口腔内に症状が出る全身疾患

2020年1月3日


明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

大晦日から新年にかけてぐっと冷え込んだ、関東地方です。ご実家でお過ごしの方もいらっしゃると思います。お帰りの際は、気を付けてお戻りください。

今回は院長先生の第51回目のコラムです。「口腔内に症状が出る全身疾患」の続きです。

 

15、苺舌(舌乳頭の発赤と腫脹によって、舌が苺状にみえる)

 ①猩紅熱にかかると典型的な苺舌が認められます。

この病気は3歳以後の幼児のA群溶連菌の感染で発症します。2日から4日の潜伏期間の後、高熱、咽頭痛、嚥下痛、頭痛、嘔吐、腹痛を訴えます。

 ➁泉熱(いずみねつ)

この病気は、異型猩紅熱で、1929年、泉 仙助によって報告されました。彼の姓に因んで「泉熱」と名付けられました。

発熱や発疹、消化器症状を主とする急性の伝染病です。病原体はウイルスで、このウイルスを保有するネズミの糞尿で汚染された水や食物を食べると経口感染します。潜伏期は4~10日で、急に熱を出し、その翌日あたりに猩紅熱に似た発疹が全身に現れます。いずれも4~5日、続きます。熱型は2峰性或いはM字型と言えます。急に約0℃の熱を出し、4~5日続きます。

一旦、熱が下がり、治ったかのように見えますが、1両日後は再び熱が出て来ます。これは約1~2週間続く事が多いそうです。

高熱期には、右下腹部痛や下痢ををする事が多いと言われています。又、二次疹や結節、紅斑が手足に現れるも、この病気の特徴です。検査的診断法はありませんので、診断は臨床的におこなわれます。予後は良好です。

 ③はしか(麻疹。measles,rubeola)

「痛みの無い口腔粘膜病変が現れる全身疾患」でお話しましたが、5類感染症に分類されています。麻疹ウイルスによる小児の代表的な発疹性の急性伝染性疾患。

 ➃ペラグラ

この病気は、ニコチン酸の欠乏によって起こります。ニコチン酸は、ナイアシンとも言われ、ビタミンB複合体の1つです。自然界に広く分布しています。ヒトでは、トリプトファンから合成されます。

皮膚症状、胃腸症状、神経症状の三徴候が現れます。皮膚症状では、特に手背の露光部に左右対称性に境界がはっきりした赤紫色の紅斑が現れ、かゆみや灼熱感があります。胃腸症状では下痢等が起こります。神経症状では頭痛、不安、耳鳴り、幻覚等の精神・神経症状が現れます。そして舌乳頭は赤く腫れて苺舌になります。

 ⑤川崎病

1967年、小児科医の川崎富作によって報告されました。主に4歳以下の乳幼児に発症する原因不明の熱性疾患です。毎年1万人以上の子供さんがかかっているそうです。発熱や目の充血、舌や唇の発赤、発疹等、特徴的な症状が現れます。この病気は重篤な合併症である冠動脈瘤(心臓に栄養を送る動脈)にかかることがあります。そうすると、長期的な内服薬の使用や運動制限を強いられる事があります。ですから、症状を見極めながら適切な治療が必要です。原因の1つに遺伝が大きくかかわっていると考えられています。

 ⑥糖尿病

インスリン作用の不足によって生じる慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群を言います。この病気でも、時として苺舌になる事があります。

 ⑦赤血球増多(加)症(真性赤血球増加症と相対性赤血球増加症)

末梢血管中に赤血球の数が増加する病気を言います。これには、体全体の赤血球が増加するものと,体を流れる血漿量が少なくなったために、見かけ上、赤血球が増えるものがあります。

前者んは、高地に住んでいる人や先天性疾患、肺の病気等により、酸素の取り込みや運搬が低下するのを補うため、酸素を運ぶ赤血球を増やします。絶対性(真性)赤血球増加症をと言います。

後者は、相対的多血症(相対的赤血球増加症)と言われ、下痢、熱傷、発汗、嘔吐等による脱水症状があると起こります。

16、巨舌(舌全体が大きくなる。巨大舌とも言います。)

①甲状腺機能低下症

甲状腺が機能低下をするメカニズムには、大きく分けて2つあります。1つは、甲状腺そのものに原因があるもの。2つ目は、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が低下するものに原因があるものです。

●甲状腺そのものに原因があるもの(原発性甲状腺機能低下症)

甲状腺の破壊によるものとしては、橋本病や慢性甲状腺炎、クレチン病、甲状腺の摘出、放射性ヨード治等があ

ります。

●脳下垂体からの甲状腺刺激ホルモンが不足する疾患としては、2次性又は下垂体甲状腺機能低下症や3次性又は、

視床下部性甲状腺機能低下症が上げられます。

②アミロイドシス

アミロイドシスとは、ナイロンに似た繊維状の異常蛋白質の総称です。これが各臓器に沈着していくと病気になります。例えば、脳に沈着し続けるとアルツハイマー病や脳卒中になる事があります。心臓では、心不全や不整脈を起こします。腎臓では蛋白尿や腎不全を起こします。

上記以外にも、巨舌や難治性の下痢、肝腫大、しゃがれ声などの症状が現れます。

③サルコイドーシス

この病気は、何らかの物質が、免疫系の指令塔の1つであるリンパ球の働きを異常に活性化することによって発症します。この細胞が作り出す物質によって、免疫細胞の1つであるマクロファージ(大食細胞)が異常に刺激されると、肉芽腫と言う異常な病変亜発症します。すると皮膚、目、心臓、神経、肺等が障害されます。

➃黒色表皮肥厚症(黒色表皮腫、黒色棘細胞増殖症)

脇の下(腋窩)や首(側頸部)、陰股部、乳房、会陰部等に対側性に、色素沈着を伴う著名な角化性病変で、しばしば、乳嘴状(乳頭状)あるいは疣贅状(ゆうぜい、いぼのこと)の丘疹を伴います。原因は肥満や糖尿病、リンパ腫や胃癌等の内臓疾患、薬剤やサプリメント、卵巣や甲状腺の病気等が考えられています。

⑤エーラス・ダンロス症候群(先天性多発性関節弛緩症)

結合組織の成分、主にコラーゲンの生成異常と考えられる先天性結合組織の代謝異常と言う病気です。皮膚及び関節の過伸展性と組織の脆弱性を特徴として、時として皮下出血が見られます。6種類の病型に分類される遺伝性疾患群である。古典型、関節型、血管型、後側弯型、多発関節弛緩型、皮膚弛緩型の6種類です。

⑥梅毒

古くから性感染症として知られています。梅毒トレポネーマ・パリダムという病原体が粘膜や皮膚の小さな傷から体内に入り込み、血流に乗って全身に広がります。多くの場合、保菌者と性交渉によって感染します。それ以外に医療行為中に、感染者に使った注射器或いは、針灸や入れ墨等の針で、誤って傷つけたり、母胎から胎盤を介しての感染、薬物の回し打ち等でも感染します。

治療には、ペニシリンやサワシリンが有効で、早期の顕症梅毒であれば、4~8週間の内服治療で、ほぼ完治します。治療が終了しても血液検査の数値はすぐに下がりません。ですから治療が終了しても、暫くの間は経過観察しなければなりません。

今回はここで終わりたいと思います。次回は「味覚減退や味覚不全が現れる全身疾患」についてお話します。