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口唇裂と口蓋裂・続き ─妊娠期の歯と口腔内の特徴 20

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。この原稿は3月4日に書いています。今日は4月下旬の気温になりました。近所のお宅の庭には、沈丁花が咲いていました!良い香りでした。もう、春ですね!水曜日から又、冬の気温へ戻ってしまうようです。体調管理をしっかりしないといけませんね。
今回は、院長先生の第20回目のコラムです
口唇裂と口蓋裂・続き

【7】治療後の定期検診と管理(ケア)

*耳に関する注意点(口蓋裂)
口蓋裂のある子供さん(赤ちゃん)には、滲出性中耳炎が多く見られます。耳の中にある中耳と呼ばれる所に炎症によって水が溜まる病気です。中耳と咽頭を結んでいる所を耳管と言います。機能異常があって、その為に口の中にいる細菌に感染して炎症が起こります。炎症が起こると中耳に水が溜まります。これを滲出性中耳炎と言います。中耳に水が溜まると、音が上手く伝わらなくなります。これを伝音性難聴と言います。難聴になると、言葉の発達に大きな支障を来します。定期的な耳鼻科の検診が必要です。

*言葉に関する注意点
言葉を話すには、精神面での発達と共に、唇や口の中の器官の協調が、とても大事です。口蓋裂では、鼻と咽(のど)の閉鎖が上手くいきません。話す時は、息が鼻や咽に漏れると、うまく話せません。その為、口蓋裂がある場合、この鼻咽喉閉鎖不全を治す事が、手術の大きな目的の1つになっています。これ以外にも、言葉の発達の障害になるのは、上顎の形や歯並びです。従って手術後にも、歯科医や言語聴覚士等の専門の人に、定期的に診てもらう事が大事です。言語聴覚士とは、音声機能、言語機能、又は聴覚に障害のある者について、その機能の維持向上を図る為、言語訓練やその他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導、その他の援助を行う人の事です。
それまで様々な名称で呼ばれていましたが、平成9年12月(法律第132号)「言語聴覚士」という名称で統一されました。英語ではSpeech therapistと呼ばれ、日本では一般に、イニシャルをとってS.T.と呼ばれています。
言語発達の過程では、子供さんたちが言葉を楽しく覚えられる様に、又のびのびと話せる様に、日常生活の環境を整えてあげる事がとても大事です。

*歯や歯並びに関する注意点

口唇裂や口蓋裂の赤ちゃんの歯は、生える時期も生える順番も大きな差はりません。しかし、裂の近くにある歯が斜めに生えたり、曲がって生えたりすることがあります。又、歯質がやや弱かったり、歯の数が少なかったり、多かったりする事があります。裂のタイプや範囲の影響で、歯並び(歯列)が裂の所で分断され、歪んだ歯列になることがあります。歯列が歪んで、受け口になって、噛み合わせにくい状態になることもあります。又、手術後に、裂の近くの粘膜や筋肉が、突っ張った状態になって、食物が停滞したり、自浄作用が低下する事もあります。手術前でも、歯磨きが難しかったり、子供さんが好む甘い物を与えがちになる傾向があります。つまり、虫歯になる傾向が高くなります。注意しなければならないのは、虫歯を進行させない事です。もし抜歯して仕舞うと、その後の矯正治療が難しくなるだけでなく、矯正治療のゴールにあまり近づけなくなって仕舞います。ですから、赤ちゃんの時から虫歯予防の徹底がとても重要です。
永久歯の歯並びや噛み合わせを想定して、手術や矯正治療をします。もし歯が足りなければ、ブリッジや義歯で治療する事になります。歯科治療の進歩は、目覚ましいものがあります。
又、口唇裂や口蓋裂の治療やケアは、各分野の専門家が共に協力し合って行う事が重要です。医科や歯科の連携だけではなく、臨床心理士や医療ソーシャルワーカー等による精神面や社会面でのサポートがとても重要です。

*治療費の保険適用範囲について

一部の治療を除けば、殆どの治療は健康保険の適用となります。又、高額分に対しては、「高額治療費償還制度」により返還されます。更に18歳未満では「育成医療制度」があります。18歳以上では「更正医療制度」があります。それぞれの制度に条件があります。詳しい事は居住地の保健所に聞いてみて下さい。

【8】親の会・友の会について

これらの会は、口唇裂・口蓋裂のある子供さんの御両親や家族の方、或いは、成長された患者さん自身が中心となって、各地域毎に、また全国規模で、口唇裂・口蓋裂の子供さん達のより良い医療や生活を求めて、自主的に活発に活動されています。主な活動としては、
①育児に関する悩みや、療育上の問題に対する相談を受けたり、情報交換したり、情報提供をする。
②会員の御家族の交流の場を提供する。
③各分野の専門家の講演会を開く。
④勉強会の開催。(最新の知識の収集)
⑤より良い医療体制の推進。
⑥社会的保障制度の改善。
⑦この病気に対する一般社会の理解を促す。

【9】口蓋裂児のへの哺乳について

口唇裂だけの赤ちゃんは、口唇で乳首を捕らえるのが難しいケースはありますが、口蓋裂と違って、お乳を吸う力や、飲み込む力には問題がありません。口蓋裂があると、おっぱいを吸い出す為の陰圧がかけられません。又、吸入の時にむせたり、鼻からおっぱいが出たり、溢乳や吐乳等が起こります。そこで哺乳の為の工夫を、幾つかあげておきたいと思います。
①搾乳して、飲みやすい哺乳瓶に入れ替えてから与える。(口蓋裂用)
②哺乳瓶の乳首の穴(孔)を大きくする。
③哺乳瓶の乳首の穴の数を増やす。
④哺乳瓶の乳首を十文字に切り込みを入れる。
⑤哺乳瓶の乳首を何か煮て、柔らかくする。
⑥赤ちゃんを起こし気味にする。
(鼻漏れ、溢乳、むせ防止)
⑦ゲップを小まめにして上げる。
⑧1回の哺乳時間を15~20分程度にする。
⑨上手くいかない時は専門医に相談する
⑩口蓋床を入れる。

次回は「乳幼児の口の手入れ」についてお話しします。