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幼児期の口の中の状態3 ─妊娠期と乳幼児の歯と口腔内の特徴 25

著者:デンタルオフィス湊

おはようございます。関東甲信地方が6月29日に梅雨明けしました。6月の梅雨明けは初めての事だそうです。水不足になりそうで心配ですね。
今回は院長先生の前回の続きで、第25回目のコラムをお贈りします。
「幼児期の口の中の状態3」

6、顔の表情と口の関係

乳幼児の表情が乏しくなる原因

①精神発達の遅れ
②家庭環境
③愛情不足(情緒面の変化を障す)
④柔らかい食物ばかり食べる事による表情筋の発達の遅れ(輪状筋など哺乳が楽だと筋肉があまり発達しない。)
⑤遺伝
⑥噛み合わせの低さ
⑦上下の顎の形(バードフェイス)
⑧顔の形(上顎前突、下顎前突)
⑨病気(セロトニン)や口の中の炎症や虫歯が続いている時

もし、子供さんの表情が乏しかったり、無表情だったりした時は、上記の原因が考えら
れますので、各専門医に診てもらうよう、お勧めします。

7、額の成長と発育

赤ちゃんの顔は、「赤ちゃん特有の顔」をしています。
赤ちゃんの顔の特徴は30以上あると言われていますが、その中で代表的なものは、顔の高さと幅です。高さは大人の顔の高さの38%であるのに対して、顔幅は56%tp広く、いわゆる美人やハンサムと言われる面長の顔ではありません。又、目と目が離れ、目が大きくパッチリとしています。そして鼻や口が小さい為、とても可愛く、愛くるしいのです。やがて顔の形や大きさが成長と共に変化していきます。脳は新生児から発達し、他の部分よりも視覚や聴覚の方が早く発達します。頭部でも上顎や下顎より脳を保護している脳頭蓋の方が早く大きくなります。体全体を見ても頭が大きくて、頭でっかちの4等身になります。

①上顎の発達
上顎の骨は下顎と違って、幾つかの骨で構成されています。そのため上顎複合体と言われます。上顎骨のの成長は、骨と骨の間にある縫合部に、骨添加や吸収を繰り返しながら成長していきます。いくつかある縫合部の縫い目の方向は、全部斜めに走行していて、それぞれの縫い目は、同じ方向を向いています。そして、下方かつ前方、並びに側方に向かって大きくなって行きます。上顎を形成している各々の骨の大きさの比率を保ちながら、骨の添加と吸収を繰り返して行くため、その原形をとどめながら成長していきます。

②下顎の発達
下顎は単一の骨で出来ています。上顎のように、目や、鼻、耳等がありませんから、極めて簡単に出来ています。
下顎は、お母さんのお腹の中にいる時(胎生期)、左右の骨が顎の真ん中で結合します。生まれて来てからは、結合した部分が分からなくなってしまいます。下顎骨の成長は、顎の後縁部と顎間節を構成する下顎頭に骨添加と吸収を繰り返しながら成長して行きます。成長方向は、上方、後方そして側方です。

③顎の高さの成長
顎の高さ、つまり顔の長さには歯の萌出が大きく影響します。歯の萌出に伴って、歯を支えている歯槽突起(歯槽骨)という骨が活発に新生され、咬合高径が高くなります。つまり顔が、横幅に対して長くなっていきます。新生児の時は、口の中が舌で満たされて、空隙がほとんどありません。しかし、歯が萌出すると、口の中の容積が増えて、食物を口の中で噛めるようになります。

④顎の形はある程度変化する。
顔の形は、主に上下顎の骨の形で決まります。基本的には遺伝によってコントロールされていますが、環境的要因も影響を与えます。例えば、子供さんの指しゃぶりや鉛筆噛みです。指しゃぶり等の悪習癖を放置すると口を閉じても、前歯が噛み合わなくなってしまいます。顎の骨が変形し、顔の形が変形してしまいます。肩肘をついたり頬杖をついたり、同じ側で寝たりすると、やはり不正交合や顔が変形する傾向にあります。
子供の頃は、矯正による効果や悪習癖の除去による効果が、大人に比べると大きいので、定期的に検診を受けて、悪習癖の有無や矯正治療の有無を調べておいて下さい。

⑤硬い物を食べると顎が大きく成長するか?
歯列不正は「歯の大きさより顎の大きさが小さい時に生じる」と言われています。そこで、固い物を食べると顎が大きくなって、歯列不正が起こらないのではないか?と言われています。しかし、歯並びは遺伝的要因と環境的要因が、複雑に影響し合って決められます。ですから「固い物を噛めば顎が大きくなって、歯列不正解消される」と簡単には行きません。又、固い物を噛み過ぎると顎間節症を引き起こします。又、固い物を余り噛まないと、咀嚼力が低下し、歯肉にも悪影響があります。結局、歯列不正にならない為の予防策として、固い物を噛ませるだけでは無理です。
今の所、1日の食品は15種類とし、又、様々の固さの食品をバランスよく摂取する様にして下さい。

これで「幼児期の口の中の状態」は終わります。
次回は「幼児期の歯と口の健康作り」についてです。