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乳児期の口の管理の続き ─妊娠期と乳幼児の歯と口腔内の特徴22

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。桜の季節も過ぎ、つつじが咲き始めました。これから、次々と花が咲いていきますね。楽しみですね。
今回は院長先生のコラムです。
第22回目です。前回の「乳児期の口の管理」の続きについて、お話しさせて頂きます。

3、乳臼歯の生え始め(生後1年から1年半頃まで)

生後1年頃になると、そろそろ離乳も終わる頃になります。上下の乳前歯が生え揃って来ます。ただし乳犬歯はまだ生えて来ませんので、上4本、下4本、合わせて8本が生え揃って来ます。乳犬歯が生える前に、第1乳臼歯が生えて来ます。奥歯には、食物を砕いたり、擦りつぶす為に、溝があります。前歯は咬み切る為の歯ですから、奥歯のように、臼状にはなっていません。第1乳臼歯が生えると、溝の部分と食物残渣や歯垢(プラーク)が溜まり易くなります。これらの汚れを落とすのに歯ブラシが最適です。どういう訳か乳臼歯が生えると、口腔細菌の中でも虫歯の原因菌であるs・ミュータンス菌が、口の中に定着しやすくなると言われています。とりあえず、最低1日1回の簡単な歯磨きの習慣を身につける様にしましょう。
コツは、御家族が決まった時間に皆で歯磨きしている所を見せる事です。すると赤ちゃんは自然に歯磨きに馴染んでいきます。赤ちゃんに「歯磨きは、お母さんに磨いてもらうのでは無く、自分で磨くものだ。」と理解させるのに役立ちます。もし赤ちゃんも真似して歯ブラシを欲しがったら、赤ちゃん用の歯ブラシを持たせて下さい。この時期は、歯磨きで歯を綺麗にする事が目的ではありません。口の中に歯ブラシを入れることを習慣化する事です。ただし、歯ブラシを持っている時は、一瞬でも目を離さない様に、「細心の注意」を払って下さい。
1歳前後ですから、歯の数も少なく、ブラッシングの要領を覚える、良い機会だと思います。さて、親が赤ちゃんの歯を磨いてあげる時の基本姿勢について」説明します。親は、横座りか胡坐(あぐら)をかいて下さい。そして、膝の中に赤ちゃんの頭を入れて下さい。この姿勢のメリットは、赤ちゃんの頭を安定させる事が出来る事や口の中も見やすく、歯ブラシの毛先が歯にキチッと当たっているかも確かめられます。更に、歯ブラシを持って無い方の手で、唇や頬をよける事も可能です。勿論、歯ブラシが歯に強く当たっていないかも確認しやすく、歯ブラシの強弱もコントロールしやすいです。

歯ブラシの選び方

歯ブラシの選び方ですが、大きさはお母さんの小指1/3から1/2位の大きさのヘッドを選んで下さい。毛先は短い物を選んで下さい。持ち方は、鉛筆を持つようにして、歯面に極軽く当てて、横に約1cmの幅で磨いて下さい。歯ブラシの圧力は、大人の人でもやく100gですから、赤ちゃんの場合は、歯面に軽く触れる位で十分です。とにかく、歯肉に傷を付けないように気を付けて下さい。又、赤ちゃんの小帯は、歯頚部に近いので、歯ブラシの大きさや使い方に気をつけて下さい。歯ブラシの選び方や使い方が良く分からない時は、気軽に歯医者さんを訪れて下さい。赤ちゃんがブラッシングを嫌がる様でしたら、決して強引にやらず、徹底的に原因を追究して下さい。鼻が詰まって無いか?、歯ブラシのゴシゴシが強く無いか?、膝の中に頭を入れる姿勢が嫌ではないか?等、それぞれの問題に対する対処法を見つけなければなりません。口腔内を清潔に保つことは、単に虫歯や歯周病の予防にとどまらず、全身に多大な悪影響を及ぼすからです。この時期は、食生活がキチンとしてれば、歯磨きが多少、下手でもすぐに虫歯にはなりませんので、焦らずに正しい歯磨き方法を身につけて下さい。ただし、いい加減なブラッシングでも虫歯にならないからと言って、この程度でも構わないと思わないでください。歯垢を染め出す液を使って、汚れが落ちたかどうかをチェックして下さい。
歯磨きを頑張ったり、今までより綺麗に出来たら、思い切り誉めてあげて下さい。始めの頃はお母さんが全部やらなければなりませんが、子供さんが自分で磨けるように少しずつ教えて行って下さい。この時期は、汚れを徹底的に除去することを目的にしてはいけません。親を主体とした歯磨きを習慣づけることが目的です。歯磨きを習慣づけると共に、歯に汚れが付きにくい食べ物や食べ方を学習しましょう。

虫歯予防と食生活

最後に、この時期の虫歯予防と食生活についてお話しします。
コップから水が飲めるようになると、吸うだけで無く咀嚼も出来る様になります。そろそろ母乳から卒業する時期です。まさに(文字通り)「乳離れ」です。「乳離れ」が進むにつれて、1日3回の食事や睡眠、そして運動(遊び)を中心とした生活リズムを形成して行かなければなりません。間食や甘味飲料の取り過ぎ、就寝前の飲食が習慣化しない様に、十分な注意が必要です。以外と多いのは、「イオン飲料やスポーツ飲料を健康に良い」と勘違いして、普段でも水がわりに子供さんに与えているお母さんがいることです。小児科を受診した時に、脱水症を予防するために、「イオン飲料」や「スポーツ飲料」を勧められた事をきっかけに、病気が治ってからも、「体にいい」と勘違いして、ずっと与え続けているお母さんが多いので、注意が必要です。これらの飲料水にも、多くの砂糖が含まれています。ジュースや、乳酸飲料、炭酸飲料等を哺乳瓶に入れて与えてはいけません。
赤ちゃんの就寝時間は、8時前後が良いと言われています。都会では、親が夜型だと子供さんの就寝時間が、夜の11時や12時になってしまう事も見受けられるそうです。乳幼児には乳幼児に適した就寝時間や生活のリズムがあります。ですが親の都合で赤ちゃんや幼児の就寝時間を遅らせて、生活のリズムを乱してはいけません。夕食後から就寝までの時間が長いと就寝前の飲食の癖がついてしまいます。あるいは、就寝時間が遅くなると、乳幼児を寝かせつける時、機嫌が悪くなったり、グズッたりする事が多くなります。すると機嫌をとる為に、母乳をあげたり、赤ちゃんの好きな飲み物を哺乳瓶に入れて与えてしまいます。歯磨きをした後に、母乳やジュース類を飲むと虫歯になり易くなります。ですから、乳首や哺乳瓶をくわえたまま眠ってしまう事が習慣化して仕舞うと、「ランパントカリエス」と呼ばれる極めて重度におかされた広汎性で急進性の虫歯で、歯髄感染を伴う事が多い、通常、虫歯になりにくい、下顎前歯部まで侵されるのが特徴の、厄介な虫歯になってしまいます。赤ちゃんの食育や生活のリズムを守る為にも、御両親で十分、検討してみて頂きたいです。この時期から、三食のほかに、間食もとり始めます。間食の目的は、栄養補給と食べる事を楽しみの1つにする事です。間食に甘い物だけを与えてはいけません。甘味は人間に好まれやすい味ですから、間食に甘味を与える傾向がみられます。しかし、甘味を摂り過ぎると、肥満や生活習慣病になると考えられます。更に悪いのは、甘い物を多くとる事が習慣化すると、他の味の受け入れが悪くなり、偏食の原因になってしまいます。
様々な食品を食べる事によって、一生の咀嚼や口の機能、虫歯の予防、そして、食事や間食の基本を形成して行って下さい。

次回は23回です。「幼児期の口の中」についてお話しします。