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幼児期の口の中の状態1 ─妊娠期と乳幼児の歯と口腔内の特徴23

著者:デンタルオフィス湊

ゴールデンウィークが開けましたら気温の差が激しいなり体調を崩し易くなっていると思われます。麻疹の流行も見られます。お互いに気を付けて行きましょう。
今日は院長先生の第23回目のコラム「幼児期の口の中の状態1」です。
およそ6歳位までの歯や顎、言葉、食事等の成長や変化について説して行きます。

1、乳歯が生え始めてから、生え揃うまでは、おおよそ下の通りです。

①下のA | A:生後6~7カ月頃(真珠のような可愛い歯が)赤ちゃんから幼児に!

②上のA | A: 生後8~11カ月頃

③下のB | B: 生後10~12カ月頃

④上のB | B: 生後11~12カ月頃

⑤上のD | D: 生後1歳半頃

⑥下のD | D: 生後1歳7カ月頃

⑦上下左右のC | C: 生後1歳8カ月頃

⑧上下左右のE | E: 生後2歳頃(2歳半頃に生え揃ます。)

上記の時期は、ほんの目安です。新生児期に歯が萌出してしまう先天性歯のような異常は別として2,3カ月早く生えたり、遅く生えても気にする必要はありません。上記の様に、一般的には下の歯から生えますが、逆に上から生えたり、生える歯の順番がが違っても大丈夫です。しかし、3カ月以上早く生えたり、1年以上も生えてこない時は、歯科を受診して下さい。時として内分泌系の異常の早期発見につながる事もあります。1歳を過ぎると前歯8本が揃います。前歯(切歯)は、先端が刃の様な形をしているために、噛み切るのに適しています。

1歳半頃には、奥に第1乳臼歯が生えて来ます。
奥歯は臼状の形をしていて、食片を噛み砕いていて、磨り潰す働きを 持っています。つまり、前歯だけの時は、「かみかみ」(上下運動)だけ ですが、食物をすり潰す臼磨運動が出来るようになって来ます。「かみかみ」の上下運動だけで無く、下顎を左右に動かすようになります。い わゆる「咀嚼運動」が剥ぎマります。海苔や葉物野菜等、薄い物が噛めるようになって行きます。

1歳8カ月頃になると第1乳前歯と第1乳臼歯の隙間から先が尖った乳歯が生えて来ます。これは乳犬歯と言います。そして第1乳臼歯の奥に第2乳臼歯が生えて来て、全部の乳臼歯が生え揃います。3歳前後に乳歯列が完成します。3歳から6歳までを「乳歯列の安定期と言います。乳歯がむし歯や外傷にならな」ければ、6歳頃に6歳臼歯 と呼ばれる第1大臼歯が正しい位置に生えて来ます。 乳歯は生え変わるから、むし歯になっても神経を取っても問題ないと 思ってはいけません。乳歯がむし歯や受傷でダメージを受けると、永久歯が正しい場所に生えなかったり、回転したり、傾斜したり、弱くなったりします。6歳臼歯と呼ばれる第1大臼歯とその後ろに生える第2大 臼歯、そして親知らずは、生え代わりませ んので注意してください。問題無く全て生えた場合、乳歯の総数は20本です。永久歯は28本です。親知らずを含めると32本になります。

2、乳歯と永久歯について

①乳歯について
乳歯とは後継永久歯と生え代わる歯です。生え代わる歯は20本で す。この生え代わった20本の永久歯を「代生歯」と言います。永久歯には2種類あります。つまり生え代わる永久歯と第1,2,3大臼歯のように生え代わらない永久歯があります。第2乳臼歯と第1大臼歯は 隣り合わせで、形がそっくりです。時々、お母さんが乳歯と第1大臼歯を間違えて、生え代わるからむし歯になっても大丈夫と思ってる事があります。顔の真ん中を「正中」と言います。上でも下でも唇を引っ張っると「ヒダ」の様なものが見えます。これを「小帯」と呼びます。この小 帯のある所を正中として、乳中切歯2本が左右に各々1本ずつあります。この歯を1番(A)と言います。乳歯はこれを基点に(B),(C),(D),(E) 奥に向かって生えています。5番目を第2乳臼歯(E)と言います。 乳幼児の口の大きさは成人の3分の1位しかありません。ですから乳歯 が必要だと考えられます。赤ちゃんは1歳頃から、母乳や人工乳だけでは十分な栄養が摂取できなくなります。そこで、乳幼児の口の大きさに合う乳歯が生えて来て、様々な固形物海苔や葉物類等が噛めるように なります。乳前歯は食物を噛み切ったり、捕食する働きだけで無く、発音や租借機能の発達に重要な働きをします。永久前歯との違いは先ず、大きさが違います。それから根の形が違います。永久前歯が成長できるように、乳前歯の根は曲がっています。つまり永久歯の歯冠や根の一部が出来るように、このスペースがあります。乳臼歯の根は複数あってこのスペースを作る為にそれぞれの根が大きく曲がっています。

②乳臼歯の働き
次に乳臼歯の働きについてです。乳臼歯は2つの働きがあります。1つは食物を噛み砕いたり、擦り潰すことです。
2つ目は後継永久歯の保護です。乳臼歯は1歳半頃から第1乳臼歯 が生え始め、約2歳頃に第2乳臼歯が歯が生えて来ます。だいたい、2歳半頃に生え揃います。乳臼歯の形は、後継永久歯よりも、生え代わらない第1大臼歯に似ています。根の形も数もほぼ同じです。この乳臼歯をむし歯にしたり、事故等で破折すると、咀嚼力が著しく減少します。
重症齲蝕児では低体重となり免疫力も低下する事が分かっています。
又、咀嚼力が低下すると、口腔機能の発達に悪影響を与得てしまいま す。更に、乳臼歯がむし歯になったり、歯根の先が病気になると、後継永久歯のエナメル質や象牙質が十分に形成されなくなります。
乳臼歯を抜歯した時は、後継永久歯が生えて来るスペースを確保す る為に、小児義歯やクラウン・ループ等のリテーナーを装着しなければなりません。

3、乳歯の歯並びと噛み合わせ(咬合)

①乳歯の歯並び(歯列)
乳歯の歯並びに不正は殆ど見られません。後継永久歯が乱れるのは乳歯の生え代わる順番の狂いや、顎の大きさが不十分な時に起こります。一般に乳歯の大きさ、特に横幅は、顎の大きさ(歯が生える歯茎全体の大きさ)に比べて小さい為に、歯列が乱れにくくなっています。
永久歯列でよく見かける乱杭歯(叢生)や八重歯(犬歯低位唇側転位を、乳歯列で見かけないのはその為です。
乳歯列には、後継永久歯を正常に並べる為に、2つの空隙があります。
1つは「発育空隙」です。乳歯と乳歯の間に隙間があるのを見かけると思いますが、これを「発育空隙」と言います。
もう1つは霊長類に見られる隙間で、「霊長空隙」と呼ばれています。
これは、上顎ではB(乳側切歯)とC(乳犬歯)の間にあります。この2つの空隙は異常ではありません。「生理的歯間空隙」と呼んでいます。 しかし永久歯列では、治療が必用かどうかは別として、空隙があれば不正咬合に分類されます。つまり、永久歯列には、空隙の無いのが正常と して分類されます。生理的な空隙のある乳歯列を「空隙歯列弓」と呼びます。小児の90%以上に見られます。しかし、小児の中には、永久歯列のように全く隙間の無い子供さんもいます。これを「閉鎖歯列弓」と呼びます。「閉鎖歯列弓」の子供さんは将来、乱杭歯や八重歯等、歯並びが悪くなる傾向があります。定期的に歯科を受診して、出来る限り、不 正咬合にならない様にチェックしてもらって下さい。

②乳歯の噛み合わせ(咬合)
乳歯の噛み合わせは、主に上顎と下顎の大きさと、口の機能に関連 する筋力とそれぞれの筋力のバランスによって決まります。学問的に導き出された、仮想正常咬合を基準としないで、被検者の状況に応じて暦年齢や個性、機能等を基準とした、各々の正常咬合を用いるのが妥当だと考えられています。  次に正常交合を狂わす原因ですが、遺伝的要因と環境的要因の2つがあると言われています。
まず遺伝的要因とは、御両親や祖父母から異常な噛み合わせを受け継いでしまった場合をいいます。勿論、歯の形や大きさ、並び方等も遺伝しますが、上顎や下顎の骨格も遺伝します。もし上顎が下顎に対してまたは、下顎が上顎に対して、大き過ぎたり、小さ過ぎると交合異常が生じます。こういう交合異常を「骨格性異常(不正)咬合」と言います「骨格性異常咬合」があると、いわゆる出っ歯になったり、受け口になったりします。もう1つは「環境的要因」による異常咬合があります。
もし摂食や嚥下運動にかかわる舌筋や口の周りにある口輪筋や頬筋等の位置や筋力のバランスが悪いと異常咬合になります。それから、よく知られている指しゃぶりや頬杖等の悪習慣も咬合に異常を障したりします。
指しゃぶりでは、開口(オープンバイト)、頬杖では、後方交叉咬合と呼ばれる交合異常が起ります。これらの予防としては、何を言っても悪 習慣を上手に止めさせさせる事です。これらの悪習慣が、子供さんのストレス解消をしている事がありますので、強引に止めさせないでください。
次に筋訓練をする方法があります。酷くなってなければ、十分に治ります。「骨格性異常咬合」に対しても、早期の対応が極めて大事です。専門医に診てもらって、適切な開始時期や治療方法等を聞いてください。又、保険が使えるケースがありますので、それも確認して下さい。いずれに しても、3カ月に1回、検診を受けて虫歯予防や異常咬合、内分泌異常 等を早期治療される事をお勧めします。
今回はここまでにさせていただきます。次回は「幼児期に口の中の状 態2」を書かせていただきます。