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高齢者の歯と口の健康作り1 ─高齢者の歯と口の中の状態3

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。平昌冬季オリンピックが日本選手団、過去最高メダル数を獲得して、終了しました。日本選手の活躍を手に汗握って応援してました。選手の皆様、夢と勇気をありがとうございました。又、4年後の北京が楽しみです。
という事で⁉️今回のコラムは熱田です。
「高齢者の歯と口の健康作り1」

健康と食事

高齢になれば、ほとんどの方が何かしらの疾病を持っていると思います。高齢者にとっては、生命維持の為に食事を考えるだけでなく、楽しみとしての食事という事を考える事も大切だと思います。
栄養学的には多少問題があったとしても、自分の好物を食べる事が、生活に潤いをもたらすというのは事実と言えます。又、高齢者の食事は、その人の口腔の機能に合わせた内容から、自らがメニューを決定しているとも言えます。そして、その人が生きて来た、環境と文化に影響を受けている事を考慮して作成する事が大切です。
食べられなくなってきた人でも、好物を出すと、思いのほか食べられたなどという事は、珍しくありません。健康を維持する為には、「口から食べる」という事が何より大切です。

食べる機能の減退とその予防

高齢者の歯を見ていただくと、その人の生きて来た歴史を見ることが出来ます。
非常に咬耗(長い間噛んできた事によって歯がすり減る状態)している歯も珍しくありませんし、萌出(歯が生える事)した時とは、ずいぶん違う事もあります。例えば、萌出時の、口の中は唾液が多く、歯は湿潤状態の中にあります。しかし高齢になるにつけ、唾液は減り、歯は乾いた状態に置かれ、歯自体も長年使い込まれ、表面にひび割れができ、欠けやすくなります。
手足の筋力が落ちるのと同様、食べる時に使う筋力も、徐々に落ちていくのも当然です。
口腔の機能が落ちない様に、うがいを励行したり、歯を磨く時に、口腔周囲の筋肉(咀嚼筋)のストレッチを欠かさずすることが大切です。
楽しく人と話し合うチャンスを毎月作る事も、食べる機能を保つことに役立ちます。
残念ながら、自分の歯を全て失って総入れ歯(総義歯)を入れてる人は、総義歯を使いこなす筋力を持ち合わせていないと、入れ歯を口腔内で保持する事はできません。
入れ歯は眼鏡とか義手、義足と同様な働きを持つものですが、コンタクトレンズと同様軟らかい組織の上に乗せて、それを使いこなし、食べ物を咀嚼する、という技術が必要です。

口腔ケアの重要性

健康であれば、口腔は、ある程度、自然に清潔になります。(自浄作用)。
又、口腔の機能を維持、増進させる為の手段や方法を若いうちから知っていることは、重要な事です。現在では、食後は歯ブラシや洗口液で清掃する事の重要性を、殆どの日本人は知っています。そしてこれらの事は高齢になると、より重要になってくることが判ってきています。
口の中には、体に棲んでいる細菌の3/5種類のものがいます。人の体の抵抗力が落ちた時にその細菌は増殖しやすく、口腔内に悪影響を及ぼします。気付かない内に、唾液と一緒に飲み込み、肺に入りますと肺炎(誤嚥性肺炎)を起こします。最悪の場合は、死に至る事もあります。
クラウンやブリッジなどの補綴物が多くある人や、自分で口腔を清潔にする能力のない人は、専門家に定期的に「口腔機能を高め、口腔を清潔にするための口腔ケア」をして貰う事が極めて重要です。

健康と咀嚼の関係

健康を維持、増進する為にも、咀嚼機能の確保が大切です。全体的に健康であれば、咀嚼機能もよく機能します。体調が悪いと唾液が出すぎたり、出なかったり、口唇、舌、頬を噛み易くなります。又、水分の少ないものや、繊維のある物を避けたくなる事もあります。
高齢になるや否や、「軟食、流動食、キザミ」というメニューでは喜ぶ人はいないでしょう。胃腸が弱っても口腔機能が低下していなければ、咀嚼を減退させるような食事メニューは極力避けるべきだと考えます。胃腸の手術で入院した時も、骨折で入院した時も最初のメニューが流動食というのは、おかしな話ですよね。
歯が無くても入れ歯やインプラントで咀嚼機能があれば、家族や友人と同じメニューが食べられて会食を楽しめます。
人間は、歯を失っても、咀嚼機能が落ちても、ミキサーなどの道具を使う事により、失った機能を補うことが出来ます。しかし、食べる人の口腔機能を理解しないまま、ただ単に「流動食にキザミを混ぜて」食べさせたりすることは、口唇、舌、頬の筋力の機能の落ちた人には、大変苦しいものになります。食の見た目、形、味などを考えた上で、増粘剤、ゲル化剤、栄養補助食品などを上手に利用し、高齢者の咀嚼機能を、維持、増進することはとても大事なことです。
食べ物の持つ特性を、人の口腔機能と照らし合わせて考える事は、高齢者にとってより良い咀嚼を確保するために大切なポイントです。例えば、唾液の量の減る高齢者には、焼きのりなどは口の中やのど、上顎にくっつきやすく、飲み込みにくいですが、のりの佃煮にする事で飲み込み易くできます。

8020運動の実現を目指して

若いころから歯を大切にし、軽い歯周病を罹っても「80歳でも20本の歯を持とう」と努力している方が増えています。「歯を失わず20本以上あるが、歯の根(歯根)が見えて形態が変わったと思ったら、そこに虫歯が出来ている(根面齲蝕)」という人が、特に高齢者の中に目立ってきています。歯の根は細く、軟らかい組織でできていますので、食渣(食べかす)や細菌が留まりやすく、清掃もしにくい所です。口腔機能が弱り、唾液が出なくなり、口臭や食渣あるのも気づかず、痛みもないうちに歯が折れて、初めて根面齲蝕に気づく事が増えてきます。
どんな人でも、定期的に歯科医師の診査を受ける事が大切です。特に補綴物やインプラントを入れている方や高齢者は、口の変化や治療の経過が判る、かかりつけの歯科医院を持つことが必要と思います。
根面齲蝕予防にフッ化物を使用するなど、自分で出来る口腔ケアを心掛け、上手にできているか専門家の検査を受ける事も必用でしょう。「80歳になっても、自分の歯で、何でも食べる事が出来て初めて、その目的を達成している。」と言えるでしょう。

口のストレッチ・リハビリテーション

この言葉を耳にしたことはありますか?口の機能(働き)は複雑です口腔を閉じ、上下の歯をしっかり噛んで、口の中に空気を入れてみて下さい。この状態で、口の中の空気を左右に移動できますか?何回出来るでしょうか?左右合わせて30回出来たら、口腔閉鎖や頬の筋力はよく働いています。口の働きには、12ある脳神経が5つも関与しています。又、人と集い会話したり、歌ったり食事をしたりするには、殆どの脳神経を使う事になります。つまり、呼吸を整え、口を動かすことは、脳に沢山の刺激を与え、脳神経を刺激する事で、口腔機能(働き)はより高まるのです。
発音が悪くなったり、食べ物を口からぽろぽろ落としたり、飲み込みが悪い、唾をのんでむせる、などを起こさない為、その様な事が起きてきたら、リハビリをする為の講習会「口腔機能の向上プログラム」が各地方治自体で行われています。食べたり、飲み込んだりすることに、問題を起こさないための訓練です。興味のある方は、参加してみては如何でしょう。家庭で、3カ月も訓練を継続すると、口腔機能のある人は、より健康に、低下していた人は改善します。
今回はここまでにさせていただきます。次回も「高齢者の歯と口の健康作り2(続き)」です。