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抜歯後の異常疼痛について ─緊急時の対応 21

著者:デンタルオフィス湊

こんにちは。
少し気温が下がったとは言え、蒸し暑い1日でした。
エアコンを使用すると涼し過ぎ、使用しないと蒸し暑い、中途半端なお天気でしたね。
こんな時期に、風邪をひいたりして、体調を崩す人も多いようです。気をつけて過ごしたいものです。
今日は院長先生による緊急時の対応 21です。
抜歯をされた方は、ご参考になさって下さい。

今回は抜歯後の異常疼痛についてお話しします。

通常の抜歯においても、一過性の痛みは起こります。
抜歯の際に、歯槽骨や歯肉等の歯周組織にある程度の組織損傷が加えられますから、抜歯後、組織損傷の程度により、反応性の炎症に伴う一過性の疼痛が発現します。
一過性の疼痛では無く、痛みがなかなか止まらない時、つまり異常疼痛が起こる事もあります。

異常疼痛の原因

異常疼痛の原因として考えられるのは以下の通りです。
① 副損傷によるもの。
例えば、抜歯時の歯槽突起の破折や隣在歯の歯根周囲への損傷、或いは下歯槽神経の 損傷等が考えられます。
② ドライソケットを起こした時。
抜歯後、抜歯窩(ソケット)内に十分に血餅(血のかたまり)が無かったり、強いうがいや食事等で血餅がソケットから除去されたりした時に起こります。ドライソケットとは、抜歯創の異常な治癒過程で、上述した通り、抜歯窩内の凝血、肉芽組織が欠如し、骨面が露出した状態を言います。強い接触痛があります。痛みは抜歯後、3日位後から起こり、1〜2週間続く事が一般的です。
発現頻度は、2〜4%で、20才〜40才の人に多く見られます。好発部位は、下顎埋伏智歯です。乳歯や永久切歯では、殆ど見られません。
③ 抜歯窩の感染。
④ その他。

家庭での対処法

さて、抜歯後疼痛に対する家庭での対処法についてお話しします。
① 抜歯後、2,3時間経つと、麻酔がきれてきます。その頃に軽い痛みが起こることがあります。この痛みはあまり心配する事はありません。処方された痛み止めを飲んで安静にしてください。
② 痛み止めを飲んで安静にしていても、痛みが続く時は主治医に電話で指示を仰いでください。
③ それでも痛みが続く場合は、主治医を受診してください。

主治医の対処法

次に受診した時の主治医の対処法についてお話しします。
主治医は、抜歯後の異常疼痛が、上述した原因の中のどれかを的確に診断し、以下のように処置をします。

① 疼痛が激しい時は、局所麻酔をして抜歯窩を徹底的に調べます。骨片や根の一部が残っている時は、それらを除去します。
② 下歯槽神経の損傷に対しては、鎮痛剤のほか、抗神経ビタミン剤を投与します。神経縫合や移植する時もあります。下歯槽神経損傷に出来るだけ早い時期にステロイドの投与が効果的だとも言われています。
③ ドライソケットが原因の場合は、抜歯窩内を洗浄して、アネステジン添加のテトラサイクリン軟膏含有ガーゼを窩内に塡塞します。
④ 感染が認められる場合は、消炎療法を行います。
腫れている部分を切開して排膿します。以前は消炎剤(抗炎症剤)を投与していましたが、今年から、厚労省は認めなくなりました。ですから、抗生剤のみの処方となります。

次回は、22回で、抜歯後の腫れに対する対処法についてお話しします。

院長:荒内