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乳歯の口の中の状態 3

著者:デンタルオフィス湊

こんにちは。
今年は、寒暖の差が激しく、その上、秋の花粉も例年に比べてひどい状況のようです。
体調を崩されている方もいらっしゃると思います。健康管理のために、うがい、手洗い、食後の歯磨きを行いましょう。

さて、今日は熱田先生による【乳歯の口の中の状態 3】になります。

乳歯列は永久歯列を、綺麗に並べるために、上あごにも下あごにも隙間が有ります。この隙間を生理的空隙と呼びます。
生理的空隙には、霊長空隙と発育空隙があります。
これから、空隙と歯列についてお話しします。

乳歯の歯並びの特徴

乳歯列の特徴は、将来大きな永久歯を、綺麗に並べる為に、乳歯と乳歯の間に隙間が見られます。
これを「発育空隙」と言います。
発育空隙とは、上あごでは、正中から2番目の乳側切歯と3番目の乳犬歯の間、下あごでは、乳犬歯と第1乳臼歯の間に空隙のことを言います。これは霊長類全てに見られる事から「霊長空隙(primate space)」とも言われます。
これらの空隙は、異常では有りませんので生理的空隙(physiological space)と呼ばれています。

乳歯列での生理的空隙は永久歯を正常な歯並びする為に必要なものです。
これら生理的空隙がある歯並びを「空隙歯列弓」と言います。

小児の90%以上が、この空隙歯列弓ですが、なかには隙間の全くない歯並び(閉鎖歯列弓)の子供もいます。この様な子供は、将来永久歯になった時、叢生(歯が重なっている状態)や八重歯になる事が多いので注意して下さい。
ご両親や親戚の方の歯列をみせてもらい、定期的に専門医にチェックして、最適な時に、歯を誘導(咬合誘導)してもらう事をお勧めします。

乳歯の噛み合わせ

1歳前後で乳前歯4本が生えますが、まだ乳臼歯が生えていない為、噛み合わせは不安定です。良く「歯並びが受け口の様でしんぱいです。」と受診される親御さんがいらっしゃいますが、この時期では心配ありません。
また、もし遺伝的な要因による受け口(反対咬合)だとしても、1歳前後では何の処置も行えませんので、あまり心配しないで下さい。
そして乳歯が全て生え揃う2歳半以降になると、噛み合わせは安定してきます。

乳歯列期の歯並びと噛み合わせ(咬合)は、主にどの様に決まるかというと、上あごと下あごの大きさ、それに口の機能が関連した口周りの筋肉(口輪筋)、頬御筋肉(頬筋)、舌の力のバランスによります。
噛み合わせを狂わせるものとしては、遺伝的要因と環境的要因が有ります。
遺伝的要因とは、両親あるいは祖父母からの噛み合わせを受け継いでしまっている場合です。これは骨格性不正咬合と呼ばれています。例えば、上あごあるいは下あごの骨が大きすぎたり、小さすぎたりすることにより、出っ歯になったり受け口になったりします。
環境的要因は、嚥下運動に伴う舌筋の力、口周りの筋肉(口輪筋、頬筋)のバランス、それに指しゃぶりや頬づえの様な悪習癖などが大きく関与します。代表的な不正咬合は指しゃぶりによる奥歯で噛んでいても上下の前歯が開いてしまう開口、また頬づえによる奥歯の噛み合わせが反対になる後方交叉咬合、日頃から口を開けっぱなししていたり、口呼吸の癖などによる出っ歯があります。
この環境要因による不正咬合は、早い時期でしたら悪習慣を止めたり、あるいは筋訓練だけで治ります。
また、遺伝性の不正咬合も早期に対応する事で、治せたりひどくならない様に抑制できます。ぜひ、専門医にご相談ください。

機能的で審美的で健康な乳歯の歯並びは、健康な永久歯を作る上で必須です。
乳歯を虫歯にしたり、抜歯をしたまま放置すると必ずと言って良いほど永久歯列で不正になりますので「乳歯は、どうせ抜け替わるから」と安易に考えないで下さい。永久歯の為のあごのために、乳歯時期にしっかり噛んで貰わないとなりません。つまり、虫歯になって、良く噛めず、結果、あごの発育が悪くなり、永久歯の生えてくるスペースが狭くなり、永久歯の歯並びが悪くなると考えられます。
虫歯にならない様に気を付ける、なったとしても治療に行く様にしましよう。

今回はここまでとさせて頂きます。

歯科医師:熱田