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幼児期に起こりやすい歯と口の病気1

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。
気温の変化が激しくて、風邪を引かれていたり、インフルエンザにかかっている方もいらっしゃるようです。1日のうちでも、朝と晩の温度差があるので、羽織るものを工夫して、元気に過ごしたいですね。
今日は熱田先生のコラムです。

乳歯がなかなか生えてこない

乳歯や永久歯の歯の芽(歯胚)は、赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいる時から形成が始まっています。
乳歯が口の中に生えてくる平均的な時期と順番は以下の通りです。
①生後5~8カ月頃:下の前歯2本(乳中切歯)
②生後10カ月頃 :上の前歯2本(乳中切歯)
③生後1歳頃   :上下の①②の隣の歯4本(乳側切歯)
④1歳6カ月頃  :奥歯4本(第一乳臼歯)
⑤2歳頃     :犬歯4本(乳犬歯)
⑥2歳6カ月頃  :第二乳臼歯

歯の生える時期には個人差があります。1歳頃までは生えない子もいれば、稀に生まれてすぐに生える子もいます。
歯の生える時期が遅れる原因としては、
①個々の歯胚の位置
②出来方の異常
③歯の生える方向
④生える力が阻害されたりする場合
⑤歯肉が分厚く固い場合
⑥歯槽骨(歯を支えている顎の骨)が分厚くて固い場合
⑦外傷による歯胚の損傷
⑧骨との癒着
などがあると、歯が生える障害となることがあります。
歯が生えてこない原因を正確に調べるには、顎の骨の中の歯胚の状態をエックス線検査で確認することが必要です。

歯の位置がおかしい

正常な乳歯に歯並びは、上下とも半円形に近い形をしています。しかし、この正常な歯並びの内側や外側、手前や奥に外れて生えることがあります。これを歯列不正と言います。
この原因としては、
①歯胚の位置
②歯胚の方向の異常
③歯肉の一部が厚く固い場合
④歯槽骨の一部が厚く固い場合
⑤小帯(上下唇の粘膜と歯肉の境目、頬粘膜から歯肉の境目、舌の裏側に見られる縦走のヒダ)がツッパテいると、歯はその部位を避けて生えようとする為に、正常な位置に生えないことがある。
⑥歯を支える土台となる歯槽骨の大きさが、歯の大きさに比べて小さい場合も、歯の生える場所が不十分になり、凸凹に生えてしまいます。
⑦歯と歯槽骨に癒着があると、歯の一部だけ生えて歯の噛み合う高さまで生えないこともあります。
⑧過剰歯(正常な歯の数より余分にできた歯)や歯牙腫などの障害物が歯槽骨内にある場合も、それらを避けて生えようとするため、歯の位置が乱れたり、生えきれず歯槽骨内に埋もれたままになることがあります。
更に、全て生え終わって綺麗に並んだ歯でも、
⑨指しゃぶりの癖が長く続いたり
⑩爪や唇、タオルなどを噛んだりする癖があると、必要以上な力が加わって歯が傾いたり、歯槽骨内に押し込まれたりします。

歯の隙間が気になる

幼児期の歯並びには、しばしば隙間が見られます。人やサルなどの霊長類には特有に表れる隙間で、「霊長空隙」(れいちょうくうげき)とばれています。上あごで犬歯と乳側切歯の間に、下あごでは犬歯と乳臼歯の間に現れます。
それ以外の隙間は「発育空隙」と言われます。永久歯が生え始める直前の5~6歳まで、ほとんど変化しないと言われています。
乳歯の大きさは、その下から生えてくる永久歯の大きさより小さい為、連続性をもって生え変わるためには、これらの空隙が役立つのです。
反対にこれらの空隙が無いと、永久歯の生え方や位置に異常を引き起こすこともあります。この隙間は正常な永久歯の歯並びになるための大事な要素と言えます。

「歯の位置がおかしい」の項目でも書いたように、正常な乳歯の歯並びは、上下とも半円形に近い形をしていますが、様々な原因で歯列から歯が外れて生えることがあります。それでも歯並びの乱れが余り強くなければ、口の周りの筋肉と舌の筋肉の働きによって、両者の力が釣り合う所に歯が動いていき、次第に正常な歯並びが作られていきます。
しかし、「口腔習癖」(指を吸ったり、爪を噛んだり、舌を前や横に押し出したり、歯軋りをする)が長期間続くと、この力のバランスが崩れてしまい、歯並びや噛み合わせに異常が起こります。
幼児期の口腔習癖は、心理的な状況とも深い関係があるため、無理に止めさせると、他の心身面に歪みが生じることがあります。
普通は4~5歳位になると自然になくなる事が多いのですが、しつこく続くようであれば、口腔習癖を防ぐ装置を使う事もあります。

乳歯の時期に見られる噛み合わせの異常には、受け口(反対咬合)があります。この原因には、
①下顎を単純に前にずらして咬む癖
②前歯の傾きの異常によるもの
③上下の顎の骨の大きさの不調和等
があります。
又、下顎が横にずれて、奥歯の噛み合わせが左右非対称になっていると、食べ物の噛み方に偏った癖が起こりやすくなります。
幼児期において、顎の位置の異常を早期に改善すると、その後の上下の歯並びや顎の発育を好ましい方向に誘導することが、ある程度改善できます。これには患者さんの状態に最も適した治療方法を選択する必要があります。

歯の数が足りない

乳歯は上下合わせると20本ありますが、生まれつき歯の数が不足していることがあります。
このような不足している歯を「先天性欠如歯」と言います。1~2本から数歯、時には全く歯の無い場合もあります。
乳歯の中で比較的多くみられる先天欠如歯は、上下の歯並びの中央から二番目の前歯(乳側切歯)です。乳歯に先天欠如がある場合は、その下の永久歯も欠如していることが多いです。多数の歯が無い場合は、歯胚や顎の骨の形成や発育に、異常を引き起こす全身的な疾患が疑われます。

歯の色がおかしい

乳歯の色は永久歯より白いので、変色すると直ぐに判ります。
①慢性的な虫歯の部分は暗褐色に変色します。
②歯科医院で使用される虫歯の抑制剤の中には、虫歯の部分が黒く変色するものがあります。
③お茶や食べ物に含まれる色素が歯垢や歯石に入り込むと、歯の歯肉よりの部分に、暗褐色の点状や帯状の着色が見られることがあります。
④転んで歯を打ったりすると、歯の中の血管が切れて、出血し、赤色になることがあります。
⑤歯髄(歯の中の神経)が死んでしまうと血液の供給が絶たれ、歯は灰褐色に変色します。
⑥エナメル質や象牙質の形成不全しょうがあると、ほぼすべての歯が淡褐色や褐色に変色します。
⑦歯が形成される時にテトラサイクリン系の抗生物質をお母さんが服用すると、多数の歯が黄色から褐色に変色することがあります。

今回はここまでとさせていただきます。
次回は「幼児期に起こりやすい歯と口の病気2」を書いていきたいと思います。

歯科医師:熱田