成人期に起こり易い歯と口の病気2

2020年3月20日


こんにちは。新型コロナ感染症はまだ衰えていません。世界的なパンデミックとなってしまいました。日本においても、まだ収まったとは言い難いです。ボックスティッシュは少し出て来ましたが、トイレットペパーはまだまだ品薄です。マスクや消毒用アルコールは全然足りません。そろそろ中国で作っているマスクが入ってくると言っていますが、皆が手に取ることができるのは何時になることか。まだまだ終息には時間がかかりそうです。

今回は熱田がコラムをお送り致します。

成人期に起こりやすい歯と口の病気2

[1、歯肉・舌・口腔粘膜]

 ◆歯肉から出血する◆

歯肉(歯ぐき)から出血する疾患には、白血病、血友病、特発性血小板減少性紫斑病、

再生不良性貧血などいろいろあげられますが、出現頻度として圧倒的に多いのは歯周

病(歯周疾患)による出血です。

これは歯肉に炎症があるために起きる出血で、歯ブラシがうっすらと赤くなる程度か

ら、何もしなくても口の中に出血してくる重度のものまであります。

 ◆膿が出る◆

歯肉から膿が出る場合、大きな原因としては2つ考えられます。

辺縁性歯周炎と根尖性歯周炎です、

前者の場合、膿は歯と歯肉の境目のポケットと言われる部分から出てくる場合が多いようです。後者の場合は、歯の根の先端にできた膿が瘻孔と呼ばれる排出口から出てきます。

 ◆歯肉が痛む◆

歯肉に痛みを感じる因子としては色々の事が考えられます。ざっとあげても、アフタ性口内炎、疱疹性歯肉口内炎、急性壊死性歯肉炎、褥瘡性潰瘍、義歯性口内炎、アレルギー性(薬剤や金属など)口内炎などがあげられます。

アフタ性口内炎は円形の浅い潰瘍が口腔内にできて、接触などの刺激で痛みます。疱疹性歯肉炎口内炎、急性壊死性歯肉炎は歯肉に潰瘍を起こし、熱感などの全身症状を伴います。褥瘡性潰瘍は、歯や義歯の鋭縁の刺激によってできる潰瘍のことです。

 ◆噛むと痛い◆

噛んだとき歯肉に痛みを感じるのは、「歯が浮いている感じ」と同様、歯の支持組織になんらかの炎症が起こっているからだと考えられます。

具体的には辺縁性歯周炎や根尖性歯周炎を罹っている可能性が高いと言えましょう。

 ◆口臭がある◆

口臭は、その原因が口にある場合、耳と鼻にある場合、気管や食道にある場合、全身的な疾患にある場合などが考えられます。

また、実際には口臭がないのに口臭があると思い込んでしまう。「自臭症」と呼ばれるような疾患もあります。

歯科領域に原因のある口臭は、歯に付いたプラーク(歯垢)舌の表面に沈着した舌苔を除去して、むし歯(齲蝕)や歯周病を治療すれば、改善できるでしょう。

 ◆歯肉が下がってしまった◆

歯肉が下がってしまった理由の一番として考えられるのは、辺縁性歯周炎です。辺縁性歯周炎に罹ると歯を支えている骨が溶け、それに伴なって歯肉も下がってしまいます。

そのほか、不適切なブラッシングや食物の圧入によって歯肉が下がってしまうこともあります。又、歯軋りや噛みしめなどの強い力が加わる事によって歯肉が下がることもあります。

 ◆前歯が前に出てしまった◆

奥歯の噛み合わせの状態が悪くなったり、歯周病がひどくなってくると、前歯が前の方へ出てきます。つまり歯と歯の間に隙間ができてきます。また舌癖によって、前歯が出て来ることもあります。

 ◆歯肉の色が黒ずんでいる◆

歯肉の色が黒ずんで見える原因としては、内因性のものと外因性のものがあります。

内因性のものとしては、アジソン病や悪性黒色腫などでも歯肉は黒ずんできます。メラニン色素の沈着や血液ヘモグロビン由来の色素沈着があります。外因性のものは、歯科用金属粒子の偶発的な埋入により起こるメタルタトゥーなどがあります。

 ◆歯肉の色素沈着に対してどのような薬、治療がありますか?◆

メラニン沈着の治療法としては外科的剥離法、化学的剥離法などがありましたが、現在ではレーザーを用いての治療が主流です。レーザー治療は保険でできるとは限りません。治療に当たっては主治医にご相談ください。

〔2、口内炎がよくできる〕

口の中は、口腔粘膜という粘膜によってその表面が覆われています。口内炎とは、この口腔粘膜に見られる様々な炎症による病変のことです。症状の特徴によって数種類に分類されていますが、アフタ性口内炎と呼ばれているものが、最も多く見られます。

アフタ性口内炎では、口腔粘膜に小さな潰瘍が見られます。潰瘍をアフタと言い、表面が白っぽく周りを赤く囲まれたクレーターのような円い形をしていて、痛みを伴います。1度に1個~数個できます。アフタが同じ場所、あるいは場所を変えて再発を繰り返す場合には、再発性アフタと呼びます。通常は1~2週間ほどで自然治癒します。治癒が見られない時には、他の病変である可能性を考慮して、歯科あるいは歯科口腔外科などの専門医療機関を受診すべきです。

症状は発熱、熱感、接触痛、嚥下痛、(ゴクンと物を飲み込んだ時の痛み)や下顎の下のリンパ腺の腫れと痛みなどです。痛みのため、口の中の清掃状態は不良となり、口臭の原因にもなります。

原因はウイルスあるいは細菌感染、自己免疫反応、内分泌異常、栄養障害(鉄、ビタミン、葉酸などの欠乏)消化器疾患などがあげられますが、明らかではありません。

誘因として疲労、ストレス女性の性周期などが考えられています。

その他の口内炎も見られます。歯肉などが赤く腫れたり、口腔粘膜に水泡(水ぶくれ)や爛れ(爛れ)などが発生するものも口内炎と言います。

治療法としては、局所に副腎皮質ステロイド軟膏(ケナログ軟膏、アフタゾロン軟膏)、貼付錠(アフタッチ貼付錠)あるいは貼付膜(アフタシール貼付膜)などで対応することが多く、症状によっては内服薬も用いられます。

うがい薬の使用は、炎症を抑ええるための局所の清掃の面からもお勧めできます。又痛みに対しては非ステロイド性の消炎鎮痛薬を服用してもよく、ビタミン剤の内服も有効です。

最近ではレーザー照射が応用されることもありますが、あまり一般的ではありません。

◆口内炎は予防できますか?◆

確実な予防法はありません。しかし考えられている原因と誘因を振り返ると、日頃から適切なブラッシング(歯磨き)、を励行して口の中を清潔に保つと共に、むし歯(齲蝕)や歯が欠損して所は放置せず、歯科で治療を受けておく事が予防につながります。

併せて、過労、便秘、胃炎などの消化器疾患あるいは精神的ストレスなどに注意し、栄養バランスのとれた食習に基づいた、規則正しい生活態度の維持を心がけることが、予防に繋がると言えます。

◆親知らずがよく腫れる◆

現生人類では、親知らずのサイズと数は、小さく、少なくというように、退化しつつある傾向があるようですが詳しくはわかっていません。同時に歯が生える場所である顎のサイズは小さくなってきていると言われています。

この原因については、初期の人類が、木の実や生の肉、魚など粗雑な硬い食物を摂っていたので、頑強な顎が必要であったことに対して、人類の進化に伴ない、火を用いた調理法で柔らかくした食物を摂取するようになったために顎が縮小してきたと考えられています。

顎の縮小に見合って、歯のサイズや数も縮小してくれれば良いのですが、そうは都合良くは行きません。歯の変化は長い時間がかかりますが、顎の大きさはその人の食生活によって変化する位、短い時間で変化します。ですから、生える順番が最後である親知らずのための十分なスペースは、小さくなった顎には確保できないことが多くなっています。

その結果、口腔の一番奥の狭いところで不規則な位置に生えてきたり、すでに生えている歯を押しながら傾いて生えてこようとします。

従って、歯肉と歯の形のバランスは崩れてしまい、ブラッシングをしても十分な効果は得られなくなります。食物残渣が溜まったままとなり、むし歯あるいは歯肉の炎症を引き起こしやすくなります。

痛みや頬の腫れの多くは、これらのうちの一方あるいは双方が原因となります。

◆歯が乾くのですが、むし歯や歯周病になりやすいですか?◆

唾液の役割の一つに洗浄作用があります。つまり、口の中は唾液によっていつも洗われています。唾液が減って口の中が乾いてくると洗浄作用が弱くなり、その結果、汚れが溜まりやすくなり、むし歯(齲蝕)や歯周病に罹りやすくなると言えます。又、歯肉が乾燥すると抵抗性が低下し、歯肉炎や歯周病に罹りやすくなります。

年齢とともに唾液の量は減ってくることがありますが、その程度では急にむし歯や歯周病になることはありませんが、気になるようでしたらまずていねいな歯磨きを心がけましょう。そしてガムを噛む習慣をつけて、唾液の分泌をうながして下さい。

今回はここまでとさせていただきます。次回は「成人期のむし歯(齲蝕)」についてお送りいたします。