成人期の健康と食生活

2020年2月28日


おはようございます。まだ2月というのに、もう春を思わせる陽気ですね。ところで、新型コロナウイルス感染症は感染経路も判らない患者さんが増えてきました。東京都では感染検査を望む被験者が増えてきていますが、思うようには検査が受けれません。不安が広がってきています。ダイヤモンドプリンセス号の検疫対応も悪く、各国から批判が出ています。これで、オリンピックなどできるのでしょうか?5月末頃にオリンピック開催の最終決定がなされるようです。

今回は熱田がコラムを書かせて頂きました。

成人期の栄養と食事

[成人期の健康と食生活]

生活習慣と健康の関係について、米国の医学者ブレスロー先生は「7つの健康習慣」を選び、それを数多く実行している人ほど病気に罹ることが少なく、寿命も長かったことを明らかにしました。

ブレスローの7つの健康習慣

①適正な睡眠時間

②喫煙をしない

③適性体重を維持する

➃過度の飲酒をしない

⑤定期的にかなり激しい運動をする

⑥朝食を毎日食べる

⑦間食をしない

このことは、特に成人期の病気の予防には、食生活、休養、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣の改善が有効であることを示しています。そのため、厚生労働省では「栄養・食生活」、「運動」、「休養」を健康作りの中心に据えて、偏りのない食生活、適度な運動、十分な休養とストレスのない生活を柱とする健康的な生活習慣の確立を提唱しています。

また成人期の食生活のあり方につては、「生活習慣病予防のための食生活指針」さらに、1日の野菜の摂取量を350グラム以上、食塩を8グラム以下にするなど、栄養・食生活における新たな目標が示されました。

食生活のあり方を要約すれば、以下の三点になります。①エネルギーの過不足につながる「食事の量」、②栄養素の過不足につながる「食事の質」、③そしてこれらの生体への取り込み方につながる「食べ方」、の3点になります。毎日の食生活においては、自分の適性体重を知り、日々の活動に見合った食事量をバランスよく食べる事が大切です。

そして、より良い食生活を営むために重要な役割を担っているのが「歯と口の健康」です。各種の調査研究から、自分の歯が20本以上保たれていれば、ほとんどの食べ物が支障なく食べられることがあきらかになり、8020運動(80歳になっても自分の歯を20本以上保とう)が国民運動として全国各地で展開されています。食べ物を1口、30回と、よく噛んで食べる事が健康によい事は古くから知られていますが、そのためには、健康な歯や歯肉(歯ぐき)を維持し、口腔機能の向上をはかることが重要となります。

[しっかり噛んで美味しく食べる]

よく噛む事(咀嚼)は、唾液の分泌を促し、食べ物の消化吸収をよくするだけでなく、顔面を構成する骨や筋肉の発育成長を促し、皮膚や血管の細胞を活性化する唾液ホルモンの分泌を促進するなど、全身の健康や脳の働きに密接な関係があると言われています。

特に咀嚼は脳のヒスタミン神経系を賦活化し、食欲を抑える働きがあり、内臓脂肪を減らすので“肥満予防”に効果的です。

つまり食事は、栄養素やカロリーだけの問題ではなく、その「組み合わせ」や「食べ方」はもとより、「良く噛んで食べる」ことが大変重要なのです。食育と歯科の関係では、一口30回、「噛ミング30(さんまる)」が提唱されます。

「成人期に起こり易い歯と口の病気1」

[歯]

〔1〕、歯がしみる

正常な歯は、口の中に露出している部分の外層を硬くて刺激を遮断できるエナメル質で覆われています。その層が無くなり中にある象牙質が露出すると刺激は象牙細管(象牙質の中を放射状に走る菅)を通じて歯髄(歯の神経組織)に伝わります。この時、歯の神経は刺激を痛みとして脳に伝えるため、しみるという症状が起こります。

この正常な歯は、口の中に露出している部分の外層を硬くて刺激を遮断できるエナメル質で覆われています。その層が無くなり、なかにある象牙質が露出すると、刺激は象牙細管(象牙質の中を放射状に走る管)を通じて歯髄(歯の神経組織)に伝わります。この時、鼻緒神経は刺激を痛みとして脳に伝えるため、しみるという症状が起こります。

この歯髄が生きていて(死んでいる場合は刺激を感じない)象牙質が露出する原因の代表は、口の中に多数存在する細菌が酸を産生し歯を溶かす「むし歯(齲蝕)」です。又歯肉に近い部分のエナメル質は薄く、歯ブラシを強く当てると削れたり、強い噛み合わせの力ではがれるなど、象牙質が容易に露出する場所で、そこから刺激が歯髄に伝わり、普通ではしみない刺激に対してもしみるような過敏な状態となる「知覚過敏」も多くあります。それ以外の原因として、噛む力や食物によりエナメル質に破折や亀裂が起こる場合や、酸性食品の摂取により歯が溶ける酸蝕もあります。PH5,5~5,7でエナメル質が溶けると言われています。

〔2〕、歯が痛い

むし歯は、細菌の作る酸によって歯が溶ける病気ですが、細菌は酸ばかりでなく毒素も作ります。

その有害部質が象牙細管を通して歯髄に影響を及ぼし、炎症が起こります。初期の段階では知覚過敏と同様に、以前はしみなかった刺激に対してしみるようになり、さらに歯髄が破壊され始めると何もしなくても痛みを生じ、歯髄の中で腫れが起こりますが、歯が膨れることは無いため、中の圧力が上昇し、鼓動のような拍動性の激しい痛みとなります。この状態では熱い物を食べると、空気等が膨張し圧力が増加するため痛みは激しくなり、逆に冷たい物を食べると圧が下がるため痛みは減少します。

歯髄が破壊されると、次に根の先に血管や神経の出入りしている孔があり、そこを通して破壊が根の先端の骨に及ぶと、歯を噛み合わせたり、押さえたりするだけで、その部分が圧迫され痛みを生じます。さらにそこに膿が溜まると根の先端部分に相当する歯肉が腫れたり、そこから膿が出てきます。

Q:

歯が痛む時はむし歯ですか?

A:

歯の痛みにも

①冷たい物や温かいものの刺激で痛む

②何もしなくても痛む

③噛むと痛い

など、痛みを感ずる状態によって原因も異なります。

①の症状は、歯髄が生きていて象牙質が露出している状態で起こるため、むし歯以外でも歯ブラシや噛み合わせが強くエナメル質が削れたり、亀裂や破折、詰め物が欠けた場合にも認められます。

②の症状は、歯髄が死にかけている場合に起こることが多く、むし歯以外の原因として、知覚過敏のダメージが大きい、亀裂が歯髄にまで達している、歯周病(歯周疾患)が進行し細菌が根の先の穴から歯髄に感染することもあります。歯以外では歯肉の炎症や傷の痛みが強い場合は歯が痛いように感じることもあります。また、関連痛と言って、痛みの原因となっている場所とは違う部位に痛みを感じることがあります。

③の症状は、歯を支える骨や歯肉に問題がある場合で、むし歯のほかに歯周疾患で歯の周囲に炎症があったり、歯を支える骨が減少し噛む力に耐えられない場合、歯が破折しているなどがあります。また、歯を支える歯周組織が健康でも、過度にその歯に強い力が加わると(その場所だけで噛む、歯軋り、くいしばり)などもその負担に耐えられなくなり、痛みを感ずる場合もあります。

[3]、歯に穴が開いている

歯に穴の開く原因のなかで、最も多いものはむし歯(齲蝕)です。特に成人期のむし歯は、甘い物を食べたり飲んだりしながら仕事をしている、タバコを止めて飴などをいつも口にしてしまう、といった嗜好品の取り方に問題が多いようです。

また、治療によって詰めた充填物(詰め物)と歯の境目は、汚れ(細菌)が溜まりやすくなります。つまり、むし歯になり易くなります。

むし歯になると充填物の周りに小さな穴が開いたり、充填物が取れて大きな穴になることもあります。

その他にも、強い噛む合わせや歯軋り、くいしばりにより歯がすり減ると、エナメル質より柔らかい象牙質がえぐれて、すり鉢状の穴が開きます。

また強い力で歯磨を続けていると、歯と歯肉の境目がすり減り、くさび状に歯が削れてくることもあります。

[4]、歯の色が変わってきた

▶歯の汚れ

不完全なブラッシングを続けていると、歯の表面に少しずつ汚れが付着します。人によって付き方に差はありますが、特にタバコを吸う人、コーヒーや紅茶、ワインなどをよく飲む人は汚れが付着しやすいので、注意しましょう。

▶むし歯(齲蝕)

初期のむし歯は、エナメル質を部分的に白く変色させます。さらにむし歯が進行すると、歯は茶褐色や黒褐色に変色します。また、治療によって詰めた白い充填物もだんだん変色してくることがあります。

むし歯とは異なりますが、神経(歯髄)が、打撲や急激な温度変化により、死んでしまうことがあります。このような場合、死んだ歯髄が変質し、徐々に黒っぽく変色します。

同様に、過去に歯髄をとってしまった歯も、黒っぽく変色することがあります。

▶多量のフッ化物摂取

エナメル質が作られる時期にフッ化物が多く摂取されると、エナメル質の形成がうまく行われないために、歯の一部に白や薄茶の斑点ができたり、縞状の模様が現れます。このような歯を「斑状歯」と言います。着色は取り除けませんが、健康に影響を与えることはありません。

歯が形成されてしまえば斑状歯になることは無く、適量のフッ素であれば、むし歯に対する抵抗力を高めますので、むし歯の予防対策として様々な形で用いられています。

▶薬物の服用

胎児期に母親や、幼児期の間に、テトラサイクリン系の抗生物質を比較的多量に取ると、永久歯に褐色や黒ずんだ歯が現れることがあります。この着色は、歯の基質に沈着するため取り除けませんが、斑状歯と同様に健康への影響はありません。

代謝異常、著しいビタミン欠乏などにより、歯の形成が上手くいかなかった場合も、黄色や褐色の着色が現れることがあります。

▶加齢変化

加齢により、歯の色は徐々に黄色、あるいは茶色に変化していきます。同時に、歯の表面に茶褐色の細かいひび割れが現れれこともあります。

[5」、歯が欠けた、折れた

大きな充填物が入っている歯は、硬い物を噛んだりした時に歯が欠けることがあります。特に歯髄(神経)を取った歯は、残りの歯の量が少なくなっており、さらに歯の中からの栄養補給が無くなるため、だんだん脆弱化して弾力性を失い、、根元から折れたり、根が割れることがあります。

また歯軋りをする人は、歯がすり減って角が欠けたり、歯が折れたりしやすくなります。

[6」、歯がグラグラ(動揺)する

成人の歯がグラグラするのは歯を支えてる部分(歯周組織)が問題を起こしている場合と、歯自身が壊れて動いてる場合とが考えられます。

歯周組織の破壊をもたらすものとしては炎症性のものと力(外傷性)によるものがあります。

炎症性のものには「辺縁性歯周炎」と呼ばれる歯と歯肉の境目から起こるものと、齲蝕(むし歯)から始まって徐々に進行し、根の先に病変を作ってしまう「根尖性歯周炎」があります。

外傷性の破壊とは歯や顎を強打した場合や、強い咬合力(噛み合わせる力)が働いた時に起こります。

また、歯自体が何らかの原因で割れたり折れたりして、歯の一部がグラグラと動いてしまうこともあります。歯周組織が悪性腫瘍に破壊されて歯が動揺することもありますが、極めてまれなことです。

[7]、歯が浮いている

歯が浮いていると感じるのは、多くは歯を支えている組織(歯周組織、特に歯根膜と呼ばれる部分)に炎症が起こっているからです。

変化を起こす因子としては、力によるものと炎症性のものが考えられます。歯軋りや噛みしめなどにより力が加わった時や、辺縁性歯周炎、根尖性歯周炎で歯周組織やに炎症がある場合、歯が浮いていると感じます。疲れていたり、風邪を引いていたりして、全身の抵抗力や免疫力が落ちている時に感じやすくなります。

今回はここまでにさせていただきます。次回は「成人期に起こりやすい歯と口の病気2」をお送りします。