あごが痛む原因

2020年2月14日


おはようございます。寒くなったり、4月のような陽気になったりしています。暖冬のまま春に向かっていくのでしょうか⁈コロナウイルスによる肺炎も広がっています。オリンピックはどうなるのでしょうか?開催しても観に来る人はいるのでしょうか?少々心配になってきた、今日この頃です。
今回は院長先生の第53回のコラムをお届けいたします。

〔1〕急性顎下リンパ節炎

下あごのリンパ節炎の事で、リンパ節が腫れて、激しい痛みが続きます。特に、食物を飲み込む時に更に激しく痛みます。動脈から流れてきた血液は、毛細血管で水分と蛋白質成分が血管外に出ます。この2つは組織中の細胞に取り込まれます組織内で使われた水は、再び静脈内に戻ります。しかし、蛋白成分は静脈内に戻らず、リンパ管の中に入って行きます。何らかの原因でリンパ管がつまるとリンパ浮腫になります。手や足がむくんで太くなります。リンパ管に炎症が起きると、リンパ管に沿って、帯状に発赤や痛み熱感が生じます。これをリンパ管炎と言います。又、リンパ節のある頸部や脇の下、鼠径部等でリンパ節が腫れたり、痛んだりすることがあります。これをリンパ節炎といいます。

〔2〕唾石症

この病気は、唾石(結石)が唾液管や唾液腺の中に出来る病気を言います。通常は顎下腺が多く、稀に耳下腺にはssっ法することがあります。症状は食事の時に激しい痛みと共に顎下腺が腫れます。食事の時に唾液が多く分泌されますが、管が石で塞がれているために、唾液が貯まっ導管の内圧が高まる為に、激しい痛みが起こり、同時に顎の下が腫れます。痛みは約30分から1時間位で消退します。唾石症を放置すると、慢性化して唾液腺が委縮して、唾液が出なくなります。すると食事による痛みや腫れは起こらなくなります。しかし、治った訳ではありません。

細菌感染すると口腔底が赤く腫れて、導管開口部から膿が出たりします。

〔3〕耳下腺炎

大唾液腺には耳下腺と顎下腺、舌下腺があります。耳下腺の開口部は左右6番の頬側付近です。顎下腺とzっ感染の開口部は同じで、舌の下付近です。歯石が付き易いので、ブラッシングが欠かせません。この3つの中で、耳下腺が1番炎症を起こしやすく、その原因の多くは流行性耳下腺炎、いわゆるおたふく風邪です。小児に多く見られますが、成人にも見られます。一度かかると二度とかからないと言われています。つまり生涯免疫(終生免疫)を獲得すると、考えられています。生涯免疫には細菌性の感染症の中ではジフテリアや猩紅熱、百日咳等があります。又ウイルス性の感染症の中では、麻疹(はしか)、水痘、(5種感染症)に分類され、急性発疹症の疾患です。)そして、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)が上げられます。

〔4〕顎関節症

これは、口を開けたり、閉じたりする時に、カックンとかコッキン或いは、ガリガリと言う雑音がしたり、口が大きく開けられなくなる病気です。顎関節の中に原因があったり、関節を動かす筋肉に問題があったりします。病変の部位が程度によっていろいろなタイプに分けられています。原因が筋肉(咀嚼筋)にある時は、雑音はしません。雑音が起こるのは、顎関節に問題がある時です。顎関節の中に繊維性結合組織からなる関節円板と呼ばれるものがあります。これは、側頭骨の凹みと、下顎頭が直接こすり合わないように、関節面の緩衝材の役目をしています。

関節円板はアメリカのレスター教授により、側頭骨に固定されていると言われて来ましたが、現在は否定されています。固定されていない為に、関節円板は不安定になり、所庭の位置からズレ易くなります。顎関節の雑音は、関節円板のズレによって起こります。これを顎関節内障と呼んでいます。顎関節症で腫れたり、熱が出ることはありません。

顎関節内障の診断は、MRIによって関節円板の異常を見ることが決め手となります。X線検査で病変が認められるのは、少ないと言われています。治療は何よりもまず、硬い物を噛まないものです。そして、鎮痛剤や筋弛緩剤等による薬物療法と並行して咬合床(ボクシング等で使うマウスピース)を装着して治療します。予防は、第1に硬い物を噛まないことです。そして、歯軋り、食いしばり、片側だけで噛む癖を無くすことが大切です。又、歯を抜いたままにしたり、合わない義歯を(入れ歯)や充填物があると咬合異常を引き起こし、やがて顎関節症になってしまいます。いずれにしても、3ヶ月か6ヶ月に1回の定期検診を受けるようお勧めします。

〔5〕舌咽神経痛(glossopharyngeal neuralzia)

この病気は、舌咽神経が分布している領域である舌根部、扁桃及び咽頭部が発作的に激痛を呈するものです。物を噛んだり、飲み込んだり、話をしたり、後咽頭接触等が痛みを誘発するそうです。痛みが耳や下顎角及び側頭部にまで放散することがあると言われっています。

真性三叉新家英通と似た性質があり、痛みの持続時間も同じくらいです。中年の男性に比較的多く見られます。多くは片側性で、口腔領域の中では、三叉神経についで、2番目に多い病気です。治療としては、薬物療法や神経ブロック、そして頭蓋内で舌咽頭神経を切断する外科的治療も行われています。

〔6〕扁桃周囲炎

この病気は急性扁桃炎が、周囲に波及した状態を言います。これが化膿して、膿がたまると扁桃周囲膿瘍と呼びます。扁桃周囲炎は急性扁桃炎よりも症状が激しく、特に飲食物を飲み込む時に強い痛みが起こります。又、口が開かなくなって、声は含み声になります。首を曲げようとすると、激しく痛みます。喉を見ると、片側の扁桃の周りがひどく腫れて、暗赤色になっています。扁桃の表面には白い膜のようなものがついています。炎症を起こした原因菌を見つける為に、病巣から細菌を検出するための検査や、病状の程度を把握する為に、血液検査を行います。

治療は、軽い時は抗生剤と痛み止めを服用します。摂食困難で脱水症状になっている時は、入院して点滴による水分や栄養の補給と抗生剤の投与を行います。膿瘍が出来ている時は、穿刺や切開をして膿を出します。膿瘍が拡大すると、頸部の深い所にまで膿がたまります。この状態を傍咽頭膿瘍或いは深頸部膿瘍と言います。ここまで酷くなると、呼吸困難に陥って死亡することもあります。糖尿病の人や高齢者では、これらの進行が速いので、早急な処置が必要です。扁桃周囲炎を頻繁に繰り返す時は、扁桃の摘出をする事もあります。

〔7〕口腔底膿瘍、口腔蜂窩(巣)織炎

この病気は、口腔底に膿がたまるものです。口腔底部や顎下腺の周囲が腫れて高熱が出ることが多い病気です。時に下顎が腫れたようになり、外観的に二重あごのように見える事もあります。

原因は、主に抜歯や虫歯等に伴う菌による炎症が口腔底部に波及することです。又、顎の骨折や扁桃腺、唾液腺、リンパ節等の炎症の後にも起こる事があります。治療としては、出来るだけ早いうちに切開して膿を出し、強力な抗生剤の点滴をします。

〔8〕下顎骨の骨髄炎(顎炎)

この病気は文字通り、下顎の骨髄に起こった炎症です。外傷や周囲の炎症病巣から骨髄に波及して起こります。又、血行を介して、最近が骨髄を侵す疾病で、化膿性のものが多く、疼痛、発熱、腫れ、骨質の破壊が認められます。例えば、虫歯がひどくなって細菌が増えると、歯髄(歯の中にある神経や血管)に炎症が及んで歯髄炎が起こります。歯髄炎は容易に根尖に波及して、根尖性歯周炎になります。歯の治療をしなければ、炎症がさらに広がって歯の周囲や歯槽骨(歯を支える骨)に及ぶび、歯槽膿瘍や歯槽骨炎を発症します。さらに進行すると、顎の骨に炎症が及び、顎骨骨膜炎や顎骨骨髄炎を起こします。これら二つの病気は、同時に起こることが殆どですから、顎炎を言う診断名で統一されています。症状は、強い痛みや原因歯を中心に、歯茎が腫れ、食事が満足にできなくなります。又、顔が腫れたり、顎下リンパ節も腫れ、熱も出ます。学園がさらに進むと、顎骨周囲の筋肉や結合組織に広がり、蜂窩織炎を発症します。つまり命を脅かす重篤な状態になります。治療薬として、抗菌剤や解熱鎮痛剤がつかわれます。抗生剤は抗菌剤の中に含まれます。つまりカビや微生物によって作られた抗菌剤を抗生剤と呼んでいます。又、消炎酵素剤は、その効果が認められないと言う理由で、2016年3月17日製造販売が中止になったものがあります。現在、各病院や診療所で処方されていません。

〔9〕急性歯性上顎洞炎(蓄膿症)

上顎洞とは副鼻腔の1つで、小さな孔で鼻腔と交通しています。しかし孔が小さい為、ちょっとした炎症で粘膜が腫れると、鼻腔との交通が断たれてしまいます。つまり上顎洞が密閉された状態になります。鼻の粘膜はウイルスが感染し易いので、感染後、炎症が起こり易くなります。歯根が上顎洞内に穿孔している人は、上顎洞炎に注意が必要です。虫歯や歯周病があれば、上顎洞内に口腔細菌が侵入する可能性があるからです。余談ですが、嗅覚が失われると、味覚の約80%が失われると言われています。いずれにしても早期の治療が必要です。

〔10〕三叉神経痛

原因のわからない神経痛の代表にあげられる病気です。三叉とは眼神経(第1枝)、上顎神経(第2枝)、下顎神経(第3枝)から出来ている神経です。刺しえぐられるような痛み、或いは焼かれえるような痛み、切られるような痛み等と表現されています。

三叉神経痛を顔面神経痛と言うのは間違いだと言われています。理由は、顔面神経は顔の筋肉を動かすための運動神系で、三叉神経のような知覚神経ではないからだそうです。しかし、最近の研究で、顔面神経に知覚神経が絡まったりすることがあると言う報告があります。しかし、顔面神経が、痛みとは無関係であることに変わりはありません。

今回はここで終わらせて頂きます。

次回、第54回は「幼児期の歯と口の治療」についてお話します。