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口の中を火傷したときの応急処置 ─緊急時の対応⑦

著者:デンタルオフィス湊

こんにちは、院長の荒内です。
大雨の影響はなかったでしょうか。
デンタルオフィス湊では待合室ぎりぎりまで水が来てしまい、泥を出すのが大変でした。
予測のつかない災害が多いですが、皆様お気を付けください。

さて、今回は緊急時の対応の7回目です。

口の中を火傷したときの応急処置

口の中を火傷したときの応急処置についてお話ししたいと思います。
口の中と手足などの火傷はほとんど違いはありません。
そこで、今回は火傷の一般的なことについてお話しさせていただきたいと思います。
火傷とは、文字通り、熱により起こるいろいろな外傷を言います。
火傷の発生状況ですが、1年間に約3人に1人は経験すると言われています。
そのうち、およそ10%が医療機関を受診していると言われています。
また、入院が必要となる中等度以上の火傷を負った人は、約100人に1人と言われています。
年齢的には、乳幼児、学童が圧倒的に多いのですが、これは、ご両親はじめ、家人の注意がいかに大切かを表しています。
季節としては、冬がいちばん多く、次に夏が多いです。
最近は、労務災害、火災、自然災害による重症者や集団火傷に対応するために、各地に熱傷センターなどの専門的な医療施設が整備されつつあります。

〈原因〉
もっとも多いのは、やかんやポットのお湯、茶碗の湯などの過熱性液体です。
次に多いのは、アイロン、鍋、ストーブなどの過熱性固体と火災によるものです。
バイクのマフラーやファンヒーターの吹き出し口に触れて受傷する例もあります。
また、重症熱傷になりやすい、浴槽への転落には特に注意が必要です。

〈症状と重症度〉
火傷の重症度は、その深さや面積、そして部位によって決まります。
①深さは一般にⅠ、Ⅱ、Ⅲ度の3つに分けられています。
Ⅰ度は表皮のみの火傷です。
症状は、皮膚の紅斑と浮腫(むくみ)だけで、水疱(水ぶく
れ)はできません。
痛みも軽く、瘢痕は普通残りませんが、まれに色素沈着を起こ
すことがあります。
Ⅱ度は、浅層熱傷は毛嚢、皮脂腺、汗腺が熱で破壊されていな
い上体を言います。
1-2週間で瘢痕を残さず治ります。
強い痛みを伴います。
深層熱傷は、表皮の新生に3-4週間くらいかかり、瘢痕が残る状
態を言います。
痛みは浅層熱傷より軽いことが多いようです。
植皮が必要になることがあります。
Ⅲ度は、皮膚の全層並びに皮下組織にまで及んだものを言いま
す。
症状は受傷部位は、白っぽい灰色で、乾燥しています。
痛みは軽く、時として、痛みがないこともあります。
火傷の範囲が一定以上を超えている場合は、植皮が必要です。

②面積
広い範囲の火傷の面積をもっとも簡便な方法は「9の法則」で
す。
幼児の場合は「5の法則(ブロッカーの法則)」を使います。
もっとも正確に測定するには、「ランド・ブロウダー図表」を
使います。
狭い範囲の火傷の面積を算出するには、その人の手のひらを1%
とする「手掌法」が用いられます。
それぞれの測定法の説明は割愛させていただきます。

〈重症度の判定基準と病院の選び方〉
前述したとおり、火傷の重症度は、その深さ、面積、部位によって判定します。
また、重い持病のある人、高齢者、乳幼児では、普通の人より重症になります。
受診の目安ですが、受傷者の手のひらより大きい火傷をしたときはすぐに受診しましょう。
中等症とは、Ⅱ度の火傷が15%以上、Ⅲ度の火傷が2%以上のものを言います。
緊急を要する可能性がありますから、時間外であっても受診されてください。
また、受診するのは診療所ではなく、病院をおすすめします。

〈診療所と病院の違い〉
診療所と病院の違いは、医療機関の規模の違いです。
診療所とは、入院用のベッドを備えていないか、備えていても、19床以下の医療機関を言います。
「医院」とか「クリニック」とも言います。
海外で英語で話すときは、「クリニック」ではなく、「オフィス」と話すことをおすすめします。
診療所のうち、入院用のベッドを備えているところを、有床診療所と言います。
19床以下の有床診療所では、同じ患者さんを48時間を超えて入院させないように努力しなければならないことに決められています。
病院は、20床以上の入院用ベッドがある医療機関を言います。
医師や看護師などの医療の専門家が24時間常駐していて、入院している人に必要な医療をいつでも提供できる体制が整っています。
日本には、1万か所以上の病院がありますが、約40%がベッド数99床以下の中小病院です。
300床以上の大病院はおよそ17%くらいにしか過ぎません。
また、病院には、一般病院、専門病院、特殊病院、大学病院の4つにわけられます。

〈治療〉
火傷は、口の中でも、手足でも、受傷部位を冷やすことがいちばん大事です。
衣服の上から受傷したときは、無理に脱がさないで、衣服の上から冷やすようにします。
冷やすときは、氷を直接当てたり、冷水につけるより、流水下で冷やすのがいちばんいい方法です。
口の中を火傷したときは、すぐに冷水を口に含んで冷やすようにします。
冷やしてもヒリヒリしたり、粘膜に赤いただれや水疱ができている場合は、感染させないために、歯科や航空外科を受診されてください。
抗生物質の服用や口腔内の消毒で感染を防止します。
また、ヒリヒリした痛みを和らげるために、軟膏を貼布します。
適切な治療を受けられれば、約10日くらいで治ります。

Ⅰ度の火傷で、小範囲で紅斑だけの場合は、冷やすだけで治ります。
水疱ができたときは、できるだけ水疱を破ったり、取り除かないように気を付けましょう。
水疱膜は元の皮膚の代わりに働き、水分の保持、痛みの軽減、感染防止をしてくれます。
Ⅱ度以上の火傷の治療の基本は第一に冷やすことです。
そして抗生剤の外用剤の塗布です。
火傷の深さや部位、汚染度によって、使う外用剤の種類や質が異なりますから、皮膚科の受診をおすすめします。
Ⅲ度の火傷の場合、特に広範囲熱傷や重症熱傷の場合は、総合病院に緊急入院が必要です。
全身に悪影響を与えるショックに対する輸液療法を主とした救命治療がすぐに開始されます。

〈予後〉
重傷熱傷の場合は、循環不全(脱水)、感染による敗血症(重度の全身感染状態)、肺炎などで死亡することがあります。
高齢者や大きな病気を持っている人ほど危険です。
Ⅱ度の深層熱傷以上の火傷では、必ず瘢痕やケロイドが残ります。
植皮などの適切な治療を受けないと、拘縮(傷跡が縮んで固まること)による機能障害や皮膚がんを引き起こしたりします。
乳幼児や高齢者の方々には、家の方々が特に気を付けていただきたいと思います。

次回は第8回「歯の周囲から出血が止まらないとき」歯肉出血についてお話しさせていただきます。

院長:荒内