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幼児期の歯と口の健康作り─妊娠期と乳幼児の歯と口腔内の特徴 26

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。記録的な猛暑が続いていますね。今年は熱中症警報が出て「運動は原則中止」という警報が連日のように出ています。皆様もお気を付けください。
週末には台風が関東に上陸しそうです。被害を最小限にする為にも準備したいと思います。
今回は院長先生の第26回目のコラムをお贈り致します。

「幼児期の歯と口の健康作り」

1、乳歯の虫歯予防の重要性

乳歯でも永久歯でも、虫歯になってしまうと、自然には治らない病気です。切り傷や風邪等は、自然に治っていきますが、虫歯で歯が変色したり、穴が開いてしまうと、元には戻りません。極々軽い変色なら、歯磨きを徹底したり、フッ素塗布を適切にやれば元に戻る事があります。さて乳歯の虫歯予防で最も大切なことの1つは、永久歯を茶色や黒っぽい色にしたり、本来の永久歯の形を変形させたり、歯並びを悪くしたりするのを防ぐ事です。それ以外に審美性をを失ったり、食事がしにくくなったり偏食の原因になったり、口臭の原因になったり、食事の量が減ったりするのを防ぐ事です。昔は乳前歯が虫歯になって茶色くなると「味噌っ歯」と呼んでました。虫歯になって茶色くなった部分が、まるで乳歯に味噌を付けたように見えるからです。半世紀位前は、殆どの子供が「味噌っ歯」でした。私が(筆者)子供の頃(小学生の頃)、1クラス50人から60人の生徒のうち、虫歯が無い子供は、1人か2人でした。ですから虫歯の無い子供はは表彰されていました。所で、歯を抜いたまま放置すると、抜かれた歯の後隣りの歯が前に倒れて来ます。すると抜かれた乳歯の後に生えて来る永久歯のスペースが少なくなる為、本来の場所ではない所に生えて来ます。又、前方に倒れた歯と噛み合うはずの歯も本来の位置からズレてしまいます。
乳歯が虫歯になると、さまざまな不都合が生じてきて、子供の将来に大きな影響を与える事になります。子供さんが小学生になったら、勉強に集中できるように、虫歯や仮性近視、耳や鼻の病気にも注意してあげて下さい。

2、虫歯予防の具体的な方法(具体的な虫歯予防について)

虫歯になるメカニズムですが、ミュータンス菌や乳酸桿菌等が歯について、phを下げます。phが下がるということは酸性になることを意味します。歯が酸に触れて、一定の時間が経つと歯かCa(カルシウム)が溶け出てきます。これが虫歯の始まりです。虫歯菌は、お菓子や果物に含まれる甘い物を好み、それらを餌として、酸を出します。つまり甘い物が長い時間,歯についていると虫歯になってしまうということです。ケミカルシュガーは虫歯にならないとか、糖尿病にならないと言われていますが、細菌がどんどん変化しますから、安心できません。ケミカルシュガーを砂糖の代わりに使ってチョコレートを作ると固まらないので、チョコレートにはならないそうです。又、糖質は小腸からしか吸収されないと考えられていましたが、ケミカルシュガーは大腸からも吸収されるので、現在は糖尿病患者さんに使われなくなったそうです。話を戻しますが、感染症である虫歯の具体的な予防法を説明します。

①細菌を歯面から24時間以内に除去する。(ブラッシング、歯間ブラシ、フロッシング)
②細菌の活動を抑えるか、死滅する。(洗口剤、糖質制限)
③細菌の作る酸に抵抗できる強い歯を作る。(フッ化物塗布)

次に効果的なブラッシング法について説明します。
歯垢(デンタルプラーク)や歯苔と呼ばれる歯の汚れを除去する為にブラッシングをします。つまり虫歯や歯周病を予防する上で欠かせないものです。しかし、このプラーク除去は簡単ではありません。力任せにゴシゴシ磨くと、歯が磨耗したり、歯肉が傷ついたり、下がったりします。そして肝心の「歯と歯の間」や「歯と歯肉の間」の汚れが、殆ど除去できません。固い歯ブラシや力任せの強いブラッシングでは、肝心な所の汚れがあまり落ちませんので、歯医者さんに行って子供さん(自分)に合った歯ブラシや磨き方を教わった方がいいと思います。
又、ブラッシングをする時は、歯磨剤を使わない方がいいと思います。歯磨きをする順番を決めておく事も大切です。歯磨剤は歯磨きが淡った後に、仕上げの歯磨きの時にほんの少し付けて磨いて下さい。歯磨剤には研磨剤や発泡剤が含まれている物が殆どですから、長い時間ブラッシングする時には向いていません。
さて、歯と歯や歯と歯肉のプラーク(汚れ)を取る効果的な方法としては、水平磨きと縦磨きを一通りやってから、バス法かスクラブ法で、細く丁寧に磨く事だと思います。電動歯ブラシで磨いても構いませんが、出来るだけ手で磨く事をお勧めします。
子供さんを仰向けに寝かせて、お母さん(保護者)の両膝の間に子供さんの頭を置きます。頭がグラつかないように両膝で固定したら、子供さんの頭の上から覗き込むようにして磨いて下さい。そして子供さんの唇やほっぺを指でどかしながら、歯ブラシがどこに当たっているか確認する事が大切です。毛先が小帯や歯肉に当たると嫌がりますので、歯ブラシの大きさや角度等を工夫してみて下さい。又、歯並びの悪い所は、歯と歯の縦の隙間に入る大きさの歯ブラシを縦に当てて、上下に動かして下さい。ただし、歯ブラシの毛先が、当てた所から動かない程度の往復運動をして下さい。又、歯ブラシが歯の表面をなでるような弱さでは、粘着性のあるプラークは落ちません。歯ブラシの交換の目安は、毛先を正面から見て、外に広がっていたら、交換して下さい。通常はナイロンの弾力が弱くなる時期、つまり1ヶ月が交換の目安です。幼児は自分の歯を十分磨けませんから、お母さんや保護者が責任を持って、綺麗に磨いてあげて下さい。そして幼児には「自分で歯を磨く習慣」と「口の中が清潔になった感覚」を身につけさせてください。

次に歯ブラシ以外の補助用具、歯磨剤(歯磨き粉)、フッ素等についてお話しします。
<補助用具>
歯磨きの主体は歯ブラシですが、歯ブラシでは落とせない部分の(歯間部)を磨く為の用具を補助用具と呼んでいます。
これにはいくつかありますが、主に使う物は、デンタルフロスと歯間ブラシです。デンタルフロスとは歯間部(歯と歯の間)を磨く為の糸の事です。通常、カッター付きの容器に入っていたり、百均でフロスがホルダーに付いている物が売られています。歯と歯の間に挿入し易いようにワックスの付いた物も売られていますが、効果に差はありませんので、使い易い方を使って下さい。
歯間ブラシは、主に成人や歯周病で歯と歯の間が空いている人が使います。幼児が使うことは無いと思います。
<歯磨剤>
以前は「歯磨き粉」と呼んでいましたが、今は粉ではなくペーストが殆どだと思います。現在、物凄い種類のペーストが売られていますが、幼児には香料の刺激が少なく、フッ素がメインに入っているものを選んで下さい。第1回目にはペーストをつけないで、丁寧に磨いて下さい。全部の歯を磨いたら、第2回目の歯磨きをします。この時には、毛先に約5mm位つけて、フッ素塗布のように全体に行きわたるように磨いて下さい。」つまり第1回目は歯の汚れを徹底的に落として、第2回目にフッ素を塗るという感覚です。フッ素には、歯の表面(エナメル質)を強くしたり、酸で傷ついた部分を修復したり、細菌の活動を抑制したりする働きがあります。フッ素の量は極めて微量ですから、体にを害を与える事は無いと考えられています。もし過剰に摂取すると、歯磨が足りない為に起こる虫歯の初期症状に似た白斑が現れたり、歯の形成を邪魔したりします。更に量が多くなると、骨硬化症や甲状腺や腎臓に影響が出てくると言われています。
次回は、乳歯の歯並びや虫歯の予防法についてお話します。