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幼児に起こりやすい歯と口の病気3

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。
いよいよ、うっとおしい梅雨の季節がやって来ます。
このうっとおしさに負けずに、元気に過ごしたいものです。
今回は、熱田先生のコラムです。
いずれ大人の歯に抜けかわってしまう乳歯ですが、その乳歯の下では、出番を待っている永久歯が育っています。乳歯も大切にして、永久歯へとスムースに移行できる様にしたいですね。
ご参考になさって下さい、

【幼児に起こりやすい歯と口の病気3】

歯の痛み

「歯が痛い、痛むようだ」
歯の痛みの多くは虫歯が原因で生じます。
虫歯は進行具合によって、「水がしみる」、「甘い物を食べると痛い」、「お湯を飲むと痛い」など症状が変化します。
エナメル質が溶かされ、象牙質まで虫歯が進行すると「冷たい物や甘い物」を食べるとしみたり痛みを感じたりします。
更に歯髄が破壊され始めると、何もしなくても痛みを感じるようになります。こうなりますと歯髄が腫れ始めます。この状態では温かい物が口に入ると歯髄の圧力が上昇し、痛みが激しくなります。逆に冷たい物が口に入ると圧が下がるため痛みは減少します。
しかし、幼児ではその細かい症状を表現できません。そこで幼児が歯の痛みを頻繁に訴える時には、虫歯はかなり進行した状態にあることが多いようです。
「どんな時に痛がりますか?」
歯を刺激するような冷たい物、温かい物、甘い物を食事やおやつをいる時に痛がることがあります。
食べた後に、痛みが直ぐ治まるようでしたら、歯の神経(歯髄)や血管などの炎症は軽いと思われます。
就寝時や夜間に痛みを訴え、それが持続するような場合には、虫歯はかなり進行していて、歯髄の炎症も全体に広がってしまっています。
「どの程度痛がりますか?」
幼児が自分の指を口に入れる事が急に増えたり、違和感や痛みを少しでも訴えるようでしたら、出来るだけ早く適切な治療を受ける必要があります。
痛みが一時的な場合は軽度の虫歯と思われます。
しかし、一定の時間をおいてたびたび起こる痛みや、痛みが持続している場合には、虫歯はかなり進行していることが予測されます。
ズキンズキンと感じる痛みを訴えたり、痛みで転げまわるような場合には、虫歯が歯髄にまで感染をしていたり、更に歯髄が腐敗して、歯の根の先に膿が溜まっている場合もあります。激しい痛みは膿やガスの発生によって歯髄の中が高圧になるために起こります。
ここまで悪くなると頬が腫れてしまう事もあります。
「乳歯が虫歯になった原因」
虫歯は、いくつかの要因が重なることで生じる病気です。
その要因とは、
①歯質
②細菌(S・ミュータンスなどの虫歯菌)
③食物(砂糖などの糖)
④時間
です。
これらの4つが重なった時に、虫歯が発生します。
口の中には多く種類の細菌が常に住んでいます。その細菌が砂糖からグルカンという水に溶けないネバネバした物質を作り、歯の表面にしっかりつきます。そこに他の細菌も引き込んで、細菌の塊(歯垢、プラーク)を形成します。
この歯垢の中の細菌が、砂糖や他の糖を分解して酸を作ります。
歯の表層のエナメル質は、歯に酸が付きっ放しでなければ、酸で溶かされても修復されます。が、ある程度以上の酸に一定時間以上さらされると、溶けだした部分を修復出来なくなります。それが続くとエナメル質に穴が開きます。
そして虫歯の進行は、硬いエナメル質から象牙質、歯髄へと感染を広げていきます。これが虫歯です。
「進行状態、症状」
乳歯の虫歯は、永久歯の虫歯とは、進み具合も症状も異なります。
永久歯の虫歯の進行とその症状は、初期には歯に違和感を感じる事や、冷たい物がしみるなどの症状を感じて早く虫歯に気付きます。
しかし、乳歯の場合は進行が急激で、症状をあまり訴えない内に大きな穴が開いて、歯髄にまで進行している場合もしばしばです。
歯髄にまで進行すると、そこに炎症を起こして痛みが出ます。やがて、歯髄は死に、細菌によって腐敗してしまいます。更に進むと、歯の根の先の孔(根尖孔)から外に出て、歯が植わっている周りの組織(歯槽骨)にまで炎症が及び、頬が腫れたりします。
歯が浮いた感じになり、腫れや痛みは一時的に収まる事もあります。しかし、歯の周囲の骨(歯槽骨)は炎症によって溶かされ根の先や、周囲に膿が溜まります。
この状態が続くと、時には細菌が身体の他の部分に運ばれ、腎臓病、心内膜炎、関節炎などの感染症を引き起こす事もあります。

虫歯の治療はこのようにします

⚫︎虫歯が歯の硬組織(エナメル質、象牙質)にとどまっている場合
虫歯が歯の硬組織である表層のエナメル質やその内側の象牙質に限局されている場合には、歯髄を残せる可能性が高いです。
虫歯に感染した部分を削除して、歯髄を保護する薬を付け、その上を一般的には歯科用レジン(樹脂)で埋めます。
虫歯は、エナメル質の表層では小さくても、その内側の象牙質では大きく広がっている場合が多く見られます。
外見は小さい虫歯でも、虫歯の除去量が多くなり、虫歯を取り除いた後の穴が、小さい虫歯の割には大きな穴になることもしばしばです。
このような場合には、歯の全体を覆う既成の乳歯用の金属冠やレジン冠が適用される場合もあります。

虫歯が歯髄に及んでしまったら

乳歯では虫歯が歯髄にまで進んでしまっても、乳歯の下で育っている永久歯との交換をスムーズにするために歯髄を少しでも残すような治療法を選択します。
⚫︎歯髄を残せる場合
歯髄は冠部歯髄と根部歯髄とに分けられます。
歯髄の炎症が冠部だけで、歯の根の歯髄まで進行していない場合には、炎症を起こしている歯髄(歯冠部歯髄)だけを取り除きます。
切断した部位に薬剤を置きます。そして薬剤の上にセメントを被せて保護します。
薬剤の下に新しく硬い組織が新生されて、歯の根の部分の歯髄を健康なまま、残すような治療を行います。
⚫︎歯髄を残せない場合
歯髄の炎症が歯の根の部分の歯髄まで進んでしまった場合、両方の歯髄を全部除去します。
歯髄を取り除いた部分には薬剤を詰めます。虫歯が進行して歯髄全体が死んだ場合や腐ってしまった場合にも、数回の根の治療を行った後に、根の中の空間に薬剤を詰めます。乳歯では、永久歯に生え変わる時に、歯の根が吸収されることを考慮して、薬剤は根と一緒に吸収される薬剤を使用します。
虫歯がさらに進んで、根の先から歯の周囲の歯槽骨の組織まで及んでいて、根の治療をしても治らない場合には、歯を抜くことになります。

今回は乳歯の虫歯についてでした。次回は「幼児に起こりやすい歯と口の病気4」について書こうと思います。
歯科医:熱田