練習が必要です。とても意外に思われる方々が多いかも知れませんが、これは事実です。おっぱいしか吸えなかった赤ちゃんが、3歳位になると乳歯が生え揃って、スプーンや茶碗等を自分で持って、完全に自分で食事が出来る様になります。そして、ここからが本当の意味での食事の自立へのスタートになります。離乳食が終わる頃の赤ちゃんは、まだ食べ物を噛む為の奥歯がようやく上下1対生えてくる時期です。スプーンを持つ時もまだ上づかみで、かなり不安定です。つまり離乳の完了が食事の自立ではありません。幼児は離乳後、およそ1年位かけてスポーンやフォーク、箸等の食具に触れ、又、多くの食べ物に接して行きます。3歳頃に乳歯が生え揃ったら6歳頃まで、虫歯さえなければ、安定した状態で食事が出来る様になります。つまり本格的な噛み方や食べ方を学習できるようになります。

2 味覚について

味覚とは、味蕾と呼ばれる味覚器官に化学物質が触れて、化学物質が刺激となって生じる感覚の事を言います。塩、酸、甘、苦の4種類の味質に分けられます。現在は、グルタミン酸ナトリウムを原因物質とする「旨み」が認められ第5の味覚と言われています。これら味質と呼ばれるものが混合或いは融合して、様々の味や旨味を作り出しています。「おいしい感覚」は、生まれながらに持っている生理的な嗜好を基本として、その後の経験の積み重ねによって形成されて行きます。ですから乳幼児の時に、多くの味や、食感、「食べても大丈夫」という安心感の確認も含まれています。
乳幼児の時に食べた物の味やにおい、食感(口あたり)は脳に伝えられ、記憶されていきます。食べても安全な物と危険な物を区別したり、豊かな食生活を形成できるようになる為に、乳幼児の時の経験の積み重ねが、如何に大事かお分かり頂けると思います。

3 食感(口ざわり)について

国や文化によって、好まれる食物や味が著しく異なります。その原因は、味や食感は生まれ持った味覚だけで決まらず、それぞれの国や文化に合った食物による食感や味を経験して行く事によって決まってくるからです。例えば、1卵生双生児を別々の国で育てると1卵生であっても、好みは各々の国で、食べた味や食感を好む傾向であります。人間は哺乳類ですから、おっぱい等の液体からスタートします。ですから初めのうちは、滑らかな、柔らかい食べ物に安心感を持ちます。
しかし、身のまわりには固いものやビーフジャーキーのような物、ゴムのような物等、多くのバリエーションがあります。それらを食べる事によって、多くの食感を体験し、その体験を積み重ねて行く事によって、それぞれの食べ物のおいしさを知っていく事になります。硬さや粘り気のある食べ物は、噛む機能と密接な関係があります。硬いものや粘り気のある物は食感も悪く、噛むのにも工夫が必要です。しかし、この様なタフな食べ物を食べる事によって、様々な食べ物を食べられる様にしてくれる為、嗜好性を高め、快い食べ物の範囲を広げてくれます。

4 「甘い物好き」にしないこと

人間も含めて動物は、自らの体でエネルギーを作り出せませんから、エネルギーの源である甘い物を好むように出来ていると考えられます。「甘いの好き」にしないという事は、「濃い甘さ好き」にしないという意味です。勿論、「塩分の濃い好き」もダメです。辛さは味覚ではなく痛覚と言われていますが、こういう刺激物は味を感じる器官(味蕾と言います)が破壊される可能性高いので、やはり適度にする必要があります。
甘さの濃度と塩分の濃度には違いがあります。例えば、海水はとても塩辛くて飲めません。人間の嗜好濃度はおよそ0,5%と言われています。海水の塩分濃度は約2%ですから、とても飲めません。しかし甘みの方は、砂糖に限っては、100%の濃度でも、美味しく舐められます。甘みの方は前述のように、人間のエネルギー源ですから、もともと体の欲求度が強く、嗜好濃度の幅が広く設定されているようです。
生まれて数時間後の赤ちゃんに、甘い液体を舐めさせると、顔がほころびます。おっぱいには乳糖という砂糖の1/5位の甘さの糖が約7ほど入っています。砂糖に換算すると約1%程度ですから、甘さとして感じられません。
私達が食べているも物の甘さを比較してみると、果物の甘さは10%くらいです。ジュース等の飲み物は10%以上です。プリン等は15%で、クッキーやケーキは25~30%、カステラやチョコレート、あんこ等は40~50%、そして飴は90%位と言われています。つまり砂糖を使ったお菓子は、いくらでも濃いものが作れます。
今回はここで終わります。次回は歯と食感の形態、食欲不振についてお話しします。