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幼児期の歯と口の健康づくり ─妊娠期と乳幼児の歯と口腔内の特徴 27

著者:デンタルオフィス湊

こんにちは。お盆休みも、長い方で今週一杯まででしょうか?!デンタル・オフィス・湊は15日の木曜日までで、今日(木曜日)通常業務に戻りました。まだまだ高温の状態は続いています。ゲリラ豪雨や台風も来るようです。気を付けてお過ごしください。
今週は院長先生の第27回目のコラムです。
今回も「幼児期の歯と口の健康づくり」についてお話しします。

「乳歯の歯並び」について

乳歯の歯並びでチェックしてもらいたい事がいくつかあります。それは開口、反対咬合、交叉咬合、叢生(乱杭歯)、咬耗等です。これぞれについて極簡単に説明します。

<開口>
開口とは奥歯を噛み合わせた時に、前歯が離開している状態を言います。これは指しゃぶりや舌の悪習癖によって起こります。猫背に似ています。特別な疾患が無いのに、悪い姿勢をとり続けていると猫背になります。開口も同じで、特に疾患が無いのに、指しゃぶりや舌の悪習癖によって、歯の位置が、正常範囲を超えて傾いたり移動したりします。乳歯の開口を放置すると、永久歯も開口になってしまう可能性が大きくなります。ですから5~6歳頃までに指しゃぶりや舌の悪習慣を止めさせて置く必要があります。頑固な指しゃぶりや舌習癖は止めさせるのが難しい時もあります。その時は、歯科医に相談してください。悪習慣除去の為の装置をつけることもあります。指しゃぶり等の習慣は、子供さんの精神的ストレスを緩和する為に行われていると考えられますので、無理やり止めるのは問題があると思われます。昔は子供さんの指にカラシや唐辛子をつけて、徐々に止めさせていました。指しゃぶりや舌習癖による以外の開口がある場合は、必ず専門医を受診して、治療の可能性の有無や治療方法、或いは治療開始時期を確認しておいてください。

<反対咬合>
反対咬合とは上下の歯を噛み合わせた時、下の歯が上の歯より前に出ている交合の事を言います。歯の噛み合わせは、本来、上の歯が舌の歯を覆うように歯を噛み合わせます。反対咬合には歯の傾きの異常で起こる場合と上下の顎の大きさの不調によって起こる場合があります。前者を歯性反対咬合、後者を骨格性反対咬合呼びます。歯性の場合は、永久歯と生え換わる時に自然に治ってしまうことがありますので、専門医に聞いてみて下さい。一方、骨格性の場合は自然に治る事はありません。むしろ、成長に伴って、そのズレが大きくなって行く傾向があります。よって乳歯の反対咬合は歯性の場合は経過観察、骨格性の場合は、早期の治療が基本的な考え方です。骨格性の場合、通常は3~4歳頃から治療開始される事が多いようです。残っている顎骨の「のびしろ」利用して上顎骨を大きく成長させ、逆に下顎の成長を小さくする装置をつけます。治療期間は、3~4歳からずっと続ける訳ではなく、装置をつけてから約1年位です。反対咬合を約1年で改善するようにします。改善したら装置をはずして、経過観察をして行きます。顎骨の成長がまた、反対咬合を引き起こすようであれば、永久歯が生えて来た頃に、再度治療をします。治療が終わるのは、顎骨の成長が終わった時です。女子では15歳前後、男子では17歳前後が一般的です。

<上顎前突>
一般に「出っ歯」と呼ばれ、上顎前歯が下顎前歯より、著しく前に出ている不正交合の総称を、上顎前突と言います。前述の反対咬合の逆の状態です。
(maxillary protraction)protrusion
治療は反対咬合と同じで、その程度によって装置をつけたり手術をしたりします。

<交叉咬合>
交叉咬合とは上下の歯を噛み合わせた時に、奥歯が反対に噛み合う状態を言います。つまり上の奥歯が下の奥歯より舌側(内側)に入っている状態です。左右共、交叉している時は、両側性、どちらか一方の時は片側性と言います。骨格性の反対咬合と違い、治療後の安定が良好です。

<叢生>
叢生とはいわゆる乱杭歯と言われるものです。永久歯では普通に見られますが、乳歯の叢生は極めて珍しい事です。本来、乳歯の前歯は、永久歯が生えてくるために、すき間があります。それが、隙間が無く叢生になっていたら、将来、永久歯も叢生になる可能性が非常に高くなります。もし乳歯の前歯に叢生があるなら、必ず専門医を受診するようにして下さい。適切な時期に適切な治療をしておく必要があります。

<咬耗>
これは歯と歯がこすれ合ったり、固い物を噛んだりして起こります。乳歯の咬耗で注意しなければならないのは、前歯と臼歯に同時に、大きな咬耗が見られる場合です。前歯だけの咬耗なら、乳前歯がほとんど無くなるくらい減っても心配はいりません。乳臼歯の咬耗は6歳以降に多く見られます。乳歯の咬耗は、子供さんのストレスを発散する為に歯軋りをした結果だとも考えられています。指しゃぶりと同じで、強引に止めさせたりしないように、しましょう。乳歯は永久歯より柔らかいので擦り減り易いです。又、前歯の咬耗は、5~6歳頃に永久歯の萌出と共に起こる下顎の成長によっても生じる事もあります。いずれにしても、心配する必要はありません。
ここで、お母さんを始め保護者の方にお願いがあります。第1に、子供さんの虫歯や歯肉、舌と同じく、歯並びも注意深く観察して頂きたいと思います。第2に、ブラッシングが嫌いにならないようにして頂きたいと思います。第3に治療に対して消極的な子供さんを、あらゆる方法で治療に積極的になるようにして頂きたいと思います。又、子供さんが治療に協力的になるようにご指導頂ければと思います。

「乳歯の歯並びや虫歯の観察の仕方」

<子供の歯をよく見ること>
当たり前の事ですが、実はこの当たり前のことが殆ど出来ていないのが現状です。平成30年6月7日の発表によると、小学生の約4割が口腔崩壊に陥ってるそうです。口腔崩壊とは、虫歯が10本以上あって咀嚼が困難な状態を言います。ですから、子供さんの口の中を気軽に見て上げる習慣が、とても大事です。もしそういう習慣があれば、歯の汚れや虫歯のなりかけ、歯並びの異常等に気付き易くなります。時には全身的な病気が口の中に現れたりします。そうゆう異常も早期に発見できる可能性があります。
<乳歯の虫歯>
虫歯の出来やすい所は、決まっています。奥歯では上の歯と下の歯が噛み合う所です。ここを咬合面と言います虫歯が1番わかり易い所です。見落としやすい所は、「前歯の裏側」、「歯と歯の間」そして「歯と歯肉の境目」です。口の中を見る時に、この3か所を注意深くチェックしてみて下さい。
<奥歯の噛み合わせ>
前歯の噛み合わせや歯並びは良く見えますが、奥歯の噛み合わせや歯並びは、気付きにくいと思います。指で唇や頬を広げて、良く見て下さい。
今回はここまです。次回は「幼児期の栄養と歯」についてお話しします。