成人期の歯周病

2019年12月27日


おはようございます。まだまだ、気温の上がり下がりが激しく、体調が付いていけない方もいらっしゃると思います。風邪やインフルエンザに罹っている方も多いようです。湿度が低いと風邪やインフルエンザウイルスが活発になるようです。気温10度以上、湿度50~60%以上でウイルスが生き延びにくい状況になるそうです。かなり以前に院長先生がそう教えて下さり、医局のドアには結露びっしりとできていました!(これはやり過ぎですが)湿度を上げましょう!後は、手洗いとうがいです。以上を実行して風邪とインフルエンザを予防しましょう。

今回のコラムは熱田が書かせて頂きます。

「成人期の歯と口の健康作り」

1、歯周病に罹っている割合

一般的に、歯が生えた直後にむし歯(齲蝕)の増加が見られますが、青年期では、前からあった軽度のむし歯が重症になることはあっても、新しくむし歯が増えることは比較的少ないです。親知らず(智歯)が生えるので、20代では一人平均29本の歯があります。すなわち、人生の中で歯の数が最も多いのがこの時期という事になります。むし歯にならないようにするには、生後3才までに、口腔内フローラを形成する事が重要です。

青年期を過ぎると歯の数は、30代で28本、40代で27本、50代で24本、60代で21本、70代で16本、80代で12本となり、徐々に減っていきます。50代以降から急激に歯の数は減ります。この年代で急にむし歯や歯周病(歯周疾患)が発症するのではなく、この年代まで、徐々に病変が進行してきた結果として、歯が無くなると言われています。(現在歯数の平均値は有歯顎者〈歯のある人〉のみを分母に算出)。40代以上では、一人平均の歯の数は女性より男性の方が多く、歯を20本以上持つ人の割合も男性の方が多い傾向があります。

歯周病は、歯肉(歯ぐき)の出血、腫れなどの炎症を特徴とする歯肉炎と、歯と歯肉の付着が壊れ、歯を支えている骨がなくなる歯周炎に分けられます。歯周病は、18歳から20歳の間に難治性の歯周菌に感染しないことが重要です。

20代では、歯肉炎は約62%の人に見られるものの、歯周炎は約14%と少ないのが特徴です。しかし、30代になると歯周炎の割合が増え始め、40代では約42%の人が歯周炎に罹っており、80代では約61%となります。一方、歯肉炎の割合は減り始めます。これは歯肉炎から歯周炎へと進行した結果とみてよいでしょう。

歯肉炎は、歯周炎に比べると軽傷であることから、完治可能であることを再認識することが大切です。

いずれにせよ、この時期に最高であった歯の数を生涯にわたって保っていくためには、歯を失う最も大きな原因であるむし歯と歯周病を長期にわたって予防し、むし歯や歯周病を起こさないような歯と口の健康づくりを始めなければなりません。

2、生涯を通じた歯と口の健康づくり

超高齢化社会を迎えるにあたり、80歳になっても自分の歯が20本以上あれば、普通の食事をよく噛め、美味しく食べる事ができるという研究結果から、生涯を通じて自分の歯を20本以上保ち、質の高い、あるいは良質な生活(QOL:quqlity of life)を営もうという狙いで、8020運動が提唱され、今日に至っています。

歯が無くなるのを防ぎ、8020運動を成功させるためには、むし歯と歯周病を積極的に予防し、生涯を通じて歯と口の健康づくりを推進する事が重要です。特に、青年期・壮年期においては、歯周病の予防に重点をおいた健康づくりを日常から心がける必要があります。しかし、青年期前半の人では、歯や口の健康づくりに対する自意識の欠如が見られる事から、ここで認識を新たにしないと、8020は達成することは難しくなりそうです。

それでは、歯と口の役目や歯周病についての知識をまとめてみましょう。

①歯や口の役目

歯や口は、食物を噛んでこなして、体内に取り入れ、消化の第一関門としての役目をします。また、食物の感触を味わったり、中に入り込んだ異物を取り除くことができます。

次に、話をしたり音を出すうえで大切な役目をします。

更に、見た目の美しさ、表情を作る役目もします。

なかでも、物を「噛む」ことが歯や口だけでなく、身体の健康を作るうえでの基礎になります。また、物をよく噛んで食べることで食欲を満たし、精神的な健康を維持するうえでも大切です。すなわち、歯やその周りの組織は、これらの機能を営むうえでの機能単位としてとらえることができます。

健康かむ噛むの教え

1、食物の歯ざわりや歯ごたえを楽しむ

1、食物の風味や深い味を楽しむ

1、食物の消化を助け唾液の分泌を促す

1、消化液の分泌を促し食物を完全消化に導く

1、胃腸の働きをよくし栄養の吸収を促進する(腸内フローラ)

1、口腔の浄化に役立ち肥満や便秘を予防する

1、顔面や顎の発育に役立ち口元の若さを保つ

1、気持ちが落ち着き精神の安定に役立つ

1、常に食事に満足し歯や顎の有難さを知る

1、医食同源を体得し一生の健康をつかむ

食物一口三十回箸を置いてよく噛もう

②歯周組織

歯周組織とは、歯肉(歯ぐき)、歯槽骨(骨)、セメント質(歯の根)、と歯根膜(歯槽骨とセメント質を結ぶ薄くて強い膜)から成り立っています。

鏡の前で口を開けますと正常な場合は歯周組織のうち歯肉しか見えません。歯の根が見える場合は、小帯の付着位置異常や歯周病に罹っているとみてよいでしょう。そのため、歯周病を発見するには、常日頃から自分の歯肉の状態を良くチェックする習慣をつけることです。歯肉の病気を発見するには、正確な歯肉の状態を知っておくことが大切です。鏡の前で、肌の艶や張を見るだけでなく、歯肉の状態もみてください。

口を開けると、歯(エナメル質、歯冠部)、歯肉および歯槽粘膜が見えます。歯肉は正常な場合、明るいピンク色をしています。メラニン色素が沈着している時は、歯科医院で相談してみてください。歯槽粘膜は歯肉よりやや赤い色をしています。歯肉は歯を支えている歯槽骨を覆い、歯の周りをしっかりと取り囲んでいます。

歯肉から歯槽粘膜へと移行し、やがて口唇や頬へとつながります。上の唇や下の唇の中央には小帯と呼ばれる紐状の軟組織がついています。歯と歯の間の歯肉は歯冠乳頭と呼ばれ、ピラミッド状をしています。

歯と歯肉の縁は、薄く、スムースに密着しています。歯肉を指で押すと硬く、弾力があり、ほとんど動きません。指で歯槽粘膜を触れて指を上下すると歯槽粘膜を動くのが判ると思います。

歯肉の表面にはミカンの皮に見られるような小さな凹みがあり、これを「ステップリング」と言い、歯肉が正常な場合に多く見られる事が多いのです。ステップリングの数は個人差があります。

③健康と生活習慣病

むし歯や歯周病も生活習慣病と言われています。

日常生活で、過労、睡眠不足、運動不足、暴飲暴食などが長期にわたって習慣化すると健康を害する危険因子(リスファクター)となります。悪い生活習慣を改善する事で、生活習慣病を改善する事ができます。

むし歯や歯周病の最も大きな原因は、プラーク(歯垢)であることが判っています。私達が生きて行くためには、物を食べなければなりません。物を食べたらプラークが溜まります食事の後、汚れた食器を洗ってきれいにするように、汚れた歯も歯ブラシできれいにしましょう。

汚れが溜まれば溜まるほど綺麗にするのに、時間がかかるし、手入れが大変になります。間食をし、のべつ幕なしに歯の汚れが付くような食習慣や、朝磨いただけで、歯の手入れをしないような生活習慣では、歯や歯肉を長持ちさせることはできません。食習慣や生活習慣の改善を心がけることが大切です。

④歯周病の原因

歯周病(歯周疾患)とは、歯肉、歯根膜、セメント質および歯槽骨よりなる歯周組織に起こる疾患の総称を言います。歯周病は、歯肉炎で始まり、一度発症すると徐々に進行し、歯周炎に移行する慢性疾患です。治療をしないでほおっておくと歯の支えがなくなり、歯を抜く羽目になることが多いのです。

歯周病の原因は、口の中にあるものと、病気や全身状態が関連しているものに分けられます。口の中にある原因は、更に炎症を起こすものと、噛み合わせに影響する物に分けられます。

いろいろ原因がある中で、歯肉に炎症を引き起こす原因は、プラークであることがはっきりしています。炎症型歯周病である歯肉炎や歯周病はプラークの量的あるいは質的変化による感染症と言っていいでしょう。

◆プラーク

プラークは、口腔常在菌とその産生物からなる柔らかい歯面沈着物です。プラーク1mg中一千万個以上の細菌が含まれ、そのうち約25%が生きている細菌です。

歯石は、プラークの石灰化したもので、歯面に強く付着しています。歯石中の細菌は、殆ど死んでいますので、病原性が強いのはプラークという事になります。

歯肉炎や歯周炎にもいろいろな病型があり、それに関連のあるプラーク中の細菌も判ってきました。

◆全身的原因

歯周病の全身的原因は、主に歯周組織の組織代謝を傷害したり、組織修復能や免疫応答を低下させる因子として重要です。全身疾患の一部として歯周組織に病変が出るというより、局所的原因で起こった病変を、より悪化させる修飾因子としての役割をする事が多いようです。全身的原因が関与している歯周病でも、常にプラークの関与がある事を考慮しなければなりません。

歯周病のない人のプラークを染め出してみると口の中はきれいで、ほとんどプラークは見られません。しかし、よく見ると歯と歯の間や歯肉の縁に赤く染まった部分があるのに気づくでしょう。このように、プラークを完全に「0」にする事は難しいのですが、口腔常在菌の役割を考えれば完全に「0」にする事は意味がありません。

それでは、どの程度プラークが付いていても歯周病は起きないのでしょうか。この答えを出すのは極めて難しいのです。なぜならば、プラークを構成している細菌の量、質、それと体の抵抗力が個人個人によってみな違うからです。

家庭でプラークの質(どのような口腔細菌が住んでいるか)を簡単に調べることはできませんが、プラークを染め出せば、その量は(汚れ具合)ある程度セルフチェックできます。これまでの疫学的な調査から、プラークや歯石の量が多い(口腔が不潔である)と歯周病になる確率は高くなるという結果から、できるだけプラークの量は少ないほうが歯周病になる危険は少ないという事が言えます。

今回はここまでにさせていただきます。次回も「歯周病について」の続きとなりま