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高齢者の歯と口の中の状態

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。熱田です。平成30年に成りました。今年から「高齢期の歯と口の中の状態」について書いていこうと思っています。よろしくお願いいたします。

高齢者とは

「高齢者」とは何歳位からそう呼ぶのでしょうか?日本の統計調査では65歳以を高齢者と定めています。しかし今日「人生80年時代」にそぐわないという意見も強く、国民の意識調査を見ても「老人とは65歳以上」と答えたのはたった3割以下でした。身体、精神、情緒の面において老化の状態は個人差が非常に大きく、暦年齢(満何歳か)によって一律に扱う事は適切ではないように思われます。
歯や歯ぐき(歯肉)も齢をとると必ず悪くなるものと考えがちですが、高齢者と言ってもその状態には非常に幅があり、歳のせいとあきらめない事が大切です。

年齢と歯の数

厚生労働省が行った平成23年度の調査では、50歳で平均25・9歯を保有していました。60歳で22.5歯、70歳で17.3歯です。80歳以上で20歯を保有している割合は28%を越えていると言われています。80歳になると、その6割は総入れ歯の使用者でした。
入れ歯(義歯)については、たとえ小さくても9割の人は不満や不安を感じているのが現状です。毎日歯ブラシで清掃し、清潔にする事、むし歯(齲蝕)をそのまま放置せずに、適切な治療に努める事が大切です。

噛むことの意味

豊かな食生活は「質の高い生活」の基本である、と高齢者は言います。逆に食べたい物も歯が悪い為に食べれない不自由さは、高齢者にとっては毎日の苦痛であるばかりか、食事が偏り、栄養学的にも望ましい事ではありません。噛み合わせが悪い状態が長く続くと、健康そのものにも影響してきます。
ここで話が逸れますが、「がん予防の12ヶ条」を紹介したいと思います。
①彩り豊かな食卓にして→バランスの取れた栄養を摂る。
②ワンパターンではありませんか?→毎日、変化のある食生活にする。
③おいしい食べ方をしましょう。→食べ過ぎを避け、脂肪は控え目に。
④お酒はほどほどに。
⑤煙草は少なく。
⑥適量のビタミンと繊維質の物を心がけて、緑黄色野菜をたっぷり取りましょう。
⑦胃や食道をいたわって→塩辛い物は少なめに、熱いものは避けましょう。
⑧焦げた部分は避けます→細胞に突然変異を引き起こします。
⑨食べる前にチェックして→カビの生えたものに注意。
⑩日光に当たり過ぎない。
⑪適度にスポーツをしましょう。
⑫体を清潔にして、気分も爽やかに。
がん予防の12ヶ条を見ても、半分は食事に関係したものです。よく噛むことはがん予防にも大切です。口の中に入った発がん性物質を噛むことによって、唾液の働きで毒性を消す働きがあるという研究発表もありますし、最近、噛むことが痴呆の防止に役立つことが注目されてきました。

高齢期の歯

高齢になると歯やその周囲の歯肉・骨も加齢による変化が見られます。歯の表面の変化としては、噛む面や隣の歯と接蝕する面が徐々にすり減ってきます。その為、歯は凹凸がない、ややのっぺりとした形態に変化していきます。
歯科の処置などで急激に削られると虫歯の様にしみる事がありますが、長い時間を掛けてすり減っていきますし、歯の神経がある中心部も生理的に委縮していくので、自覚症状が出ない事が多いようです。
歯の根は、加齢によって太くなる傾向にあります。これは歯の根の周囲にあるセメント質が増生する事によります。
歯質は加齢により幾分硬さを増しますが、特に露出した部分の象牙質は硬くなります。これはフッ素などを歯質が取り込むことにより、歯質が強化されるからです。
一般に神経と言われている歯の中心にある歯髄組織は、年齢の増加と共に、細胞成分が減って繊維化・脂肪化します。歯髄組織が入る場所を歯髄腔と言い、年齢と共に狭く、小さくなります。
これらの加齢変化の為、歯髄の疾病に対する防御機能、回復力は低下し、歯髄腔が狭くなる為、歯の治療に困難をきたす場合が少なくありません。

高齢期に問題になる歯の状態

歯が痛むのは、次の5つの場合が多いので、どんな原因で痛いかをまず確かめる必要があります。5つとは、
①虫歯(齲蝕)
②歯周病(歯周疾患、昔は歯槽膿漏と言ってました。)
③歯根(歯の根の部分)の化膿
④歯の破折
⑤歯の付け根がしみる(歯頚部の楔上欠損、知覚過敏症)
などです。

高齢期の歯周組織

歯の周囲の組織も加齢変化を起こします。
歯肉は弾性が低下し、張りが無くなります。歯肉退縮(歯肉が下がったような状態)が見られ、その結果、歯根が露出します。歯槽骨(歯を支えている顎の骨)は、水平的、並びに垂直的に吸収しますが、20歳代前半を過ぎる頃から毎年0,06mmの割合で水平的な吸収が継続するという研究があります。
このような歯周組織の変化と共に、加齢に伴って歯周病の発症頻度は高まり、歯の喪失率も高まる傾向にあります。
一般に高齢者の体の骨は体積も質量も減少し、脆くなります。顎骨も同じ変化を受けますが、身体の他の骨に比べるとその変化は少なく、顎の運動や機能が急速に阻害されることは余りありません。顎の骨は年齢による変化よりも、歯の喪失によって起こる一種の廃用性変化の方が大きいのです。
今回はここまでにさせていただきます。次回は「高齢期の歯と口の中の状態2」の予定です。