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離乳食の作り方 ─妊娠期の歯と口腔内の特徴 15

著者:デンタルオフィス湊

こんにちは。週末になると台風が接近してくる日本列島。先週末も台風22号により各地、大雨と強風におそわれました。台風一過、開けてみると、久しぶりの雲一つない快晴でした。しかし、朝晩の冷え込みが一層深まった、感があります。体調管理にご注意ください。
今週は、お待たせいたしました。院長先生のコラムです。

第15回目は「離乳食の作り方」や赤ちゃんの味覚についてお話しします。

まず「離乳食の作り方」について説明します。

1、離乳食初期(5~6カ月)嚥下と捕食機能獲得期

おっぱいを飲む哺乳反射が消えていくと、離乳食が始まります。とっても不思議に思えますが、おっぱいは飲んでいたのに、離乳食が口の中に入っても、おっぱいのように飲み込むことが分かりません。つまり、哺乳反射による飲み込み方と離乳食の飲み込み方が違うからです。唇を閉じてゴックンと飲み込む事を知りません。ですから最初の内はボロボロとこぼしてしまいます。食べる機能を獲得するには、歩き方や走り方と同じで各段階を一つ一つ覚えていかなければなりません。又、お母さんは、赤ちゃんの発達段階に合わせて、食べる時の姿勢や、食べ物の大きさや固さを工夫していかなければなりません。そこで赤ちゃんに離乳食を上げる時の姿勢ですが、口から食べ物がこぼれないように、赤ちゃんを少し後ろに倒して下さい。そうすると離乳食が、口の奥に移動しますから飲み込み安くなります。しかし、過剰に介助してはいけません。例えば、こぼさないようにスプーンを口の奥に入れたり、上唇にスプーンを擦り付けるような介助です。これでは、赤ちゃんが唇を閉じる練習が出来ませんし、折角、作った美味しい離乳食を味わえなくなって仕舞います。この時期の与え方は、スプーンを下唇の上に乗せるようにします。そして、赤ちゃんが自分で食べ物を取り込む練習が出来るようにして下さい。

時々「離乳食を、舌で押し出してしまう」赤ちゃんがいます。この原因として考えられるのは主に3つ考えられています。
1つ目は、前述した離乳食の与え方に問題がある時です。離乳への移行期は、赤ちゃんが自分の意志で唇や舌、顎の動きをコントロール出来ない為に、舌が前に出て来て仕舞います。捕食時に、顎運動と舌運動が協調し合うと、舌が前に出なくなります。離乳食を与える時は、スプーンを下唇に軽く当てて、赤ちゃんに合図を送って下さい。赤ちゃんが口を大きく開いている時に、離乳食を流し込むのも厳禁です。さっき話したように、スプーンを口の奥にいれるのも禁止です。これらは全部、赤ちゃんが、舌を前方に出す事を誘発してしまいます。離乳初期の離乳食は、赤ちゃんの口の中でゆっくりと移動物が最適です。ドロドロしていて、適度な粘着度があって、粒の無いもの、つまり、プレーンヨーグルト状の物にして下さい。水のように粘着度が無い離乳食は、むせたりし易くて、逆に飲み込みにくいので注意して下さい。
2つ目は、食物形態が発達程度に合っていない事が考えられます。離乳中期になっても、舌で離乳食を押し出してしまうのは、舌で潰せない固さの物や、大き過ぎたり、厚過ぎたりするときです。
3つ目は、精神的、或いは心理的な事が原因になる事もあります。赤ちゃんの気持ちを良く観察して、何が問題かを探し出し、それを排除する必要があります。

2、離乳中期(7〜8ケ月)押し潰し機能獲得期

唇をシッカリ閉じて飲み込めるようになると、次は口の中に入って来た柔らかい物を、舌の先と上顎の前方の間に挟んで「押し潰す」ようになります。この動作の中で、赤ちゃんは食べ物の形や温度、稠度(粘り気)等を感じながら覚えていきます。ですから食べさせる時は口の前方を使う様に食べさせなければなりません。上手に食べる様になる為には、先ず、上手に押し潰せなければなりません。これを赤ちゃんに学習してもらう為に、食べ物の軟らかさや、食片の大きさを適度(でなければなりません。)にすることが大事です。小さ過ぎると、食片の形が分かりにくくなります。固さは指で潰せる位が適度です。例えば、カボチャやサツマイモ、ダイコン、カブのような根菜類の煮物や豆腐や茶碗蒸し等が適当です。一方、汁物は粘り気が無くても飲み込める様になります。しかし、量が多いとむせて仕舞いますから、スプーンを横にして、赤ちゃんに吸ってもらう様にしてください。

3、離乳後期(9~11カ月頃)すり潰し機能獲得期

離乳中期で、食物を舌と上顎で押し潰せるようになったら、次に押し潰せない固さで、すり潰せる程度の硬さの離乳食にします。舌で押し潰せなくなると、舌を左右に動かして、どこかで食べ物をすり潰そうとします。又、顎も左右に動かして、歯ぐきで食べ物をすり潰すようになります。又、唾液を混ぜて咀嚼運動を覚えていきます。咀嚼運動を外から見ると、下顎の側方への動きや、すり潰している方の口角が縮むのが見られます。これは唇が頬と顎と協調して、下顎の歯が生えてくる所の歯ぐきから、食物が外側に落ちない様にしています。舌は食べ物を歯ぐきに乗せて、内側に落ちないようにしています。
この時期の食物の硬さは、上下の歯ぐきですり潰せる硬さにして下さい。柔らか過ぎると咀嚼運動が練習できませんし、硬すぎると丸呑みしてしまいます。

4、離乳完了期(12〜15ケ月)自立食べ機能獲得期

今までは、お母さんの介助によって食事をしてきましたが、歯ぐきで上手に咀嚼が出来るようになる頃に、上下の乳前歯が生えてきます。乳前歯で玩具等を噛んで遊ぶ事が多くなります。歯と歯槽骨の間には、歯根膜と呼ばれる靭帯があります。歯を歯槽骨に固定する働きの他に、歯に加わった力の方向や大きさを感知するセンサーの働きもします。前歯部の歯根膜は臼歯部の歯根膜と比べて非常に敏感です。前歯を使って、食物の硬さを感知すると、その硬さに応じた顎の動きを学習していきます。そして十分学習した頃に乳臼歯が生えてきます。こうして咀嚼がスムーズに獲得されていきます。この時期には、少し大きめの食物を上げて、手づかみで食べて貰う機会を少しずつ増やしていってください。一口大に切って、スプーンやフォークでばかり与えるのは、機能を発達させる為にはマイナスです。手づかみで食べる事によって、自分が一口で食べられる大きさを学びます。唇と前歯で咬断し、自分の腕や手、或いは目を使って学習していきます。この一連の動作が、スプーン等の食器を使う基礎になります。やがて自分一人で、食器を操作して食べる動作が上手くなっていきます。
次は「赤ちゃん言葉を覚え始める頃の発達過程」についてお話しします。