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妊娠中の歯と口の治療 ─妊娠期の歯と口腔内の特徴 11

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。
本格的だ梅雨の時期に入りました。
クリニックへお越しの際には、足元に十分気を付けて、お越しください。
今回は院長先生のコラムです。

第11回目です。
今回は「妊娠中の歯と口の治療」に関してお話しします。

妊娠中の歯科治療

妊娠中の歯科治療は積極的に行うべきだと考えられています。
歯科治療だけでなく、その他の治療に関しても、漠然と不安を感じる妊婦さんが多いかもしれません。
例えば、レントゲン撮影や薬等が、妊婦さん自身やお腹の赤ちゃんに悪い影響与えるのではないかと、ものすごく心配されている方も多いと思います。しかし、妊婦さんの歯科治療は、どの時期でも出来ます。
これから妊婦さんの歯科治療に関する留意点について説明します。

1、歯科診療に対する不安について

妊娠中の歯科治療に関して、歯科医は、十分に心得ていますので、安心して受診されて下さい、産後は、授乳等の育児に追われますから、治療するのが難しくなります。
虫歯や歯周炎、智歯歯周炎等、歯や歯肉に問題がある時は、速やかに受診されてください。治療を先延ばしにしていると、症状が悪化して、治療に時間もお金もかかってしまいます。また、食事がうまく取れなくなる時もあります。
痛みを我慢し続けると、睡眠にもお腹の赤ちゃんにも良くありません。妊娠中は精神的な安定が特に重要ですから、歯科に関して重要な事がありましたら、迷わずに受信されてください。
治療だけでなく、相談される事がとても大切です。
歯科の治療受ける前に、妊娠している事や妊娠しているかもしれない事を必ず伝えて下さい。
妊娠中の場合は、妊娠の経過やつわりの有無、現存何週目か、流産の経験の有無をメモにして渡して下さい。
母子手帳やお薬手帳とを、必ず提出されて下さい。

2、歯科治療に適している時期について

妊娠中でも歯科治療は、いつでも大丈夫です。
しかしその中でも、最適な時期は妊娠中期です。
つまり妊娠5〜7ヶ月が最適だと考えられています。
妊娠初期は、お腹の赤ちゃんの色々な器官のベースが形成される時期ですから、レントゲン撮影を心配したり、つわりで治療受けるのが辛かったりします。また、受精卵の着床が不十分で、流産を起こしやすいので注意が必要です。一方、妊娠後期では、赤ちゃんがかなり大きくなってきますから、仰向けでの治療は、腹部の血管が圧迫され、苦しいと思います。
また、出産が近くなると、治療に対して緊張感の強い妊婦さんは、少しの刺激でも、それがきっかけとなって、早産に繋がる場合があります。
以上のことから、歯科治療に最適な時期は、妊娠中期と言う事になります。

3。歯科治療で使われるX線や薬について

もし、受精後2週間以内に、X線や薬等の影響受けるとしたら、全く影響受けない健児を生むか、着床しなかったり、流産をしてしまうそうです。
つまり、生まれるなら健康な赤ちゃんが生まれ、奇形等の障害児は、生まれないと言われています。これを、「all or noneの法則」と言います。

①まずX線の為害作用についてお話しします。
結論から言いますと、歯科治療に使われるX線は、人体に、ほぼ100%為害性はないと言われています。
歯科治療で使われるX線には、デンタルとパノラマの2種類があります。
デンタルとは、小さな(約3㎝× 5㎝)フイルムを、口の中に入れて指で押さえながら撮るものです。
パノラマは、頭を半周して撮る物です。
線量は、どちらも同じ位で、約0.01mGy(ミリグレイ)です。
国際放射線防護委員会は、「妊娠から出産までの間に、10mGyを超えないように」と勧告しています。
放射線は、体内に残留しますから、少し前のものも考慮しなければなりません。前述のように歯科で使う線量は、0.01mGyですから、1000枚以上撮影すれば、何らかの悪影響があるかもしれません。
また、赤ちゃんに奇形が引き起こされるのは、1万枚以上撮らないと起こらないと言われています。
しかし、妊婦さんは、かなり神経質になっていますから、撮影するメリットとデメリットを説明して、出来る限り撮影を控えるようにします。
放射線を表す単位は、4種類あります。その中では、吸収線量を使うのは一般的です。単位は、Gy(グレイ)と言います。従来、rad(ラッド)と呼ばれているものです。

②次に薬の為害性についてお話しします
薬に関してですが、歯科用局所麻酔薬は、注射をしたその部分だけに作用し、分解されてしまいますから、赤ちゃんへの影響はありません。
局所麻酔でアレルギーを起こしたことがある人や、気分が悪くなった経験のある人は、必ずお知らせください。
次に飲み薬についてですが、原則として、妊娠中の投薬は避けるべきです。
第1に抗生剤ですが、妊娠時期によって使用方法が異なりますから、忘れずにお伝えください。
しかし、やむを得ず、投薬しなければならない時は、悪影響の少ない抗生剤を選ぶようにします。
第1選択は、ペニシリン系かセフェム系です。マクロライド系(エリスロマイシクラシッド、クラリス、ジスロマック等)は、第2選択として使用可能です。
しかし、テトラサイクリン系(アクロマイシン、ミノマイシン、ビブラマイシン、レダマイシン等)やクロマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン及びニューキノロン系は、禁忌です。
第2に、鎮痛剤ですが、アセトアミノフェンは、妊娠初期でも、比較的安心だと考えられています。
またロキソニン、ロルカムも問題ないと言われています。
しかし、ピリン系薬剤やインドメタシン剤、ボルタレンは使用できません。
理由は、動脈の血管の閉塞や分娩を遅延させる可能性があるからです。
また注意して欲しいのは、薬局で売られている風邪薬です。この中に、気をつけなければならない抗生剤が入っています。例えば、アミノピリン、アンチピリン、イブプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、スルピリン、フルルビプロフェン等です。
妊娠中は、市販の風邪薬に気を付けて下さい。
また、風邪薬の使用方法を無視して、頻繁に飲むと、抗生剤が効かなくなってしまいます。

産後の歯科治療

最後に産後の歯科治療についてです。
出産直後でも歯科治療は、問題ありません。
もし、歯痛や歯肉の腫れ、口内炎等がありましたら、直ぐに歯科を受診されて下さい。
しかし出産直後の産褥期の女性にとって、かなり負担が大きいと思います。
ですから、産褥期には応急処置を基本にして、体が回復してから、通常の治療をされるほうがいいと思います。
産後の1ヵ月検診で、産婦人科医から、「通常の生活をしても大丈夫です」言われてから、歯科治療を始められると良いと思います。
授乳をされているお母さんは、必ず歯科医に伝えて下さい。
一般的に歯科で使われる薬は、通常使われる量だったり、短期間の使用であれば、母乳への移行は、まず心配ありません。
万が一、母乳に移行しやすい薬や薬を長期間使うようであれば、その期間だけ、人口哺乳に変えたりしなければなりません。歯科医や産婦人科医とよく相談されて下さい。

次回は第12回です。「乳児期を口腔内」ついてお話しします。
以前、熱田先生が書かれた事と重複する思いますが、おさらいだと思って読んでいただけたらと思います。

院長:荒内